MVCメディカルベンチャー会議

The United Doctors of Innovation ☆ http://mvc-japan.org/

第35回MVC定例会in大阪

2007年04月21日 | MVC定例会
空前の少子高齢化社会が到来し、高齢者に対する医療についての知識を学ぶため、「在宅医療の必要性とマネジメント」をテーマに、在宅医療のコーディネート業務を専門とされている株式会社ソシオン取締役専務の鈴木克典氏にご講演いただきました。

①当社は、在宅医療を支援するために、代表の細川と私が10年ほど前に設立した会社です。我々は元々、広告業界で働いており、細川は吉本興業のプロデューサをしていました。きっかけは、細川のお母様が末期のがんを患い、終末期を家庭で過ごそうとしたのですが、当時は在宅での終末期医療をする医療機関も、それを支援するサービスも少なく、結局は病院に戻って最後を迎えることになりました。そこで、当時はそれぞれが前職を持ちながら、ボランティア的な形でこの在宅医療の支援を開始しました。社名のソシオンは、社会socioと必要needsを合体した造語です。現在は在宅医療の立ち上げ支援や診療所の経営コンサルティング業務をさせていただいております。

②現在の医療環境を巡る大きな課題として、医療病床の削減という政府の政策があります。医療の必要性が少ないいわゆる社会的入院を、医療機関ではなく、老健施設などの介護施設に担当させる、という流れの中で、介護難民と呼ばれる現象もあらわれています。在宅医療のイメージとしては、コストパフォーマンスが悪く、集患の方法が不明で、労力がかかる、というものがありますが、この3点については誤解であるという点をご理解いただければと思います。

③実は在宅医療のコストパフォーマンスはそれほど悪くありません。慢性疾患をもつ通院困難な老人に対して、2週間に1回の訪問診療と、1回の臨時往診を実施した場合、7,346点の診療報酬が設定されています。これは1時間に5件の診療をするとして、1回2500点と計算して、時間当たりの診療点数は12,500点です。これは1回450点の外来診察を1時間に12件のペースで行った場合の時間当たり診療点数5,400点を上回ります。

④集患の方法としては、当社がメディケアコーディネーターと名付けた専門家が、病院や介護事業者などの関連施設との連携業務を担当することで、同時並行的に営業的な集患業務を行います。診療行為を除いた全ての業務をお引き受けすることで、診療所の医療サービスを補完することができます。元々、広告業界にいた我々から見ると、医療の世界はPRや営業といった活動においてまだまだ改善の余地があるように思われます。

⑤在宅医療にかかる業務の流れと言うのは、患者情報の収集→患者・家族への在宅医療サービスの利用説明→在宅診療業務→患者フォロー業務というものです。在宅医療サポートとは、1ヶ月目phase1として在宅医療提供体制の構築、2~6ヶ月目にphase2として、在宅患者の増加による収益向上、7ヶ月目にpase3として在宅医療運営フォローという流れになります。


⑥最近は在宅医療専門の診療所も増加傾向にあり、その背景には東京では通常の外来のみではなかなか集患が難しいという情勢があります。在宅医療の世界に飛び込む意欲的な先生方も増えて来ていますが、一人でやった場合、なかなか大変で、1~2年でburn outして再び勤務医に戻られると言う例もあります。グループで診療体制を構築する輪番制といった仕組みなどを作る工夫が重要になってきます。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。