MEDINT(医療通訳研究会)便り

医療通訳の制度化を目指す医療通訳研究会(MEDINT)のコラム
~みんなで 医療通訳者を増やし、守り、育てよう!~

感染症の医療通訳

2020-03-04 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
ある感染症の先生とお話をしていたときのことです。

私「感染症の患者さんの医療通訳が難しいのです」
先生「そりゃ、個人の自由を制限したり、束縛したりしなければならないことがあるから
感染症の通訳は難しいよ」

あ~なるほどなあ。
実は私が縁あって参加させてもらっている学会は
「日本渡航医学会」と「多文化間精神医学会」です。
(家族のことがあってからここ5年程参加できていませんが)
どちらも学会に参加されている医師やコメディカルの人たちに
誘ってもらって参加しているのですが、
確かに、感染症と精神科はどちらも「個人の患者」としてだけでなく
「社会の患者」である側面があるため、措置入院や治療などの
強制力が働くケースがあり、それを理解してもらうのが大変です。
だから、より医療通訳が必要なのだと思います。

私が医療通訳を制度化したいと思った理由のひとつに
結核患者さんの通訳の時の経験があります。
すでに排菌していた患者さんだったのですが、
入院を拒んでおり、その説得には本国家族の生活や
社会保障制度の理解、文化的背景も絡んできました。
結核を周囲に蔓延させることはできません。
説得の通訳が続きました。
もちろん、通訳者は自分の言葉を付け加えることはできません。
ただし、通訳をする中で医療通訳者が感じ取る感染症に関する考え方の違いや
医療制度の違い、社会とのかかわり方の違いについては介入の必要な場面もありました。

そうした中で、医療通訳はどの立ち位置であるべきかを
とても悩んだことがきっかけです。

だから、「感染症」と「精神科」の通訳は
より高度な知識と通訳技術とともに文化の仲介ができる能力や制度理解が
必要になってくると考えています。

今回のコロナウィルスによる感染については
10年前の新型インフルエンザの時と同様
同席することで通訳者の感染リスクが上がるのであれば
電話通訳などに切り替えていくことを推奨しています。
医師や看護師はそこにいないと治療ができませんが
医療通訳者はそこにいなくても音声や手話の場合はskypeなどの映像で通訳できます。
そこに通訳が「いる」か「いないか」の2択ではなく
合理的な方法を導き出し、それを比較勘案してみることが大切です。

コロナウィルスがこれ以上広まらず、
一日も早く終息に向かうことを祈って
市民のひとりとして何ができるかを考えたいと思います。





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