MEDINT(医療通訳研究会)便り

医療通訳の制度化を目指す医療通訳研究会(MEDINT)のコラム
~みんなで 医療通訳者を増やし、守り、育てよう!~

パターナリズムの弊害

2006-10-04 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
外国人支援の活動をしていて、時々目にするのが、当該外国人を「子ども扱い」している支援者です。
「日本のことは自分のほうがよく知っている」「まかせておけばいい」「病院に意見したり、逆らうと診てもらえなくなる」と本人に情報を渡さず、支援者が患者に替わってすべての判断をしてしまいます。
外国人の中には、親切にすべてやってくれる支援者が一番楽でいいという人もいます。自分で考えなくてもいいし、とにかくまかせておけば全部ちゃんとやってくれるからです。
でも、すべての人がそうではありません。

「パターナリズム」という言葉があります。
強い立場にあるものが、弱い立場にあるものに対して、後者の利益になるとして、その後者の意志に反してでも、その行動に介入・干渉することをいいます。
通常、親と子の関係や、医師と患者などの専門家と素人の関係、大きくは国家と国民の関係にみられるといわれています。
これが、時々外国人支援の現場で目に付くのです。ただ、間違ってはいけないのは、外国人は日本語ができない、もしくは完全ではないというだけで、精神的にも肉体的にも弱者というわけではありません。もちろん、社会制度的にはまだ弱者の部類になるかもしれませんが、それでも自己決定する気力も能力も持っています。
支援者と外国人の間で「強い」「弱い」という関係や「保護」の関係が発生するのは、本来ならおかしなことです。

こうした外国人患者の自己決定にどれだけ有効な情報を提供できるかを使命とすることが理解できるかが、医療通訳に必要な資質です。これは支援者にも同じことが言えます。
「手術します」と勝手に支援者が決めてしまえば、手術のメリットや危険性や副作用などを患者に説明する機会を失うことにもなりかねません。本人が希望している場合は別として、そうしたインフォームドコンセントをきちんと提供するために医療通訳者という専門家が存在します。


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