翌日、彼はこんなアレンジを。
ガラスの水盆に変形剣山を入れて、シンプルなアレンジ。
彼はそういやラッピングも上手だ。
センスのある人は、サイゴンでは徹底してセンスが洗練されている。
で、一般人。自分ではごくフツーだと思っている。
負けました! . . . 本文を読む
友人に日本の剣山を持ってゆく。
彼はこんなふうに剣山を使った。
ガラスの盆にグラスを入れて、剣山にすっくと枝を立てる。
こんなにオリジナリティのある花あしらいができた。
剣山も本望だろう。 . . . 本文を読む
なんだかとても静かな朝。
バイクの音も少ない。
海外に行くと、朝目覚めて「ここはどこだっけ?」
と思うときがある。
ベッドから出てこの光景を眺め、自分がサイゴンにいることを忘れた。
どこにいても太陽はあがる。朝ははじまる。 . . . 本文を読む
サイゴンの男性友人は花が大好き。
日本の「活け花」の本を見ながら、花を活ける。
サイゴンに花は多いけれど、熱帯なので「花!!」というイメージの花が多く、
「微妙な」ニュアンスの花がない。
たとえば、雪の合間にそっと花咲くセツブンソウ。
日陰にふたつづつ花をつけるニリンソウ。
そういう花を見たら彼はどんなに感動するだろう。
今年の春、北海道からスズランが届いた。
その友人にもらった花器 . . . 本文を読む
サイゴンでは、なぜか気がつくと「テネシーワルツ」を口ずさんでいる。
わたしが生まれるずっと前の、古き良き時代のアメリカの歌。
I was dancing with my darlin' to the tennesy walts,when …
なぜその歌が口をつくのかわからない。
おそらくサイゴンのどこかの光景が、その歌をインプットしたのだろう。
そんな光景に合う写真を探した。
これ . . . 本文を読む
向こう岸から、バイクに乗ったたくさんの人たちを乗せてくるフェリー。
岸につくと、みな一斉にバイクを走らせ、仕事に向かう。
輝くサイゴン川。
サイゴンの人たちの、暑くて熱い、長くて短い、一日が始まる。 . . . 本文を読む
サイゴンに最初に来たとき観光気分ではなかった。
こんなわたしが来る資格があるのか、と神妙な思いだった。
たくさんの本を読んだ。たくさんの映画を見た。
学生時代には「ベ平連」に参加してもいた。
わたしの世代はベトナムに強い感慨と思い入れのある人が多い。
活動で逮捕された友人、サイゴン陥落の日に泣いていた友人。
わたしはベトナムを「尊敬」している世代。
「サイゴンのいちばん長い日」のラス . . . 本文を読む
タンソニヤット空港を発つのはいつも夜の11時50分。
サイゴンはこの4年の間に、どんどん変わっている。
ホテル前に待ち構えるシクロがなくなった。
空港の様相も大きく変わった。
4年前は空港の中は喫煙可能だった。
搭乗受付、今ではごっだがえしているが
まだその頃はがらんとしていて寂しかった。 . . . 本文を読む
最初の渡越で行った店。
店内が屋台のようになっている。
これで十二分にベトナムを味わった気分だったのだが・・・・・
甘かった。
ベトナム飯は、行けば行く回数ほど、奥が深まる。
このころはまだ知らなかった。 . . . 本文を読む
タンソニヤット空港に降り立つと、毎度、想像より暑い。
わたしの肌の温度感覚記憶が、「甘い」のだと思う。
確かこのぐらいだったはず、と思っているといつもそれを上回る。
その「想定の範囲外」な暑さを肌が思い出した瞬間、
わたしはサイゴンの人になる(と自分では思ってる)。 . . . 本文を読む
はじめて泊まったホテルの部屋は暗くて小さかった。
間接照明だけが、部屋を彩っていた。
暗いのは寂しい。
だから、今は朝になると燦々と光が注ぐ部屋をリザーブする。
でも、最初に泊まった部屋の暗さとわずかな灯りが、
サイゴンの人たちの暮らしぶりの象徴だと思う。 . . . 本文を読む
サイゴンに限っては、バイクの騒音が好き。
日本の暴走族のバイクは「氏ね」と思うのに。
だってサイゴンのバイクは暴走しない。
流れを読み、リズムを刻みながら、ジャズのように走る。 . . . 本文を読む
またやってきた。
サイゴンの夕暮れ。
昼のサイゴンと夜のサイゴンの狭間。
そのとき、なにもかもが止まったかのように思える一瞬がくる。
夕暮れになると、その一瞬をつかまえに街へ出る。 . . . 本文を読む
ホテルで自分だけのために花を飾る。
自宅でも滅多にそんなことしないのに・・・・・。
サイゴンには花が似合う。
戦争が悲惨だった地には、花が合う。
だからわたしはひっそりと花を活ける。 . . . 本文を読む