MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

薬の量と医療文化

2009-05-06 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
医療通訳といえば、
診察室での通訳というイメージがあると思いますが、
実際には、受付、問診票の記入や検査、
会計など様々な場面で医療通訳が必要です。
その中で意外と知られていないけれど重要なのが薬局での通訳です。

薬の飲み方というのは実は非常に繊細な説明が必要です。
普通、決められたとおりの量を飲むというのは常識ですが、
異文化に暮らす人たちにとっては通訳が必要な場面なのです。

たとえば座薬。
スペイン語でsupositorioという単語がありますが、
最初の頃は使ったことがないという人が少なくありませんでした。
何も説明しなければ、
錠剤だと思って飲んでしまったという話も聞いたことがあります。
確かに、見たことも使ったこともない人にしてみれば、
母語での説明が必要な場面です。
(実際に使用法を実演するのも難しいですし・・・)

それから、「食間」というコトバ。
これをそのまま「食事中」と理解してしまうと、
ご飯を食べながら薬を飲んでしまいます。
医療通訳者がこの単語を誤訳することはありえませんが、
通訳に知識がなければ間違って訳してしまう危険性があります。

また、自分の病気が治らないのは薬のせいだと思い、
勝手に飲む量を増やしたり、止めたりということも
文化の違いから起こりがちです。
自分たちの身体はもっと強い薬を使っているから、
日本の薬は軽すぎて効かない、
だから、いつまでたっても治らないのだといわれたことは、
一度や二度ではありません。

薬の服用は病院を離れた場所で行うために、
監視の目が行き届きません。
その分、きちんと用法や容量を説明して、
疑問点や不安点があればその場で解決しておく必要があります。

景気がこのまま回復しないと保険が未払いになってなかなか病院にいけず、
売薬で済ますケースも増えてくると思います。
医療通訳は「病院」だけの通訳ではないので、
今後増えていく服薬指導に関する勉強も
きちんとしておく必要があると痛感します。

PS:4月はとても忙しく週末はほとんど県内にいませんでした。
やっとGWでぐっすり寝て回復しました。MEDINTの活動も5月9日から開始します。

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