MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

ヤングケアラー

2021-05-09 21:42:59 | 通訳者のつぶやき
ちょうど1ヶ月ほど前、厚生労働省が初の実態調査を行い、
中学生の約17人に1人がヤングケアラーであるという報道がありました。

「ヤングケアラー」中学生の約17人に1人 国 初の実態調査(NHK)


定義については厚生労働省がHP上で定義しています

ヤングケアラーとはこんな子どもたちです
(厚生労働省のHPより)

その定義の中に「日本語が第一言語ではない家族や障害のある家族のために通訳をしている」という項目があります。

私たちは、2013年に開催したシンポジウム「通訳を担うこどもたち~医療とコミュニケーション」の中で
子どもたちが、手話や外国語を使って家族の通訳をしている現状について扱いました。
当時は、誰かがついて行かなければ医療が受けられない状況も少なくなくて、
「誰か連れてきて下さい」と通訳の調達は患者自身に任されていました。
通訳を連れて行けないことで、受診ができない、初診が遅れるということが起こっていました。
そこで、費用がかからず、守秘義務も守れる通訳者として子どもたちが、同行していました。
母語と日本語ができる子どもは親だけでなく、親戚や他の大人の通訳も頼まれます。

病院だけでなく、行政窓口や裁判所など、こうした通訳が必要な場所はほとんど平日昼間です。
学校を休んだり、部活動などを早引きしたりしなければなりませんでした。

医療通訳を制度化するにあたり、
もっとも考えなければいけなかったのは
こうした子ども達が担っている通訳のことです。

詳細は恐縮ですがMEDINTシンポジウムのプロシーディングを読んでいただければ
当時、手話・ベトナム語・スペイン語の元子ども達が
どんな思いで通訳をしていたかを知ることができます。

家族が助け合うのが悪いわけではないのです。
その通訳を子どもがやっていいものなのかを
きちんと専門職が精査しなければいけない。
風邪をひいた時の通訳とがんの告知の通訳は明らかに重さが違います。
今でも、医療通訳の制度のない地域では、子どもがこうした通訳を担っている現状があります。

ヤングケアラーの概念の中に、通訳をするこどもが入ったことで
この問題が明らかになったと思います。

「医療通訳」は「お手伝い」の範疇を明らかに超えていると言うことを
私たち大人がしっかりと認識する必要があります。
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