TOKYO ⇔ SAIGON そしてたくさんの街へ

東京とサイゴン、そして、いろいろな街を巡ります。

チャムさん

2008-02-17 | Weblog
数あるベトナムの友達の中でもお世話になったのが、チャムさん。少々だけ日本に住んでいたこともあり、チャムさんには普通のベトナム人には聞けないような質問をすることができた。

北と南の人たちとの葛藤、ベトナム人の悪いところ、日本人との違いなど。特に、ベトナムにおける男性と女性の圧倒的な差、についてはずいぶんと学ばせてもらった。

ベトナムの男性は、すごく女性を大事にする。女性はただ物静かにしていればいい。それだけで男性に大事にされる。

だがしかし、一歩家に入ると、女性の強さはすさまじい。譲らない、謝らない、すぐ怒る、暴力すらある、おまけにすごく嫉妬深い。

だからこそ、外で、男性は女性を大事にする。いたわる。

逆に、女性は男性を「外では」徹底的に「立てる」。ぺちゃくちゃと喋らないで、夫(あるいは恋人)の影にひっそりと寄り添う。

ベトナムではお喋りな女性は、男性に嫌われる。だから普段はよく喋るチャムさんも、一人でも男性がいると物静かになった。

それは「ぶりっ子」というよりも、笑えてしまうぐらい明白に「したたか」だった。

男女同権、雇用均等法に慣れた私などは、逆にこういう男女関係ってうらやましいなとすら思ってしまう。

だって、喋らないで微笑んでいるだけで、ものすごく大事に大事にしてもらえるのだよ。おいしいではないか。羨ましいではないか。

ではベトナムの男性は、自分の妻(恋人)だけに奉仕するのかというと、そうではない。そもそも「女性に尽くそう」という意識が日本よりずっと強いから、大皿や鍋からの取り分けなど、ぜーーーったいに女性にさせはしない。

まして、女性にお酒を注がせる、なんてことベトナムでは絶対にありえない。

お酒を男性に注ぐなんてことは、その筋の女性しかしないのだという。

気が利かない私にとって、ベトナムは天国だ。

しかし、そんなこんなを教えてくれたチャムさん。最近、行方知らずとなってしまった。日本からメールと電話を何度もした。だが返事はない。とても心配だ。

彼女はお父さんもお母さんも無くなり天涯孤独。お父様が遺した家に住んでいる。

もともと「南」出身の人なので、ベトナムでは生きにくい。

しかも、プライドが高いベトナムの女性のなかでも、チャムさんは人一倍プライドが高かった。男性に対する激しい攻撃も、だから、並みのベトナム女性以上だった。

大喧嘩のあと、泣きはらした目で、無理に笑顔を作っていた朝をなんども見た。

昨年末行ったベトナムで、再びチャムさんへの電話。何度かけても、自宅も携帯も誰も出る人がなくコール音だけ。

彼女の友人たちにきいてもわからないという。日本人や韓国人の男性が大好きだったから、きっとそういう人を見つけたのだ。と楽天的な友たちはいう。

みんな、チャムさんの強さとしたたかさを知っているから。

でもわたしは心配。颯爽と高級なバイクにまたがって、泣きはらした目でホテルに迎えに来てくれたチャムさん。どこにいるの。会いたいよ。

ベトナムでの大恩人、チャムさんに捧げる。

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