ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

国家の株式会社化を狙う『秘密保護法』のおぞましさに、保守系議員よ、早く気づいて!岩月浩二弁護士

2013年12月02日 | 日本とわたし
昨夜の、超~盛り上がった、プロ市民2名、ひよっこ市民2名の女子会で、あゆみちゃんから教えてもらいました。
国家の株式会社化。
この言葉が、ストンと腑に落ちました。
それまで、なんかモヤモヤとようわからんと思てたこの法律の輪郭が、くっきりと見えてきたような気がします。

ぜひぜひ、その感じをみなさんにも!
そして、みなさんから議員さんにも!

街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋
どこまでもマチベンのブログ by 岩月浩二@守山法律事務所(名古屋市)


特定秘密保護法の狙いが国家の株式会社化にある 
事態のおぞましさに保守系議員よ、早く気づいて!


内田樹氏が喝破したように、特定秘密保護法は、国家を株式会社化することを主たる目的とする法律である。
(同氏の、朝日新聞の談話に関するこのブログの前記事はこちら)。
実は、この観点から見た方が、特定秘密保護法の不思議な在り方も説明が付く。

秘密保護法は、立法技術的に見れば、カラの器であることは、すでに何度か述べた
何を秘密にするのか定義されておらず、別表を差し替えるだけで、
いとも簡単に、入れるべきものを差し替えることを可能にする、特殊な立法技術が使われている。



この法律は、器だけで、中身がカラであるだけではない。
この法律には、中心が存在しないのだ。
いや、外に向かって開かれている、といった方が正確だ。

わかりにくい話をしているが、順に述べる。


特定秘密の指定をチェックする第三者機関について、総理自身が第三者機関になる、との答弁が登場したのは、笑いぐさになっているが、
実際は、笑いぐさではすまされない。
この答弁にこそ、この法律の深刻な本質が端的に表れている
正面から、この法律の形を見れば、総理が第三者機関であるという主張は、十分に合理的だ。


特定秘密をまとめて管理する機関が、この法律には規定されていない。
各省庁がばらばらに秘密を指定し、秘密は、ばらばらに存在し続ける。

秘密を集約する機関がない。
つまり、秘密を指定し、管理する中心が存在しないのだ。
日本国内で秘密を統制する機関が存在しない。
国家の安全保障を謳いながら、なぜか、国家は、秘密を管理する主体になっていない。
秘密がばらばらに指定され、増殖し続ける。

統一的に、秘密を管理する中心が存在しない。
だから、第三者機関が問題となったときに、総理が第三者になろう、と言い出すことになるのだ。

しかし、総理が第三者機関だという説明には、もっと深い意味がある。

もう少し視野を広げると、秘密の中心は国内にはない、という言い方になる。
それだけではない。
むしろ、この秘密保護法が指定する特定秘密は、外に向かって開かれているのだ。
そして、ここにこそ、この法律の本質がある。



たとえば、この法律にはこういう規定がある。

5条4項
行政機関の長は、指定をした場合において、その所掌事務のうち、
別表に掲げる事項に係るものを遂行するために、特段の必要があると認めたときは、
物件の製造、又は役務の提供を業とする者で、特定秘密の保護のために必要な、施設設備を設置していること
その他、政令で定める基準に適合するもの(以下「適合事業者」という)との契約に基づき、
当該適合事業者に対し、当該指定をした旨を通知した上で、
当該指定に係る特定秘密(第八条第一項の規定により提供するものを除く)を保有させることができる

第8条 
特定秘密を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち、別表に掲げる事項に係るものを遂行するために、
適合事業者に、当該特定秘密を利用させる特段の必要があると認めたときは、当該適合事業者との契約に基づき、
当該適合事業者に、当該特定秘密を提供することができる
ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が、当該特定秘密について指定をしているとき、
(当該特定秘密が、第六条第一項の規定により、当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く)は、
当該指定をしている行政機関の長の、同意を得なければならない。


この適合事業者は、この法律の随所に登場する。
特定秘密は、国民には徹底して隠蔽されるが、適合事業者にはダダ漏れ構造
なのだ。


そして、適合事業者は、特定秘密をさらに、第三者に提供することが可能だ(10条3項)。

特定秘密は、記録を作成することが義務づけられており(3条2項)、データとして、こうした適合事業者を流通することになる。


そして、象徴的な意味で、決定的なことは、
特定秘密とは、わが国の安全保障に、著しい支障を与えるおそれがある情報(第3条)であるにも拘わらず、
その提供を受ける適合事業者には、国籍規定が存在しないということだ。

つまり、わが国の安全保障に、著しい支障を与えるおそれがある情報であるにも拘わらず、海外事業者でもよいということなのだ。
尤も、国籍要件を定めたところで、グローバル企業を除外することができないことは、見易い道理だが、
それにしても、国家の安全保障に関わる場面で国籍が問題とされていないのは、象徴的意味を持つだろう。


アメリカでは、TPP関連情報にアクセスできるのは、600の企業、ないしその代理人たちであって、
議員には、アクセス権は基本的にない。
一国の在り方に関わる重要事項を、議会に関わらせずに、
グローバル企業、ないしその代理人に決めさせるのが、現在のアメリカの国の在り方である。


ここまで来れば、話は早いと思う。

つまり、ここで規定されている適合事業者は、グローバル企業である。
国民には、情報に対するアクセスを禁止し、グローバル企業には筒抜けにする
これが、特定秘密保護法の描く国家像である。


何が秘密かは秘密である。
何が秘密かは、随時入れ替えることができる。
そして、国内には、秘密のセンターは存在しない。
秘密は、国外に対しては解放されている。
解放された先の、特定秘密情報の受け手は、グローバル企業である。



内田樹氏は、秘密保護法は、国家を株式会社化する法律だ、と喝破した。
国民は従業員に過ぎないから、従業員に対して、大事な企業情報を提供する必要はない。
効率的な意思決定のために、民主主義を放棄して、集権型のトップダウンの意思決定の国に、改組するのが秘密保護法だと。


国家株式会社論の抜けた部分が、誰が意思決定をするかだ。
形式的には、内閣・行政が、意思決定しているように見えるだろう。
しかし、内閣総理大臣ですら秘密を掌握しているわけではない。
では、実質的に、意思決定をするのは誰か。

この部分が、内田氏の株式会社論から抜け落ちていた部分だ。
秘密を集約しうる者が、この国の意思決定を担うのだ。
そして、秘密を集約しうる者は、この法律の中には、「適合事業者」しか存在しない。




国内にセンターのない、不思議な秘密保護法のセンターは、層としての「適合事業者」である。
グローバル経済ルールが好ましいと考えている、一握りのグローバル企業と、その代理人(ロイヤー)が、
「適合事業者」として、海外の、あるいは国家の上部空間にあるセンターに座り、この国の意思決定を行う。
意思決定を行う、個別の「適合事業者」は、その都度入れ替わるだろう。
しかし、「適合事業者」と称するグローバル企業が、意思決定を行うことは、この法律で確実に担保される




そして、むろん、「適合事業者」が誰かは、「特定秘密」である。


この国は、かつて、米国の対日要求によって、延々と続く会社法の改正を強いられた。
結局、会社法は、かつての会社法とは、似ても似つかぬものとなった。
その過程では、会社とは誰のものか、という議論が行われた。
従業員のためのものでなければならないのではないか、あるいは、社会的存在なのだから、社会のためのものでなければならないのではないか、と。
しかし、結局、株主のものだ、株主利益を最大化するのが会社だ、ということで事態は決着してしまった。


秘密保護法は、国家を株式会社化する。
株主は誰か。
株主は、グローバル企業だ。


この際だから、そのことは明確にしておく。

秘密保護法は、グローバル企業が、日本の意思決定を効率的に行い、日本の資源から最大限の利益を収奪するために使うツールなのだ。
これから、この国は、インフラや国家機構も含めて、彼らの収奪や、頻繁な取引の対象とされるだろう。
オリンピック確定済みの巨大都市東京などは、グローバル企業にとっては、垂涎の的である。


朝日新聞の内田樹氏インタビューは、後半にこういう展開がある。

法律ができれば、反政府的言論人や労働組合は、『経済成長を妨害するもの』として抑圧され、
メディアも、政府批判を手控えることになるでしょう。

この法律の、テロリズムについての注釈が(「テロリズムの定義について」)、
最終的には「主張に基づき、他人や国家に強要する活動」に行き着くことは、すでに述べた。


日本の株主となるグローバル企業にとって、企業活動を妨げる行為は、まさにテロリズムなのだ。


あまりにも不格好な法律の姿は、こう考えて初めて説明できる。
グローバル企業よ、お前たちのやることは、あまりにもぶざまで、醜い


みんなの党は、こうした文脈を理解して、秘密保護法に賛成したのだろう。
しかし、大半の自民党議員や公明党議員は、違う筈だ。
維新の会の議員も、この構造には反対だろう。
国会議員の方々、この法律のぶざまな異様さに一刻も早く気づいてください。
知らなかったではすまされない場に、あなた方は立たされています。
知り合いに、秘密保護法に賛成しそうな自民党や公明党、維新の党の議員がおられる方、
この論考を、一刻も早く、議員に届けてください。


願わくは、内田説と、内田説に基づくこの論考が、参議院での審議において参照されることを祈る。

この議論は、多分、あまりにも突飛で、際物に見えるかもしれない。
正気ではないかのように見えるかも知れない。
しかし、残念ながら、ここで提示した理解は、この法律の本質を突いている、と言わざるを得ないものだ。


追記
「外国人に対する処罰規定がない」、はガセネタだ。
弁護士なのに、日弁連が反対している法律に、実名でなく登場するような弁護士には、注意した方がいい。
しかし、ここに提示した根本的な法律構造は、ガセネタではない。
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