MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

サポート通訳?それとも専門通訳?

2006-08-16 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
暑い日が続きますが皆さんお元気ですか?
私は、睡眠と野球観戦(?)でなんとか夏を乗り切っています。

最近、医療通訳だけでなく、広くコミュニティ通訳全般について考える機会が増えています。
コミュニティ通訳はパブリックサービス通訳ともいいますが、在住外国人の方が専門の窓口に行くときに使用する通訳者のことを言います。大きく分けて「司法通訳」「医療通訳」「行政通訳」の分野に分けることができますが、「司法通訳」は裁判所や警察、検察などで活動する通訳であり、「医療通訳」は病院だけでなく地域保健・福祉などの分野でも活動します。「行政通訳」の活動範囲は非常に広く、市役所、国際交流協会の生活相談窓口や福祉事務所、労働基準監督署、職業安定所、入国管理局、税務署、社会保険事務所、学校などです。しかし、それぞれの通訳者は一分野だけを受け持っているのではなく、いくつもの役割を果たしています。
たとえば、私の職業は「行政通訳」ですが、仕事の中で「医療通訳」になることもありますし、ボランティアで医療通訳の活動をしています。弁護士に同行して「司法通訳」をやることもあります。特に、英語以外の少数言語では通訳者の数が少ないため、なんでもやらなければいけない傾向にあります。
このコミュニティ通訳は、どちらかというと「外国人支援」「外国人サポート」の一環として成長してきました。この場合、言葉は外国人を支援するための「道具」であり、主役ではありませんでした。最初のうちはそれでもよかったのですが、年々外国人の抱える問題は複雑化、高度化しており、また本人の日本語能力も日常会話以上になりつつある現在、外国人の日本語のほうが、通訳ボランティアの外国語より上手であるというケースも出てきつつあります。
それは時には外国人のクレームに現れることがあります。交通費を払ってきてもらったのに、自分の日本語のほうがうまかったと・・・。
コミュニティ通訳が外国人サポートの一部であるという考えはすでに時代遅れです。コミュニティ通訳者は高度な語学力だけでなく専門性が必要です。外国人支援の現場でも、「サポート」が必要なのか「専門通訳者」が必要なのか分ける必要があります。「サポート」と「専門通訳者」に必要な語学レベルは違います。コーディネートする人は適切に配置する必要がありますし、通訳本人も自分のレベルを知っておく必要があります。


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