MVCメディカルベンチャー会議

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第53回MVC定例会in群馬

2008年01月19日 | MVC定例会
温泉温浴文化について学ぶため、株式会社トリリオンの木地本朋奈代表取締役を講師にお招きして、「日本の温泉温浴文化とヘルスケアについて」をテーマにお話し頂きました。

①私はもともと、全国のスキー場や温泉施設等のリゾート開発に関わる仕事をしていました。平成5年に株式会社トリリオンを創業し、大型温泉温浴施設に安全衛生・省エネルギーエンジニアリングサービスを提供しています。株式会社トリリオンのミッションは、「安全衛生・省エネ省力化・快適環境づくりのサービスを通して、人が住みやすく、気持ちよく過ごせるような世の中をつくることに努める」です。現在は、炭酸泉を主力商品に温泉施設のサービス向上支援を行っています。

②ヘルスケア施設は二つの軸でポジショニングすることができます。一つは利用者が能動型か受動型か、という軸です。もう一つは利用者のコストが大きいか小さいか、という軸です。温泉温浴施設の利用者は「受動型」かつ「コスト小」に属します。これは言い換えると「楽をして安価で健康増進したい人」といえます。また、メタボリックシンドロームの対象になる人たちの多くがこの分類に属します。

③私は、明るく楽しく継続して健康増進が継続して行えることにヘルスケアビジネスのキーがあると考えます。

④近年の私営公衆浴場の統計を見ますと、スーパー銭湯、日帰り温泉、SPA施設が急増し、逆にサウナ風呂は減っています。浴場施設の業種が多様化している中で、事業者はサービスの差別化が求められます。

⑤弊社が温泉施設に導入を薦めている炭酸泉は、約500の病院や介護福祉施設で、治療やリハビリの一環として採用されています。炭酸泉を用いることで、血管内に二酸化炭素が吸収され、毛細血管が拡張し、組織に酸素が伝わりやすくなります。臨床の現場からの医学的なエビデンスも報告されており、ドイツでは同様の治療が健康保険で認められています。

⑥世界に誇る日本の温泉温浴文化の課題は4つあります。一つ目は、熱を大量につくるために莫大なエネルギーを消費し、つくった熱をそのまま垂れ流している、という地球温暖化防止の観点が不足しています。二つ目は、ドイツのような医学的・科学手的アプローチができておらず、一般に広く啓蒙されていない、という医学的アプローチの問題です。三つ目は厚生労働省・環境庁・経済産業省等の連携がとれていない、という縦割り行政の弊害です。四つ目は高い次元で考える経営者が不足しており、経営者を支える協会・団体が機能していない、という業界内の問題です。

⑦当社は日本が誇る豊富な天然温泉資源を利用したゼロエミッションモデルを構想しています。そのためには、ディベロッパー、金融機関、メーカー、行政、医療従業者がそれぞれの専門分野を活かして協業することが重要です。


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