MVCメディカルベンチャー会議

The United Doctors of Innovation ☆ http://mvc-japan.org/

第10回MVC定例会

2005年10月02日 | MVC定例会
2005年10月1日、東京品川で、株式会社コーポレートディレクションのアソシエートパートナー 高塚良司氏を講師にお招きし、「病院経営における勝ちパターンの模索」というテーマでお話いただきました。参加者は医師・歯科医師に加え、知財管理の専門家、会計士、法律家など異業種の専門職の方も含み、15名となりました。

1.株式会社コーポレートディレクションは戦略系経営コンサルティング会社で、私は特に医療機関を中心に経営指導を担当して来ました。経営コンサルティングとは企業のトップに対して経営の方針を提案し、実務レベルでその方針が実行されるよう支援する仕事です。

2.経営コンサルタントの視点から見た病院経営ですが、一言でその特徴を言うと、「病院経営は分散型事業である」ということです。あらゆる事業はスケールメリットの可能性の高さという軸、差別化要素の存在といういう軸から大きく4つに分けることができます。分散型事業はその4つのマトリックスの中では、差別化要素が少なく、スケールメリットの可能性が低い、という分類に入ります。異業種で言うと、かつてパソコンソフトの卸業をしていた頃のソフトバンクと似ています。

3.この分散型事業は売上高が大きくなると、利益率が低下するという特徴を持っていますので、経営に関してはコスト管理・粗利管理・業務の標準化・部門のスクラップビルドが重要になってきます。最初に大きな設備投資をし、ひたすら規模拡大を図る、という規模型事業とは方針が大きく異なります。

4.「野を越え、山を越え」の経営がキーとなり、単位別収益管理、日常業務の標準化、創造的破壊の3つが重要です。具体的には、細かな診療科別・1人別の収益管理、クリニカルパス・バランストスコアカード、病床群・診療科のスクラップ&ビルドです。

5.病院経営の現状を見ると、「最前線はアルバイター、司令塔は多数決」という経営の基本から全く離れた状態を良く見かけます。「最前線は正職員、司令塔は少数者による意思決定」が重要です。また収益の面でも2001年度で赤字病院が66%にも上ります。ここには国立・公立病院が含まれませんから、実際はもっと赤字病院の割合が高くなります。

6.病院経営の勝ちパターンとしては、「第1に分散型事業の基本を固め、第2に規模方事業へ進化させる」という戦略が有効です。繰り返しになりますが、管理会計を小さな単位で実践し、標準化のプロトコールに基づいて業務をおこない、状態としてスクラップ&ビルドをする。そして先行投資の長期的意思決定をおこない、投資後は脇目も振らず規模を追及し、更に規模かを加速する。「小分け」「標準化」「創造的破壊」「スケールメリット」「マーケットシェア」「M&A」の経営が重要です。

7.経営者とは幹を捉えて枝を捨て、将来を見て過去に拘らず、自由に発想して制約をおかず、細心に思考して粗雑な空想をしない人物です。一言で言うと「夢と現実をつなぐ人」と言えるかもしれません。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。