ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

基本的に、理数系の学問振興と政治体制・民主主義の程度は関係ないと思う

2016-05-10 00:00:00 | 社会時評

中国共産党の幹部であった故プンツォク・ワンギャル(プンワン 本名については、いろいろな表記があります)についてすごい伝記を書いた阿部治平氏という方がいます。

もうひとつのチベット現代史

余談ですが、このプンワンという人がどれだけすごい人かと言えば、かのペマ・ギャルポ氏ですら

>…私は八〇年代に本当の意味でのチベット自治が実現する兆しが見えたとき、プンツォク・ワンゲルが初代首相にもっともふさわしいと思ったほどです。

とまで評価しているということからもうかがえるでしょう。

もっとも世の中、チベットサボーターを自称しているくせに、このプンワンを知らなかったと堂々とブログで語る手合いがいたことがあります。私なら、知らなかったら絶対そんな話は他人にしません。他人から馬鹿にされます。で、ご当人bogus-simotukareさんと私からやっぱり徹底的に馬鹿にされたのだから、お粗末にもほどがある、どうしようもないとはこのことです。

そんな話はどうでもいいですが、そのすごい伝記を書いた阿部氏のブログ記事に、「おや」というものがありました。つまり、中国では密告が横行しているという話の中ですが・・・。

>権力維持のために言論統制を強化すれば、密告の土壌は深まり拡大する。だが大学や研究所で、講義や研究さらには人格問題などで密告が行われれば、教育・研究の創造的発展はない。社会科学だけではない。科学・技術の分野でもこれでは定説を越えた新学説が生れにくい。伝統的芸術の革新もできない。実に中国にとって不幸な時代がやってきたといわなければならない。

そうですかねえ。文科系は、たしかに政治体制や民主主義の程度によって学問研究の自由が阻害されることはありますよ。戦前の滝川事件なんかはまさにそうでしょう。天皇機関説事件などもしかり。あるいは歴史研究なども、神話などの関係から研究の自由が阻害されることもあったわけです。しかし理数系の学問や科学技術などの問題は、直接はそういうこととはかかわらないんじゃないんですかね。いいとか悪いとかはともかく。

例えば旧ソ連は、米国に先駆けて宇宙ロケットや有人飛行を実現しましたよねえ。また、ナチス・ドイツが兵器とかの関係で、非常に優秀だったのも、私が書くまでもないでしょう。

それで、我が日本はどうですかね。戦前の日本にまともな民主主義なんかがあったわけではありませんが、しかしゼロ戦とか戦艦大和とか、すごいものをつくりましたし、また湯川秀樹中間子論を発表するなど、優れた自然科学者も輩出したわけです。繰り返しますが、いいとか悪いとかの問題ではなく、特に民主主義や政治体制などは関係ないでしょう。きっちりした教育システムがあり、研究者を養成するそれなりのシステムが確立してて、予算をつぎこめば、こと理数系に関してはそれなりの実績は出せるということです。ルイセンコ学説のようなものは、まさにきわめて例外じゃないですかね。あとにも先にも、現段階あれだけの出来事はないでしょう。

>実に中国にとって不幸な時代がやってきたといわなければならない。

そうなんですか? 失礼ながら、文革時代もそうですが、小平の時代などもふくめて、中国の研究環境は、少なくとも理系に関してははるかにめぐまれてきているんじゃないんですかね。留学した優秀な研究者も帰国しているし(もちろん帰ってこない人も大勢ですが)、大学のポストや政府の援助も今のほうが手厚いんじゃないんですかね。すくなくとも文化大革命の時代と比較して、今日のほうが研究について「不幸」なんて言っていたら、それは全くといっていいほど実態にそぐわないんじゃないんですかね。たとえば下のような記事はどうでしょうか。

>日本を抜いた中国の科学技術力~その知られざる実像

中国の科学技術力が日本を抜いたといっていいのかどうかは、私は論じるための知識がないので滅多なことをいえませんが、たとえば昨年話題になったインドネシアでの新幹線の導入で、中国が日本に勝ったなんてのは、まさに中国の鉄道技術が日本と勝負できるところに来ている、ということではないですかね。あれはダンピングがひどいとか、あんな契約は日本側が取らなくて良かったとかいう話もありますし、またそれは正しいのかもしれませんが、決してそんなにはるか以前というわけでもない時期でさえ、中国の鉄道が日本と張り合うなんてことはまず考えにくかったわけです。先日も記事にしましたように、今年の3月、中国の新幹線に乗りましたが、なかなか快適でした。下の記事をご覧になってください。

上海(あとちょっぴり蘇州)紀行(2016年3月)(4)

上で紹介した読売新聞の記事では、

>日中科学技術政策の決定的な違い 

 中国の科学技術の水準と研究現場のレベルが急速に上がってきた理由はどこにあるのか。ここで紹介したことからも、中国は常に世界一を目指し、大胆な国家目標を掲げることで現場の士気があがっていることが見て取れる。 

 中国は一貫して科学技術を最重要政策と位置付けてきた。沖村氏は「共産党・国務院・行政各部が一体となって政策立案し、実行する体制が出来上がっている」とし、「国務院直属のトップダウンで横断的政策を実行する組織、シンクタンクが充実している」と語っている。

 さらに沖村氏は「研究現場がチャレンジ精神で取り組むように、国家が指揮しているように見える。科学研究にはイデオロギー色がないので国際的にも公正に評価を受けられることが研究者にとっては最大の魅力であり、研究者の士気を高めている」と語っている。 

 科学技術創造立国を国是として掲げている日本において、国家としての科学技術政策と目標と将来戦略が、国民や研究現場にまで明確に伝わってこないことは政治、行政、学術現場の最大の課題である。

とあります。私が注目したいのが、

>科学研究にはイデオロギー色がないので国際的にも公正に評価を受けられることが研究者にとっては最大の魅力であり、研究者の士気を高めている

という指摘です。文科系の研究というのは、その時代の政治や国家体制の在り方と無関係ではあり得ませんが、理科系はそういうものでもないということです。たとえばナチス・ドイツの時代に優秀なユダヤ人の学者(アインシュタインとか)が国を去りましたが、あれはユダヤ人を弾圧したからであって、上にも書いたように、ナチス・ドイツは科学技術で極めて優秀だったわけです。

なんでそんなわかりきったことについて阿部氏が変な主張をするのか理解に苦しみますが、このような態度では、中国の本質には全然近づけないんじゃないんですかね。プンワンについてあんなすごい伝記を書いた優秀な方が、なぜこんな世迷言を書くのか、ちょっと信じられない気分です。

なおこの記事は、例によってbogus-simotukareさんの記事からヒントを得ました。感謝を申し上げます。

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32 コメント

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Unknown (ブラウ)
2016-05-10 08:24:11
聞きかじりですが、「電気機関車を自前の工業技術力で生産できる国」というのは、先進国は別としてさほど多くないのだそうです。で、それを実際にやっているのが、たとえば北朝鮮だったりするんだとか。

>科学研究にはイデオロギー色がない

まあつまりは「そういうこと」なんでしょうね。
>ブラウさん (Bill McCreary)
2016-05-11 06:31:48
なるほどね、北朝鮮の場合、機関車は自前なんですか。そういえば、そんな気もしてきました。かなり独特な形状ですよね。もっとも最近の形式については知らないのですが。
Unknown (bogus-simotukare)
2017-07-29 15:09:35
■産経【びっくりサイエンス】中国がついにブラックホールも生成へ? 世界最大の加速器を計画、引き離される日本(科学部 小野晋史)
http://www.sankei.com/premium/news/170729/prm1707290019-n1.html
中国が計画を進める加速器はSPPCだけではない。例えば高能物理研究所が広東省東莞(とうかん)に建設中の「核破砕中性子源加速器」は間もなく完成し、生命や材料科学、医薬品や国防研究などに用いられる。
 日本の次世代加速器計画が不透明になっているのを尻目に、積極的に前進しようとする中国。このままいけば、SPPCが本格稼働した二十数年後には中国が物理学における世界の中心となり、自国の研究者が秦皇島詣でをする日本の影は、薄くなっていても不思議ではない。

 阿部氏の主張のデタラメさが改めて明らかになったと思います。
返しが遅くなり申し訳ございません。 (Bill McCreary)
2017-08-02 19:56:22
コメントありがとうございます。仰せの通りですね。よくSFとかで、すごい科学技術が発達したのに社会は非常に強権社会である、なんてのがありますが、SFばかりでなく、社会の現実はそうでしょう。科学技術で圧倒的に世界をリードした米国だって、マッカーシズムとかいろいろ負の歴史はあります。
精華大学が世界大学ランキングで30位 (bogus-simotukare)
2017-09-06 06:39:52
■『中国の大学は大躍進、止まらない東大の没落 世界大学ランク46位 日本は「大学村」を破壊せよ』木村正人
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20170905-00075394/
 日本からトップ200大学に入ったのは東京大学と京都大学の2校だけです。アジアの大学を見ると、いかに中国が実力をつけたかが分かります。
・日本2校(前年2校)
・香港5校(5校)
・中国7校(4校)
・韓国4校(4校)
・シンガポール2校(2校)
・台湾1校(1校)
(引用終わり)
 ということでやはり
「基本的に、理数系の学問振興と政治体制・民主主義の程度は関係ない」わけです。
>bogus-simotukareさん (Bill McCreary)
2017-09-06 07:16:38
どうも、コメントありがとうございます。

中国の躍進がすごいですね。日本の大学が伸び悩んでいる理由は、たぶん日本国内で完結している部分も大きいかと思います。中国などと比べても、海外で勝負したいという意欲にかける部分があるのでしょう。
■朝日『日本の科学技術「力が急激に弱まった」 白書を閣議決定』 (bogus-simotukare)
2018-06-14 22:50:26
■朝日『日本の科学技術「力が急激に弱まった」 白書を閣議決定』
https://www.asahi.com/articles/ASL66539WL66ULBJ005.html
 政府は12日、科学技術について日本の基盤的な力が急激に弱まってきているとする、2018年版の科学技術白書を閣議決定した。引用数が多く影響力の大きい学術論文数の減少などを指摘している。
 白書によると、日本の研究者による論文数は、2004年の6万8千本をピークに減り、2015年は6万2千本になった。主要国で減少しているのは日本だけだという。同期間に中国は約5倍に増えて24万7千本に、米国も23%増の27万2千本になった。
(中略)
 白書は大学に対し、会議を減らして教員らが研究に割ける時間を確保することなどを提言。政府には研究への十分な投資や、若手研究者が腰をすえて研究に取り組める「環境の整備」などを求めた。
(引用終わり)
 つまりは『基本的に、理数系の学問振興と政治体制・民主主義の程度は関係ない』わけです。
 日本の論文数減少は「民主主義の衰退」つう話ではないし、一方、中国や米国の論文数増も「民主主義の発展」つう話でもない。
>bogus-simotukareさん (Bill McCreary)
2018-06-16 09:39:29
どうもご紹介ありがとうございます。まったく学問の振興というのは、金を出して、優秀な学生を育てるシステムがあればできる話であって、政治体制とか民主化なんて関係ない話です。いいとか悪いとかの話ではない。

記事では理科系の話ですが、文科系も相当中国の学者もすごい研究を発表しているようですしね。それも中朝関係とかです。そういうものが、文革はおろか、20世紀中でも発表できたのかです。できなかったでしょう。さっさとこんなことは、阿部氏は撤回すべきです。
NHK『科学技術強国・中国の躍進と日本の厳しい現実』 (bogus-simotukare)
2018-09-21 00:03:03
■NHK『科学技術強国・中国の躍進と日本の厳しい現実』
https://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2018_0913.html
 いま、中国の科学技術が急速に成長している。「科学技術強国」の建設を掲げてばく大な資金を研究につぎ込み、超大国・アメリカに迫ろうとしているのだ。これと対照的に、国際的な地位低下が指摘されている日本の科学技術。「科学技術立国」を標ぼうしながら、何がこの差を招いたのか。躍進を続ける中国の現実から目を背けてはならない。(科学文化部記者 横川浩士)
■中国躍進の象徴、スパコン
 中国・上海から高速鉄道で1時間余り、江蘇省無錫市にある「国立スーパーコンピューターセンター」。ここに、中国が世界に誇る「神威・太湖之光」がある。
 アメリカなどの専門家がまとめている計算能力の世界ランキングで、ことし6月までの4期2年、1位の座を保ってきたスーパーコンピューターだ。
 高度な計算を伴う研究に欠かせず、各国が開発競争にしのぎを削っているスーパーコンピューター。最新のランキングでは、中国は上位500台のうち200台余りを占め、2位のアメリカを大きく引き離している。
(中国:206台、アメリカ:124台、日本:36台)
■右肩上がりの研究開発予算
「科学技術力をたゆまず増強させれば、中国経済はもっと発展できる」
 中国の習近平国家主席が繰り返し強調している言葉だ。
 いま、中国は国を挙げて科学技術力の強化に取り組んでいる。
 文部科学省の科学技術・学術政策研究所によると、2016年の中国の研究開発費は45兆円余りと、10年で3倍以上に増えている。その額は日本の倍を超え、1位のアメリカに迫る勢いだ。
(日本:18.4兆円、アメリカ:51.1兆円)
 その成果は着実に形となって現れている。
 中国の研究論文の引用数は、2006年までの3年間の平均では世界で5位だったが、2016年までの3年間では2位に上昇。同じ時期に4位から9位に下がった日本とは対照的だ。
■中国が誇る“量子通信の父”
 世界をリードする研究分野も出てきている。
 その代表格が「量子通信」だ。
 「よくいらっしゃいました」
 研究室を訪ねた私たちを和やかな笑顔で受け入れたのは、中国科学技術大学の潘建偉教授。量子通信の研究の世界的権威で、去年、イギリスの科学雑誌ネイチャーが選ぶ「今年の科学者10人」に選ばれ「量子通信の父」とも評されている。
 量子通信は、光子と呼ばれる光の粒子に情報を載せる新たな技術だ。
 潘教授の研究グループは、2016年、開発費100億円とも言われる人工衛星を打ち上げ、世界で初めて人工衛星と地上との間、およそ1200キロの距離で量子通信に成功して世界を驚かせた。
 こうした成果には国の支援が欠かせなかったと話す潘教授。数年以内に新たな人工衛星を打ち上げる■世界の英知を集める「千人計画」
 躍進を続ける中国の科学技術。その担い手の確保にも抜かりはない。それが「千人計画」だ。
「中国の研究環境はどんどん良くなっています。研究に使う機器はアメリカと同等か、私が使っていたものよりも最新のものがそろっています」
 こう話すのは、上海科技大学で免疫とガンの研究に取り組む王こう鵬さん。
 もともとアメリカの大学で研究を行っていたが、「千人計画」に応募し、2015年に中国に戻ってきた。
 「千人計画」は、海外の研究者を破格の待遇で呼び寄せる中国政府のプログラムだ。
 一定の移住資金が支給され、高い給与も約束されるほか、条件によってはそれまでの研究機関との兼任も可能となっている。
 当初は海外で実績を挙げた中国人や中国出身の研究者が対象だったが、いまでは外国人も対象となり、この10年間に7000人以上の研究者を集めたと言われている。
■中国に移る日本人研究者も
 恵まれた環境は、外国人研究者にとって大きな魅力だ。
 中国の名門、復旦大学の服部素之教授(36)は、日本やアメリカでタンパク質の構造などを研究していたが、3年前、「千人計画」に応募して中国にやってきた。
 大学からは、教授職と、5年間で1億円以上の研究費を提供され、10人の研究員や学生を率いて研究を続けている。
「日本だと、私の同僚で私より業績がある人でも、研究室をまだ持てないという人がたくさんいます。日本だとほぼ不可能な環境なので、非常に感謝しています」
 服部さんが指摘する中国の恵まれた研究環境。その1つが、高額な実験装置を大学側が学内の研究者向けの共有の機器として購入する点だ。
 日本ではそれぞれの研究室が予算を捻出しなければならないケースが多いが、大学側で購入してもらえれば、自分の研究費を学生の経済支援や消耗品代などに充てることができる。
 さらに、中国の大学では一般に、大学院生に給与が支給される点も大きいという。その分、大学院生は経済的な心配をせずに進学し、研究に専念できるのだ。
「中国では、博士課程での研究経験はとても評価され、給料も高くなります。ですから、みんな積極的に博士課程に進みますし、研究成果を出したいという熱意を持っています。復旦大学の学生は、東京大学の学生とまったく遜色ないどころか、むしろ上ぐらいに私は思っています」(服部さん)
■中国の科学とどう向き合えばいいのか?
 積極的な研究開発費の投入。優れた研究者の招へい。中国の科学政策の立案に関わる専門家は、科学を重視する方針は今後も変わらないと断言する。
■地方大学が陥る深刻な事態
 一方、日本の科学技術研究はどうなっているのか。現場を歩くと、躍進を続ける中国と対照的に悲痛な声が相次いでいた。
「こちらが、共同利用機器が置かれた施設です」
 静岡大学農学部の本橋令子教授に案内され、レーザー顕微鏡や遺伝子解析装置など高額の装置が配備された施設を訪れた。
 研究者が共同で使えるよう実験装置を少しずつ買い足してきたが、いま、次々と使えなくなってきていると言う。
「こちらの機械は、ふたつ合わせて5000万円くらいになります。一般の研究者には高額すぎて、個別に購入できる方は地方大学にはいないと思います」
 本橋教授が指し示したのは、細胞の数やDNAの量を調べる装置。
 利用記録をみると、最後に使われたのは4年前。修理費が工面できず、故障したままになっているのだ。
 さらに、研究者の数も減り、農学部の教授室の1つは、空室になっていた。定年で退官する教授2人につき、新規で採用する教員を1人に絞っているからだ。
■削られ続ける運営交付金
 使えなくなる機械。減っていく研究者。いずれも背景にあるのは大学の資金不足だ。
 国は10年余り前から、競争力があると見込まれる分野に研究予算を選択的に投入。その一方で大学の運営費は減り続けている。
 静岡大学の場合、この13年で13億円削られた。
(H16年度:108億円、H29年度:95億円)
 少しでも研究費を得るため、本橋教授は毎週のように外部資金の申請書を書いているが、競争は激しい。地方大学が置かれている深刻な状況に、危機感を募らせている。
「末期的な感じです。やれる実験・研究が限られてきています。そうすると限られた研究成果しか出なくなり、国際的な競争に勝てるようなレベルには、もう到達できないんじゃないかと思います。一定の予算をつけるような形にしてもらわないと、日本の研究のすそ野はどんどんせまくなってしまいます」
■『中国に抜かされている』トップランナーの嘆き
 危機感を募らせているのは地方大学だけではない。
「ここ数年、『先に論文を出された』と思って調べると、たいていは中国人なんです。ネイチャーやサイエンスなどの科学誌に論文を出しても、必ずっていうほど中国人に負けるんですね」
 こう話すのは、東京大学大学院理学系研究科の濡木理教授。
 タンパク質の構造を調べる構造生物学の世界的権威だ。
 濡木教授は、近年、中国の急成長を肌で感じている。
 その背景にあるのが豊富な資金力だという。
 たとえば、「クライオ電子顕微鏡」という最新鋭の装置。定価は1台10億円で、東京大学でも配備されたばかり。国内でも5台しかないが、中国ではすでに数十台も稼働しているのだ。
「研究者の数と研究費、それはすなわち設備になるわけですが、それらが大量に投入されると、どうしても負けてしまうという状況ですね。もうわれわれも抜かされていますね」
 もう1つ濡木教授が危惧しているのが、日本の将来を担う若い研究者の海外流出だ。
 実は、「千人計画」で復旦大学に移った服部素之教授は、かつての濡木教授の教え子。
 服部さんの研究室の映像を見た濡木教授は、こうつぶやいた。
「これではみんな、中国に行ってしまいますよ。こういう環境は、日本はさせてくれない。彼は中国に行ってよかったのでしょう。日本のことを考えると残念ですけど」
 国内の大学のポストが減り、頭脳の海外流出が続く現実。海外で実績をあげた若手の研究者を呼び戻すことができなければ、日本の科学の大きな損失につながると考えている。
「若手研究者がいないということは、日本のサイエンスがもう伸びないということです。海外から若手を呼び戻せなければ、サイエンスが途切れてしまう。日本全体の社会問題だ」
■日本の科学の未来に向けて
 中国の科学政策に詳しい笹川平和財団海洋政策研究所の角南篤所長は、中国に学ぶべき点があると話す。
「中国の科学技術が伸びた背景には、世界のトップレベルの知とつながっていることがあげられます。世界のトップレベルの科学者と中国の科学者が常に一緒に研究しており、国際共同の論文数は日本よりもかなり伸びているのです。日本の科学も、中国を含めて、もっともっと世界とつながっていくということが必要になってくる」
(引用終わり)

 阿部治平とリベラル21には「このNHK記事を読ませた上で」『ねえ、今、どんな気持ち?』と問い詰めたくなります。
 ちなみに記事に出てくる服部・復旦大学教授ですがググったところ、経歴は
・日本学術振興会特別研究員→東京大学助教→復旦大学教授のようですね。
 「助教→講師→准教授→教授」ですから日本にいたのではいつ教授になれたか、という話でしょう。
「今、日本で助教でも、中国では教授にしてあげます、研究費もきちんと出します」となればそりゃあ中国に行くでしょう。当たり前の話です。
>bogus-simotukareさん (Bill McCreary)
2018-09-23 19:00:37
どうも、貴重な記事のご紹介ありがとうございます。

記事中私は、

>中国の科学技術力が日本を抜いたといっていいのかどうかは、私は論じるための知識がないので滅多なことをいえませんが

と書きましたが、これはNHKのリポートからすると、明らかに中国は日本を抜きましたね。今後は、中国の研究所での研究で、ノーベル賞を取る日本人学者も出るんじゃないんですかね。そうなっても全く不思議でも何でもないでしょう。

いずれにせよ、これは、阿部治平氏は、自分の記事を撤回するべきでしょう。理科系の学問研究と民主主義には、何の関係もないという当たり前のことが証明されたわけです。

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