MVCメディカルベンチャー会議

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第119回MVC定例会in大阪 第二部

2016年03月12日 | MVC定例会

関西TLO株式会社 代表取締役社長 大西 晋嗣 氏 をお迎えし、「大学の知財から日本を元気にする」というタイトルでご講演いただきました。


(1)学生時代、技術移転の仕事をしている方と出会う機会がありました。当時の私は、研究者として良い論文を書き、良い研究成果を出すという道以外見えていませんでしたが、その方に教えていただいた、大学の研究成果を社会に役立てる仕事に強く惹かれました。


(2)その後は一旦民間企業に入り先行研究に従事しましたが、研究を進めれば進めるほど、大学の知財をもっと積極的に活用し実用化しようしないのかという思いに駆られ、2007年、この関西TLOにて産学連携の技術移転の仕事に就きました。


(3)関西TLOでは、大学の先生方が創生した技術についてヒアリングし、自ら特許を出願し、それを企業に紹介し技術移転を成立させるというビジネスを行ってきましたが、2003年、文科省主導で大学内に知財部が整備され、大学が自ら特許を出願するようになりました。


(4)2006年、経営再建を図り、いただいた案件の市場性を評価し、特許を出願した案件については徹底的にマーケティングを行うという、営業の会社なら当たり前のことから実践しました。それ以前は、先生方に「出願しましょう!」と催促するだけでしたので大学の知財部からお叱りを頂くこともございました。しかしその後の地道な努力が認められ、2011年に京都大学、和歌山大学に出資して頂き、今年の1月に京都大学の子会社となりました。


(5)特許を企業に売ることで収益が上がるビジネスではありますが、我々は研究成果をいかに世に出すか、いかに世に出せる人に繋ぐかをひたすら追求しております。発明者の先生や大学の知財部と意見が食い違うこともありますが、発明を世に活かすことを目指していますので、そこはぶれずにやっていきたいと思います。


(6)フラクタル日除けという商品があります。気象学の先生が、なぜ森の中で涼しいと感じるのかを研究した結果、葉の蒸散等の熱力学的な影響ではなく、木の葉の3次元的配置そのものによる影響が大きいという結論になりまして、それを具現化した発明になります。年間270件ほど発明を目にしますが、このフラクタル日除けのように全く新しい価値を生む発明に出会い、それを形にしていく体験をしてしまうとこの仕事はやめられなくなります。


(8)1つの案件で100社ぐらい営業をかけると、大体15社ぐらいは興味をもっていただけます。その中の1社がライセンス化に成功する、といった比率です。特許出願した案件の半分ぐらいは企業パートナーが見つかり、その中の15%ぐらいは何らかの形で製品化に漕ぎつきます。これらの数字を上げていくのが私たちの使命です。


(9)現段階で注力することは3つあります。1つ目は「ネタの掘り起こしのプロ」になること。特許出願やパートナーを見つけるチャンスが流れてしまわないよう、先生方と日々コミュニケーションを取っています。2つ目は大学のエージェントとして、守るべき知財をしっかりと守ることです。3つ目は次のプロにタスキを渡すことです。「50%知力、50%行動力」を掲げ、これからもひたむきに発明を世に出すお手伝いを続けていきたいと思います。


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