MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

嘘をつく患者

2011-08-22 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
医療通訳をしていて、
明らかに嘘と思われる証言をする人がいます。

待合室では、昨日のバーベキューの話をしていたのに、
診察室では「サラダしか食べていません」という人。

待合室では、「仕事中にころんだ」と言っていたのに、
診察室では、「家でころんだ」という人。

医療通訳は「ええっ??」となります。
さっき言ってたのと違うやん!と。

そんな時皆さんはどうしますか?

そのまま訳しますか?
それとも本人を諭しますか?

即、命にかかわることは別ですが、
私は最近そのまま訳すことが多いです。
患者は自分の言葉に責任を持つ大人ですから。
そしてそれを聞いている医療者もプロです。

医師に嘘をつく人は日本人にも外国人にもいます。
変な話かもしれませんが、
通訳が入った人だけ好きな嘘をつけないのも気の毒かなと思ったりもします。

だって、この人が通訳を使わなかったら自分で嘘をつけるのに、
通訳をつかったことで嘘がつけなくなるのです。
嘘をつく権利の侵害(?)です。

そういう時には、
結構、眼の表情を使って、
「私(通訳)は知りません(答えに責任持てません)よ」という表情を作ります。
読み取る医療者もそうでない人もいますけど。

でも怖いのは、
ちゃんとした医療通訳が介入していれば、
患者はちゃんと整理された真実の言葉を発していると信じる医療者です。
通訳者は言葉の置き換えについての責任は持ちますが、
言葉の「内容」についての責任は持てません。

ある内科(糖尿病専門)の先生にこの話をしたら、
「嘘つく人は少なくないです。嘘はわかります。
通訳の方が心配しなくても大丈夫です」と言われました。
さすがプロ!と思いました。

もちろん、命にかかわるような嘘や、
医療者を危険な目に合わせてしまうような嘘は、
本人に言い換えてもらいます。

この辺が家族・支援者と通訳者の立場の違いのような気がします。
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4 コメント

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確かに…・ (Shin)
2011-08-26 06:54:21
先生の発言よくわかります。

嘘はついてもわかるし、クレーム付くことにより、治療方針とサービスは別なので、治療方針が大きく変わることもない。

治療方針の決定は客観性に基づいたデータより判断します。患者の主訴も大事にしますが、客観的なデータがかなり大事と考えていると思います。
医療記録などでSOAP形式などありますが、
S:患者の主観的データ・・・訴えなど
O:客観的データ…採血データとか、熱とか数字かされるものが多い。痛みなんかも、痛みのスケールなどあります。
A:アセスメント(分析)…上の評価
P:計画・・・・どないして治すか

という一連の流れなどあります。こういうデータをもとに、総合判断して治療方針や看護計画が決定します。訴えたい事は訴えてもらってもいいけれど、客観的データも大きく関与し、本当に患者さんの望みに治療上、応えられるかどうかなど総合判断の上、先生は治療していきます。看護師も同様にケアしていきます。
Shin様 (MEDINT)
2011-08-29 10:25:16
コメントありがとうございます。
医療者には常識のことも、
私たちはいろいろと心配の種にしてしまいます。

こういうアドバイスの数々が
医療通訳者の業務環境を改善するんですよね。

通訳者はまじめな人が多いので、
嘘をつかされるとすごいストレスになります。
だから第3者的なかかわり方が大切ですよね。
患者の多様性 (Shin)
2011-08-30 00:37:45
患者さんにはいろんな人がいます。

今回の嘘とは離れるのかもしれませんが、糖尿病の患者さんなどで計画をあげる際に、看護診断などを用いているところも多く、主流になりそうな感じです。

個人的には、英語版が原版なので日本語訳をまるまま信用するのではなく、日本で適応できるのか、吟味する必要性があると思ってます。欧米文化とアジア文化、文化や社会の異なる世界で適応できるのかと思っていますが。昨今ではInternationalをつけている。アフリカに適応できるものでもないと。それはさておき。

NANDA(北米看護診断協会)の看護診断ハンドブックなどで、看護診断名「ノンコンプライアンス」などありましたが、「治療方針の不遵守」という意味から転じて日本の医療現場では、「患者の病識不足」のような意味に転じているように思います。おそらくcomplianceは「規則」を守るという、医師から与えられた指示を守るという義務感が強い。

伊藤先生によると、この表現は最近「adherence」固執・執着などの意味を示す「遵守」に変わりつつあるらしい。
どちらかというと、患者さんの自発的な意思を伴う行動様式としての遵守なので、患者さんの多様性に合わせ、いかに自立できる方向性に持っていくかが、医療者の腕の見せ所のようです。

この治療効果は患者さんの努力とそれをサポートする相談相手(医療関係者)により、上がるので、こればっかりは、患者さんのやる気にかかってますね。この部分で、「うそついてるなー」とかよくある話なので、先生は気にしてないのかもね。ある意味、学校の成績に似てるように思う。
Shin様 (MEDINT)
2011-09-01 11:25:03
患者の病識不足を
自分の責任と思ってしまう通訳もいるかも?

パターナリズムを排除して
医療通訳に徹するためには
医療通訳の行動規範が必要ですね。

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