MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

通訳者の態度

2007-03-28 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
「病院代がおかしい。どうも外国人だからといってぼったくりではないか。」という相談が時々あります。これは結構文化の違いによるものかもしれないし、そうした差別の経験があって、この方が日常感じていることなのかもしれません。そうした質問には気をつけて答えるようにしています。

一番いけないのは、火に油を注ぐような不用意な回答。
小さい声であったとしても「高いですね。これは。外国人だから、特別料金なのかな。」とか言ったとします。そうすると、相談者の心は不信感で一杯になります。原因や理由をきちんと調べる前に、そうした発言をすると、病院はもちろん、本人にも不利益をもたらします。原因がわからない段階で、このような軽率な発言は慎むべきですね。

次に、まかせておけば大丈夫という人任せ回答。
「日本社会では、あなたの国と違ってぼったくりなんてしないし、差別もしないから、信用して払いなさい」というのもあまりに無責任ですね。原因も調べないままに、相談者を被害妄想のようにいうのでは、ご本人が納得できないばかりか、もし間違っていた場合はどうするのでしょう。これは、説明責任の放棄で、支援者としては失格です。

それでは、どうすればいいかというと・・・もうおわかりですね。
自分の意見をいうのではなく、病院の担当者や保険の窓口に連絡して、ご本人が納得いくまで説明してもらいましょう。それを通訳して、ご本人が不審に思っている点もきちんと病院に伝えます。多少時間がかかります。しかし、相談者は日本社会でこれからも暮らしていかなければならないのです。不信感を残したまま支払いをしたのでは、今回はよくても、また同じことを繰り返す結果になります。また、同じ病院にお世話にならなければいけないのは相談者本人です。できれば病院と良好な関係を作っておいたほうが、本人のためでもあります。

通訳者や支援者の意見は、心細い外国人患者に大きな影響を与えます。先入観にとらわれるような言葉、トラブルを大きくするような発言は慎むようにしなければいけませんね。

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