なかなか興味深い記事だ

先日の産経新聞の記事より。

>2018.7.17 22:06

元大阪市特別顧問の野村修也氏に業務停止１月　組合活動めぐるアンケート調査で

　大阪市が平成２４年に全職員を対象に実施した組合活動に関するアンケートに、憲法が保障する団結権やプライバシー権を侵害する質問項目が含まれていたとして、第二東京弁護士会は１７日、当時の市特別顧問で、アンケートを実施した第三者調査チームの責任者だった中央大法科大学院教授、野村修也弁護士（５６）を業務停止１月の懲戒処分とした。

　アンケートは２４年２月、約３万人を対象に記名式で実施。調査方法を問題視する声が上がり、未開封のまま廃棄処分とされた。

　同会は、２２の質問項目のうち「特定の政治家を応援する活動に参加したことがあるか」「自分の納めた組合費がどのように使われているか知っているか」などの５項目が、職員の団結権やプライバシー権などを侵害すると認定。また、アンケートに添付された文書の中に「このアンケートは任意の調査ではありません」などと回答を強制したともとれる記載があったことなどから、責任者だった野村氏について「弁護士の品位を失うべき非行」に当たると判断した。

　同会によると、野村氏は「当時、職員の不祥事が多発していたこともあって、調査は有益かつ必要なものだった」と話しているという。

◇

　当初の記事で、アンケートが実施されたのは、「橋下徹市長（当時）の指示」としていましたが、事実関係が違いましたので、この部分を削除しました。

野村氏という人物についてよく知りませんが、彼は2009年に岩波書店から単著を出版しています。

年金被害者を救え―消えた年金記録の解決策

この本についても読んでいないので、その内容について論評はできませんが、岩波書店の本というのはだいたいにおいてまともだし、Amazonのレビューも数は少ないですが、悪くありません。あるいはこの本が出版された2009年のころは、それなりにまともな人間だったのかもですね。しかしこの本が出版されてからまだ十年にも満たないのに、現在は相当変な人間のようですね（苦笑）。

＞「特定の政治家を応援する活動に参加したことがあるか」「自分の納めた組合費がどのように使われているか知っているか」などの５項目が、職員の団結権やプライバシー権などを侵害すると認定。また、アンケートに添付された文書の中に「このアンケートは任意の調査ではありません」などと回答を強制したともとれる記載があった

なんて、まともな法学者であり弁護士である人物が、作成したり監督するような代物じゃないでしょう（呆れ）。それでご当人、いろいろ官庁や財界でコンプライアンス（！）関係の講演にも呼ばれているようだし、マスコミのコメンテイターとしても活躍しているというのだから、これまた非常識にもほどがあるというものです。

が、これだけならこの記事を拙ブログに取り上げるつもりはありませんでした。私が興味深く感じたのは、最後の追加のところです。

＞当初の記事で、アンケートが実施されたのは、「橋下徹市長（当時）の指示」としていましたが、事実関係が違いましたので、この部分を削除しました。

私が注目したいのが、これが橋下の指示でなかったという話です。実際には忖度他があったのかもだし事実関係がわかるわけでもないですが、そうなるとますます野村氏という人物の社会常識の欠如に驚きます。呆れかえるとはこのことです。

第二に、産経が自分たちの記事の誤りを認めて削除をしていることです。産経は、イデオロギーがらみの記事では謝罪・撤回他をしたがらないのですが（先日の、沖縄での交通事故の件などは、かなりの例外です）、これはそんなにイデオロギーうんぬんというものではないという判断があったのですかね。

最後に、この記事を書いた記者も、そしておそらくデスクや校閲した人も、このアンケートをどう評価するかはともかくとして、「こんな（非常識な）アンケートを作成したのは橋下の指示に違いない」と思い込んでいたらしいということです。語るに落ちるというところですかね。

今回の記事は、bogus-simotukareさんの記事からヒントを得ました。感謝を申し上げます。またこの記事の内容は、その記事に投降した拙コメントをふくらましたものであることをご了解ください。