俳優も、自分の演じた役を恥ずかしがることもあるらしい

某日（2013年になってからです）、とある席で、俳優中原丈雄らと酒を飲む機会がありました。どういう事情で私が中原さんみたいな人と酒をいっしょに飲んだかというのは、説明するといろいろ差しさわりがあるので省略させていただくとして、その席は中原さん以外にも知名度の高い俳優が何人か参加していて、私からすれば信じられないくらい人生至福の瞬間でした。

実は私、中原丈雄という人は、かなり怖い人かなという気がしていました。彼の役柄というと、警察官僚とか社会エリートとか軍人とか、かなり謹厳実直というか近寄りがたい雰囲気がありますから。

が・・・実際の中原さんは、とても腰が低い、私のような人間にもとても丁寧に接してくれる方でした。

だいたい悪役俳優（中原さんは悪役俳優ではありませんが）のほうが性格がいいなんて話もありますし（詳しいことは知りませんが、プロレスラーもヒールのほうが性格はいいとか）、世の中そんなものなのでしょう。

で、私は中原さんに話をしました。

私「私が中原さんの役で印象に残っているのが、『元カレ』なんですよ」

中原さん「ああ、あの部長役ですか」

このドラマでの中原さんは、主人公の上司で、やたら部下や出入り業者に威張りまくる嫌なやつ食品部長を演じています。酔うとセクハラ気味だし、いわばドラマの敵役です。

あの役の印象だと、中原さんの印象は、すごいきつい感じがあったんですが、それが記憶に残っているという話をすると、彼は照れるというか少し苦笑しているところがありました。

つまりは、自分、ああいう人間じゃないんだけどな、っていうところですかね。

そういえば、宝塚出身の真矢みきも、『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!　』での警察官僚役がはまりすぎてしまい、実際にあのようなきつい人間だと思われてしまうとなにかで苦笑しながら語っていました(考えてみれば、この映画では中原の部下の設定です）。もちろん役と本人をいっしょにしてもしょうがないのですが、とくに悪役・あるいは敵役というのは当然善人の役より個性が強く印象には残る反面、そのような副作用も生じてしまうのでしょう。仕方ないことですが、でも時には「どうも・・・」というところでしょうか。

中原丈雄という人は、映画に本格的に出演しだしたのが40過ぎで、デューク・エイセスの付き人をしていたりとかなりの苦労人ですから、たぶん基本的に腰が低い人なのだと思います。というより、そうでなければ芸能界を生きていけなかったのでしょう。

ほかにも、その場にいた某有名女優から酒を注いでもらったり、そのまた別の有名女優からいろいろ興味深い話をお伺いしましたが、それは「時効」になったとき、あるいは別の形でこのブログの記事に反映させていただこうと思います。