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ミズカンナ

2013-12-15 09:50:00 | Weblog




 先週、日経-FT共同シンポジウムの「日本飛躍の条件」
(Next Steps in Japan's Globalization)を聴きに
行きました。
 “Is Japan back?”というタイトルのパネルディス・
カッションでFTアジア編集長が、日本が70年代や80年代
の高成長やグローバル・プレゼンスを取り戻せるかとい
う問いに対して、答えはNoだと明言しました。また、
スモッグなどいろいろな問題を抱える中国が行き詰まる
のを待つというのは賢明でないと言いました。
(敵失を期待して復活しようとする他力本願を、戒めて
いました。)米戦略国際問題研究所のスピーカーは、
構造改革なくして、成長なしというようなどこかで
聞いたようなフレーズを言っていました。また、世界的
には中国が成長し続けることが必要で、それを実現する
能力、資産、適応力、実験に挑む姿勢があるとのことで
した。
 以前、「ジャパン・パッシング」や「ジャパン・
ナッシング」などと言われ、日本の国際プレゼンスが
低下しましたが、三菱商事の小島順彦会長は、講演の
中で、今年のダボス会議などに参加して、世界の日本
への関心が再び戻り始めたとコメントしていました。
日本再生の条件は、人口が多く、中間層が拡大する
ASEANの成長に日本も乗ることだと述べていました。
他には、それらの国の企業と対等のパートナーとして
の協業、東京オリンピックまでの事業計画「7年の計」
を立てることやグローバル人材の育成、産官学の連携
などを挙げていました。今年、小学校を卒業する
子どもが、東京オリンピックが開催されるときには、
成人になっているということを考えると教育は重要
ですね。
 三菱商事では、入社後8年以内(二十歳代)に半年の
海外勤務を義務付けているそうです。グローバルな
人材に求められるものは3つのC(Curiosity,
Challenging spirit and Courtesy)です。また金属
資源トレーディングの本拠地をシンガポールに移す
など、経営資源の果敢なシフトをしています。経営
資源のシフトは、インテリジェンス(情報収集力と
分析力)の強化を同時に行うべきだとしています。
インテリジェンスの強化とは、例えば政治体制や
社会構造が異なるBRICsを一括りにしないということです。
(そう言えば、年間8千万人の観光客を迎えている
フランスは、観光客の国別のマニュアルを作っています。
「日本人は、その場では黙っているが、自国に帰って
から文句を言う」という性格付けがされています。
だから、日本人をおもてなしする時は、時間に正確に、
また俊敏な対応が必要ということになります。)
 三菱商事は、通常の3ヵ年中期経営計画の上に、
会社の方向性を明確化した長期ビジョンの「7年の計」を
策定したそうです。まず、「隗より始めよ」という
訳ですね。
 最後の日本人によるパネル・ディスカッションでは、
米国企業と対等合併した日本企業の社長が、取締役会の
使用言語が英語になって直面した問題を述べました。
通訳を介しても、日本人の取締役が何を言っているのか
外人の取締役には伝わらないというのです。要するに、
英語力以前のロジカル・シンキングができていない、
阿吽の呼吸で経営してきた日本人の経営者では、
グローバル化に対応できないことになります。
また、別のパネリストは各企業の『独自性』の強さにより、
職種の普遍性が低いことも雇用の流動性をさまたげている
と指摘しました。
 国際競争に負けて電機メーカーから大量に排出された
40・50代のサラリーマンは、以前より低賃金の業種に転出を
余儀なくされています。その時に、自分が電機業界以外の
仕事で何ができるかを想像できないし、面接でも言えません。
上司に言われた通り働いて、今頃泣きを見ても、文句の
持っていきどころはない。今の若い人が自分のキャリア形成上、
その仕事をしたくない、その仕事に就きたくないという主張を
することに対し、年配者は「石の上にも3年だ」と反論します。
私は、世の中は変わったのだから、若者の主張を支持したい。
年配者が、若者の将来の働く場を保証してくれるわけではない
のだから。

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