MEDINT(医療通訳研究会)便り

医療通訳の制度化を目指す医療通訳研究会(MEDINT)のコラム
~みんなで 医療通訳者を増やし、守り、育てよう!~

通訳したくない言葉

2019-12-19 09:05:42 | 通訳者のつぶやき
昔・・・といっても90年代ですがと比べて、通訳しづらい言葉は減ったと思います。

でも最近気になる言葉があります。

発達障害が広く知られるようになり、
1歳半や3歳児健診で、言葉のおくれを
日本語を母語としない環境で育つ子供達が
指摘されるケースが増えています。

きちんと専門の通訳者を配置して
検査をしてもらえれば問題ないのですが、
通訳者がいない場合、一般の医療や教育の通訳者が
通訳をすることがあります。

そこで、専門職の方から
「子供の言葉が混乱するので、おうちでは日本語で統一してください」
といわれることがあります。

それを通訳すると、親御さんの表情が一瞬暗くなります。
電話越しでも、空気がぴりっとして
「自分は日本語ができない」とつぶやかれることがあります。
それに対しての明確な答えは返ってきません。

私はソーシャルワーカーとして相談を受けるとき
できるだけ「過去」にこだわらないようにと教えられました。
「日本語を勉強してこなかったから(今困っている)」
「資格をとっていなかったから(いい仕事がみつからない)」
「正社員にならなかったから(未だに非正規)」
嫌と言うほど言われてきた言葉を繰り返す必要はない。
今のことを考えるほうがずっと建設的です。

「おうちの中を日本語で統一」というのは
親が日本語ができて初めてできることです。
もちろん、親も仕事や教室で日本語を学ぼうと努力しています。
けれど、子供をしつけられるほどの日本語が一朝一夕で身につくとは思えません。
また、母語・母文化をどう継承するかは家庭の問題でもあります。
それはこどもの言語発達とは整理して考えなければならないアイデンティティの課題です。

私はこの言葉をあまり言いたくありません。
だけど通訳者が勝手にその場の言葉を変えてはいけない。
思い切り困った表情をして訳します。

正解はないのかもしれません。
でも、この問題に携わっている人にお話を聞きたいと思いました。

そこで、今年度のMEDINTのシンポジウムは
就学前のこどもの言語発達について
言語聴覚士の方からお話を聞くことにしました。
2年前に登録した母子保健通訳者のフォローアップ研修も兼ねています。
来年1月12日(月)に西宮市大学交流センターで開催します。
詳細はMEDINTのHPをご覧下さい。

こちら

外国語の医療通訳者だけでなく、
手話通訳の方も、こどもの発達にかかわる人にも
ご参加いただければと思います。



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