ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

もうこれ以上、高江での暴力と差別を、無視していてはいけない時がきている。みんなで声を上げよう!

2016年10月20日 | 日本とわたし
沖縄のヘリパッド建設に反対しています。
沖縄出身でもなく、沖縄出身の友人や知人がいるわけでもなかったけれど、
原発事故の後、社会の仕組みをいろいろと調べているうちに、米軍基地のこと、沖縄のことも、深く知るようになり、
巨大権力に虐げられ、押しつぶされていく町や村、そして人々の無念は、何も原発だけに限ったことではなく、
その暴力を助長させてきたのは、知らないままに生きていた、知っても自分にはどうしようもないと無視してきた、わたしのような人間だということに気づきました。

最近親しくなった、やんばるの森出身ののんちゃんから、沖縄の歴史を、その場で生きてきた人の声で話してもらっていると、
ただ文字を読んだり映像を観たりする以上に、不当な扱いを受け続けてきた悔しさ、悲しみ、怒りが、しみじみと伝わってきます。

よく、ネットなどでは、高江の現場で反対運動をしている人の中に、遠くから駆けつけてきた人たちが居ることを、非難する意見が見受けられます。
「もともと沖縄に住んでいたメンバーならともかく、どうしてよそ者が遠くからやって来て」という調子で…。

高江は、本当に小さな集落です。
そんな、たった140人ほどの集落の中にいて、異を唱えることはとても難しい。
だから、地元住民の多くは、声を張り上げたり、座り込んだりするようなことはしたくない、という人が多いし、
反対運動を潰そうとする、県警や他県からの機動隊の人数の多さと弾圧行為によって、道路が封鎖されたりすることから、
生活に生じる不便に対する不満や怒りが、反対運動に参加している人たちに向けられたりします。
さらには、根も葉もない噂を信じて、お金をもらってやってるんだろうと、罵倒されたりもするので、参加できないでいると聞きました。

でも、地元紙の琉球新報が、高江区で実施したアンケートでは、こんな結果が出ています。


賛成は0…。

沖縄の、200人にも満たない小さな村なんだから、反対したって簡単に押し切れる。
そんな政府の傲慢な予想に反して、他県や他市から駆けつけてきた、辛抱強い抗議行動、反対運動によって、工事は遅れに遅れていました。

標的にされた村、高江。

政府が高江を標的にして、他県の機動隊まで動員し、工事を強行しています。
そして機動隊は、法的根拠も無しに、道路を封鎖したり、住民に暴力や暴言を吐いたりしている。
この異常さが、この非情さが、もし本土のどこかで、それもあなたの家の近くでまかり通るようなことになったら、あなたはどうしますか?
夜の9時を過ぎて、そろそろ子どもたちを寝かせようかという時に、
部屋の窓が揺れ、食器がガタガタと音を立て、お腹の中まで響くような爆音を立てて飛ぶ軍用機が、
訓練のためだといって、夜中まで何度も何度も、直上の空を低空飛行したら、
あなたは、あなたのお子さんは、ご家族は、話すことも眠ることもできないまま、幾晩も過ごさなければなりません。
その不快感、恐怖感を、なぜ東村の住民の方々は、我慢しろと強制されなければならないのですか?
世にも美しい自然の宝庫の中で、ゆったりとした人間らしい暮らしがしたいと、移り住んできた人たちもいます。
なのに今では、不眠に悩み、爆音に苛まれ、隣の村に避難している…。

無関心でいる人や想像できない人が、圧倒的多数であることも、信じたくはないけれども現実です。
でも、沖縄のように、理不尽さを押し付けられることは、今に日本中のあちこちで起こるかもしれません。
自分の身に起こって初めて、気がついているのでは遅いのです。
わたしたちにとっても、あなたたちにとっても、このオスプレイによる暮らしの破壊や、基地の押し付けは、他人事なんかじゃない。
そのことに気づいて欲しいと、心の底から願っています。

豊かな緑の世界が、ここまで無残に破壊されてしまいました。
わたしでさえ、こんなに悔しいのだから、それを現場で目の当たりにされている住民の皆さんの心の内を思うと、本当に胸が痛みます。






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「悔しくてつらくてやりきれない」ヘリパッド工事強行
【DAYS JAPAN】2016年8月2日
https://daysjapan.net/2016/08/20/「悔しくてつらくてやりきれない」ヘリパッド工/

7月22日早朝、全国から集められた機動隊が、高江に押し寄せた。
ヘリパッド建設に反対し、泣きながら座り込む住民たちを、次々に排除していく。
それは、圧倒的な権力による弾圧だった。

写真/森住卓、北上田源 文/丸井春(DAYS JAPAN)


N1ゲート前に押し寄せる機動隊。写真はすべて、沖縄県東村高江。
2016年7月22日 Photo by Takashi MORIZUMI


国による工事強行の日

「9年間守り通したこのN1の山が、とうとう削られはじめました。
本当に残念で、無念でなりません。悔しいです。どうしたらいいのか……」



米軍北部訓練場内のヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)新設工事が、強行的に着工された4日後の7月26日、
建設が予定されている高江の、N1地区と呼ばれるゲート前で、2007年から、工事反対のための座り込みを続けてきた儀保昇さん(63)は、そう漏らした。

住民らの反対の声をよそに、砂利や資材を載せた大型の工事車両が、次々と、ゲートから訓練場内に入って行く。
ゲートと住民の間の県道には、何百人もの警官や機動隊、民間警備員が並び、数台のカメラが、住民らを「監視」する。
米軍の基地のはずだが、米兵の姿はなく、日本の権力が、日本の小さな集落の住民に対峙する。
異様な光景だった。

工事の再開は唐突で、あまりに強引だった。
7月10日投開票の参院選で、沖縄では、辺野古新基地や高江ヘリパッドの建設に反対する伊波洋一さんが、現職の島尻安伊子・沖縄担当相を大差で破った。
翁長知事が、
「これで、一昨年の衆院選、今年の沖縄県議選、参議院選挙で沖縄の民意が示されたことになる。新辺野古基地は絶対に造らせない」と話し、沖縄中が喜びに湧いた。
その翌日早朝、沖縄防衛局は、2年間休止していた、北部訓練場のヘリパッド新設工事の手続きを開始し、メインゲートから機材を搬入しはじめた。

そして、工事着手日とされた、22日早朝5時過ぎ、全国から集められた数百人の機動隊が、高江に押し寄せ、N1ゲート前の70号線を封鎖した。
住民たち約200人は、資材の搬入をどうにかして止めようと、約150台の車をハの字に並べ、座り込んで抵抗したが、
機動隊員らは、圧倒的な数と力で、人々と車を、次々に排除していった。
「なんで!」
「どうして沖縄だけいじめるの!」
悲鳴のような泣き声と怒号が響き、混乱の中で、3人が救急搬送された。
儀保さんも、抗議していた宣伝カーの上から、引きずり降ろされた。
「機動隊や警察は、こちら(住民ら)は怪我しても構わないというような、暴徒を鎮圧するみたいな態勢だった。
まるで〝銃剣とブルドーザー〞(※注)だ」と話す。

農業を営む、住民の会の宮城勝己さん(63)も、「悔しくて爆発しそうだった」と、怒りを隠さない。
「沖縄県民への愚弄としか思えない。あの選挙は何の選挙だったのか。
基地にノー、海兵隊の撤退、地位協定の改定は民意ですよ。
それなのに、あんな暴挙にでてくるというのは、沖縄を何だと思ってるのか」

住民を排除した正午過ぎ、機動隊の「盾」に守られるようにして、重機やコンクリートブロックなどを積んだ作業車が、次々に基地内に入っていった。
住民の応援にかけつけようとした人々、炎天下の中、せめておにぎりと水だけでも届けたいと、現場に向かおうとした人々もいたが、
県道は、高江の人々の生活道路であるにも関わらず、午後5時近くまで封鎖され、近寄れなかったという。

工事着手後も、人々は、県道を挟んだゲートの反対側から、連日反対の声をあげ続けるが、
車道に並んだ無表情の機動隊に阻まれ、歩道から1歩出ることも許されない。
「昔は、警察はこうじゃなかったんですよ」と、儀保さんは言う。
「辺野古でも高江でも、県警は、基地に入っていく車両や防衛局と住民が、ぶつかり合いにならないように見ていて、
険悪になりそうになったら、止めに入る役割をしていました。
それがここ2年ぐらいの間に、完全に向こう側になっちゃった。
この差にとても愕然とし、無力感を感じるんです」

住民らは、2007年から9年間、なんとか森を守ろうと、静かな高江での生活を守ろうと、闘い続けてきた。
悔しさと無念さは大きい。
「この現場は、本当に日本なんでしょうか?高江は日本なんでしょうか?」。
高江に住む伊佐育子さんは、そう声を詰まらせた。


N1ゲート前を埋め尽くす機動隊。この機動隊は北側からやってきて、N1ゲート前を制圧した。
2016年7月22日 Photo by Gen KITAUEDA



オスプレイが飛ぶ村

高江の人々に、基地の「圧力」がかかりはじめたのは、1996年のこと。
そのころ、沖縄では、前年に起きた、米海兵隊らによる少女暴行事件を受けて、「基地は出ていけ」という、圧倒的世論が広がっていた。
それに危機を感じた日米政府は、この年、SACO(沖縄に関する特別行動委員会)合意を打ち出し、
「沖縄の負担軽減」「基地の縮小」のためだとして、普天間の移設などを決めた。
その合意の中のひとつに、やんばるに広がる約7800ヘクタールの北部訓練場のうち、北部約4000ヘクタールを返還する、というものがあった。
ただし、返還後も残るエリア内に、6か所のヘリパッドを新たに建設することの条件付きで、だ。
そのうちのひとつ、N4地区のヘリパッド2か所は、2014年に完成し、オスプレイが配備されている。

「6月の中旬から、オスプレイが3機、1日に何度も、離着陸する訓練が繰り返されました。
あの時、もうここには住めないな、という不安がよぎりました」と、伊佐さんは言う。
低空飛行を続けるオスプレイの騒音はすさまじく、「地震のような、内臓に響くような音」(住民のひとり)だという。
騒音は、確実に、生活に被害を及ぼし、体調を崩す人が増えた。
地元琉球新報紙によると、6月に発生したオスプレイの騒音は、1日あたり32・8回に上るという。
一部の地面が返還されても、上空は、より強固な基地と化しているのだ。
「あと4つ(ヘリパッドが)できて、さらにオスプレイが配備されたら、生活は確実にできなくなると思う」(伊佐さん)。

(*まうみ注・オスプレイの騒音を図表に表したもの)


のどかな高江の山あいを、砂利などを積んだトラックが、警察車両、機動隊車両に、前後を挟まれて走る。
高江の景色が変わった。

離ればなれになった一家。
「子どもたちは避難させた。
決断したのは、6月に入ってから。
3週間ぐらい、毎日のように、オスプレイが夜遅くまで飛んで、子どもが眠れなくなっちゃった。
眠れないと学校も行けなくなるし、イライラもする。
オスプレイの低周波が、健康にどういう影響を及ぼすのかも、まだ分かってないでしょう? 
親としては、そんな環境の中に、子どもは置いておけなかった」

N4のヘリパッドから約400メートル、安次嶺現達さん一家の家は、やんばるの森に囲まれるようにある。
家に向かう小道には、ヤンバルクイナが現れ、鳥が鳴き、近くには小川が流れる。
13年前、ここに引っ越してきた。
「子どもたちを、ここで育てたかったの。
自然豊かなここで、伸び伸びと育てばいいなあと思ってね」。
高江で土地を探していたある日、今の家の近くで、たまたま車がスリップして出られなくなった。
「いっか、じゃあ、ここでキャンプしようと思ってキャンプをしていたら、たまたま地主さんが来て、話がついた」。
家族でカフェを営み、暮らしてきた。
しかし、オスプレイが飛ぶようになり、いま、中学1年生をはじめとする、6人の子どもと妻は、車で40分ぐらいのところに避難させている。
避難の話をした時、子どもたちは、「分かった」と答えたという。

「いまは、眠る時も自分はひとり。
子どもたちに、1日1回は会いに行くことにしてるんだけど、5分とか10分いたら、またこっちに帰ってこないといけない状況」だという。
安次嶺さんは、家に残った。
「この問題のせいで、引っ越しするのも悔しいし、本当は、あいつら(ヘリパッド建設を強行する権力)に出ていって欲しいし」。
今はとにかく、ここでなんとかがんばらないといけない、と繰り返す。

「きのう、久しぶりに、子どもたちが帰って来たの」と、安次嶺さんが一瞬、顔を緩める。
ゲート前で闘う安次嶺さんでない、家族との「普通の生活」の中で見せるのだろう、おだやかな、やさしい表情が覗いた気がした。
でも。「着工後、ここ数日は飛んでなかったから、きっと飛ばないだろうなって思ってた。
そうしたら飛んできた。
10時ぐらいまで飛んでたと思うよ。
もう眠かったから放っておいて、酒飲んで寝た」と言う。


N1ゲート前に座り込んで抗議する人を排除する機動隊。
2016年7月22日 Photo by Takashi MORIZUMI



国に住民が訴えられる

安次嶺さん一家も、2007年から、ゲート前で座り込みを続けている。
2008年11月、国(沖縄防衛局)は、安次嶺さんを含む、反対運動を続ける高江の住民15人(子どもを含む)に対して、那覇地方裁判所に、通行妨害禁止の仮処分の申し立てをした。
反対運動を押さえ込むことが目的なのは、明らかだった。
住民側や弁護団は、ヘリパッド建設に対する意思表示や抗議行動は、憲法の表現の自由に当たると主張し続けたが、
「国の通路使用を、物理的方法で妨害してはならない」として、およそ民主的ではない、住民敗訴の判決を下した。

「国はね、裁判を起こしたって、痛くもかゆくもないよ。
でも、こっちは7年間も引きずり回されて、時間も取られるし、精神的にも疲れるし。
うちらは、普通に暮らしているだけでしょう? 
ここにヘリパッドが来るのはいやだ、と言っているだけでしょう?」

子どもたちがこれから、本当に幸せに暮らしていけるのか、不安になることが多いという。
これから先、子どもたちが避難先から帰り、また、もとの家で暮らせる日は来るのか。
安次嶺さんは、
「きっと状況は変わらないと思うよ。あと4つできるんだから」と言う。
「子どもは何も、悪いことしてないのにな」

オスプレイが高江に来ることは、住民らが再三、防衛局に問いただしても、「分からない」と言われ、隠されてきた。
国のいう、「沖縄の負担軽減」「基地縮小」は、結局のところ、米軍が希望するとおりの、基地強化に繋がっている。
普天間飛行場の「代替基地」とされる、辺野古新基地は、新たな機能を備えた巨大な軍事基地となり、
高江では、オスプレイが離着陸できる、新たなヘリパッドが造られている。
そのうちのひとつは、宇嘉川の沿岸・河口部のヘリパッドと連動し、
そうすることで、これまで北部訓練場ではできなかった、海からの侵入離脱訓練ができる基地になることが、指摘されている。

「なんかもう、戦争の準備でもしてるんじゃないか、と思うよね。
宮古島や石垣島、与那国島にも、自衛隊がどんどん配備されて、何の準備なのかと。
日本の政府は、そういうのを沖縄だけに押し付けて、もし戦争があった時には、それも沖縄だけに押し付けるような気がする」

安次嶺さんは、自宅近くに、小さい宿を造ろうとしていたという。
「家族でできる範囲で、3部屋ぐらいの小さい宿を造って、これからやろうかって思ってた。
そんなときに、オスプレイがどんどんうるさくなって、基地が造られようとして。
そこに宿を造ってさ、泊まりに来る人がいるのかなと思ったらね、造るのもちょっと、どうしようかと思っちゃって。
せっかくお客さんが来てもさ、いきなり、夜にオスプレイが飛んで来たら、びっくりして帰るんじゃないかと思って」。
宿造りは、途中で止まったままだ。
「来られる人は、高江に来て欲しい」、と安次嶺さんは言う。
「宿もないし、遠いし、来るのは大変な場所。
でも、たくさん来てくれたら、世論は動くかもしれないから。
そして、高江のきれいな所を、たくさん見て帰って欲しい」


理不尽な状況に涙を流す市民。2016年7月22日 Photo by Takashi MORIZUMI


違法だらけのヘリパッド建設

ヘリパッドの建設は、国による違法行為が、多く指摘されている。
市民らが、抗議行動のために使ってきたテントを、強制的に撤去したことも、その正当性が疑問視されているし、
7月22日に、無理矢理、県道を封鎖したことも、多くの弁護士らが不当だ、としている。
県民の「水がめ」とされ、沖縄本島全域に水を供給する、新川ダムそばの村道は、車両の重量規制がかけられているが、東村には、書類は出されていない。
さらに、ヘリ基地反対協抗議船船長の、北上田毅さんによると、防衛局が、事前の協議もなしに、国有林を伐採していることも違法、だという。
「N1のゲートからN1のヘリパッドまでは、工事車両は、所々崩落した旧林道を、改修しながら進んでいかなくてはなりません。
ところが、両側の底地は国有林ですから、いくら沖縄防衛局が工事の手続きを進めても、勝手に切ることはできません。
人間の胸の高さで、直径4センチを超える木についてはすべて、沖縄森林管理署と協議をする必要がありますが、
それなしに、防衛局は、工事に入っています」。
さらに防衛局は、N1裏に続く別の旧林道に関しても、工事用の道路とするため、
7月11日に、沖縄森林管理署に、国有林の使用承認申請書を提出し、
沖縄森林管理署は、それを、わずか3日で承認してしまった、という。
「本来は、国有林というのは、工事の許可がおりたとしても、工事が終われば、また現状復帰をして、森林を復旧する、というのが許可条件です。
でも、ここにヘリパッドが完成したら、米軍車両がひっきりなしに行き来しますよ。
だから、せっかく日本に返還されて、いまは国有林としてみんなの財産になっている森林が、
今回の工事によって、基地の強化のために使われるんです」(北上田さん)

工事の車両は、ひっきりなしに、ゲート内に入っていく。
とはいえ、人々は、決して諦めていない。
歌をうたい、気持ちを奮い立たせ、非暴力でまた声をあげる。

「ここで諦めたら、沖縄のおじいおばあが、何のために今まで戦ってきたのか、申し訳ない気持ちになります。
おじいおばあは、アメリカと戦ってきましたが、私たちの目の前にいるのは、いったい誰なんでしょうね。
諦められないんです」

伊佐さんは、そう言って笑った。

(※注)米軍の強制的な土地収用を表現する際に使われる言葉。かつて立ち退きに抵抗する住民を銃剣で排除し、強制的にブルドーザーで畑や家屋を破壊したことに由来。




沖縄・高江の“惨状”訴え 救急車も阻止する機動隊の暴走
【日刊ゲンダイ】2016年10月12日
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/191638

辺野古、高江に目を向けろ――11日沖縄県で基地建設に反対している27人が、国会を訪れ、辺野古や高江の現状を訴えた。
8人の国会議員も出席した。

集会では、写真と動画で、辺野古や高江の現状が紹介された。
今年2月、2基のヘリパッドが米軍に提供されてから、オスプレイの訓練が激増した高江。
低空を、襲い掛かるように飛ぶという。

「ヘリコプターと違って、オスプレイは、腹の底に響くような低音です。何とも言えない恐怖感です」(沖縄在住の参加者)

7月に工事が再開した高江では、連日、反対する住民が、機動隊に排除されている。
7月にけが人が出た時も、機動隊は、かけつけた救急車の通行を、阻止したという。

集会に参加した琉球大学の高良鉄美教授(憲法)は、
「報道も規制されている。高江の状況があまりにひどい人権侵害で、表に出せないのです」という。
実際、8月には、取材中の記者2人が、機動隊によって強制排除されたが、
政府はきのう、「報道の自由侵害に当たらない」とする答弁書を出した。

現地では、日本とは思えないことがまかり通っている。




沖縄ヘリパッド
「土人」発言機動隊員に「出張ご苦労様」

【毎日新聞】2016年10月20日
http://mainichi.jp/articles/20161020/k00/00m/040/136000c

米軍北部訓練場(沖縄県東村、国頭村)の、ヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)移設工事を巡り、
現場警備に、大阪府警から派遣された、2人の20代の男性機動隊員が、工事への反対活動をする人に、
「ぼけ、土人が」などと、差別的な暴言を吐いた問題で、沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は19日、
「(土人は)未開の地域住民を侮蔑する意味を含んだ言葉で、県民としても知事としても、言語道断で到底許されず、強い憤りを感じている」と述べた。

知事は、近く県警本部長に会って、機動隊の適切な管理を求める。

また、菅義偉官房長官は、記者会見で、「不適切な発言を行ったことは大変残念」と指摘。
「許すまじきことなので、警察庁においてしっかり対応すると、報告を受けている」と述べた。
そのうえで、
「地元の村から、早く(北部訓練場の約半分の)返還を実現し、国立公園に指定してほしい、と要望を受けている」と語り、年内に工事を終える考えを、改めて示した。

一方で、大阪府の松井一郎知事は、当時の様子をネット動画で見たとした上で、
「表現が不適切だとしても、府警の警官が、一生懸命命令に従い、職務を遂行していたのがわかりました」と、自身のツイッターに書き込んだ。
さらに、「出張ご苦労様」と、ねぎらいの言葉も投稿した。

この発言を巡り、府警は近く、隊員から、事情を聴く方針を固めた。
事実関係を確認の上、処分を検討する。
【佐藤敬一、田中裕之、青木純、堀江拓哉】












別の機動隊員は、「シナ人」と罵声
沖縄県警から大阪府警に連絡

【The Huffington Post】2016年10月20日
http://www.huffingtonpost.jp/2016/10/19/okinawa_n_12568798.html

沖縄本島北部で進む、アメリカ軍北部訓練場の、ヘリコプター着陸帯(高江ヘリパッド)建設に抗議する市民に対し、
大阪府警の機動隊員が、「土人が!」と、差別用語で罵倒していた問題で、
別の機動隊員も、「黙れコラ、シナ人」などと発言していたことが、沖縄県警の調査でわかった。
朝日新聞デジタルなどが報じた。

朝日新聞デジタルによると、この発言があったのは別の場所で、同じように、工事に抗議する人たちに浴びせられた。
大阪府警の、20代の機動隊員だったとして、沖縄県警から、大阪府警に連絡があったという。
府警は、帰還させ、調査を始める予定という。

琉球新報は、県警の聞き取り調査の内容として、機動隊員は、事実関係を認めていると報じている。
抗議参加者と政治団体とのもみ合いに、大阪府警の機動隊十数人が、間に入った際に、発言があったという。
政治団体の関係者も、同様の発言をしていた。
隊員は、聞き取りに対して、
「興奮して思わず言ってしまった。差別的な認識はなかった」と、釈明しているという。

大阪府警の担当者は、「土人が」と発言した機動隊員について、10月19日夜のハフポスト日本版の電話取材に対して、
「大阪府警の機動隊員で間違いない。
普段から、公平かつ中立な振る舞いをするようにし、教育しているため、不適切な発言だったと考えている。
今後はこのようなことがないように、指導を徹底したい」とコメントしている。




“土人”発言に激怒 翁長知事は暴走沖縄県警に切り込めるか
【日刊ゲンダイ】2016年10月20日
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/192177

沖縄県の、翁長雄志知事の堪忍袋の緒が、ついに切れた。
安倍政権が強引に推し進めている、沖縄・高江の米軍オスプレイ離着陸用ヘリパッド建設。
大阪府警から応援に来た機動隊員が、抗議活動の住民に、「土人」と暴言を吐き、
翁長知事は19日、県庁で、「言語道断で到底許されない」と強く非難。
きょう、県警本部長、県公安委員長と面談し、適切な管理を求めるという。

現地では先週、砂利を工事現場に運ぶダンプカーの、ナンバー表示がないなど、違法車両であることが判明。
稲田朋美防衛相も、18日の会見で、ナンバー表示が見えにくい車両があることを認め、
「事業者として、受注者(建設会社)に対し、改善を指示した」と言っていた。
ところが、内閣府沖縄総合事務局の、車両安全課の担当者に聞くと、
「18台の違法車両の所有者に、往復ハガキを準備している。
近日中には郵送します。
現場で違法トラックを取り締まるのは、警察です」と、まるで他人顔だ。

「なんくるないさー」(なんとかなるさ)が沖縄県民の特徴だとしても、あまりにいい加減過ぎる。
とてもじゃないが、県民が安心して、生命、財産を任せられる組織じゃない。

そもそも、違法ダンプが砂利を納入する際、3台のパトカーと、50人の機動隊員が、同行しているのだ。
そばに居合わせた警官も、往来する違反車両を、“現認”できるはずだ。
目の前の違法行為が分からないなら、よほどの無能警官。
さっさと転職した方が、住民のためだ。
沖縄県警に確認すると、これまたビックリ仰天の回答だ。

「現認?砂利納入車の一部が違反車両だったことは、まだ確認できていません。
これはおたくだけではなく、記者クラブに加盟している地元紙にも、そう答えています」(県警広報)

大臣も認めた「違法車両」について、沖縄県警はいまだに、「確認できていない」というのだ。
こんな組織は、税金のムダ。
潰して構わないだろう。
全国の警察、機動隊が入っている高江の管轄は、あくまで沖縄県警だ。
当事者意識が欠落し過ぎている、と言わざるを得ない。

「翁長知事が誕生した時、県警も、“住民寄り”になるのではないか、と期待感がありました。
しかし、政権ベッタリだった、前任の仲井真県政の時と変わりません。
相変わらず、住民に対して、威圧的で暴力的です」(地元住民)

高江問題の取材を続けている、ジャーナリストの横田一氏はこう言う。

「沖縄県警は、公明党・創価学会が、強い影響力を持っているといわれています。
つまり、自公政権の意向に忠実、というわけです。
翁長知事にとっても、県警は、目の上のタンコブだと思います」

沖縄県警の暴走を、これ以上許してはダメだ。




機動隊員の沖縄差別は「土人」発言だけじゃない!
「バカ」「シナ人」…差別意識を助長させる安倍政権

【LITERA】2016年10月20日
http://lite-ra.com/2016/10/post-2634.html

沖縄への信じがたい蛮行が、明らかになった。
政府によって、強行的に、米軍ヘリパッドの建設工事が進められている沖縄県の高江で、
建設反対派として抗議運動を行っていた、芥川賞作家・目取真俊氏に対し、機動隊員が、「触るな、土人」などと発言していたのだ。
 
このときの動画や音声は、YouTube上にアップされているが、たしかに、機動隊員が巻き舌で、
「触るなクソ、どこ掴んどるんじゃ、このボケ」と威嚇し、そのあと吐き捨てるように、「土人が」と、たしかに言っている。
 
言うまでもなく「土人」は、「野蛮」「未開人」という意味で使われる、蔑視の言葉であり、差別用語として認識されているものだ。
沖縄県警によると、この機動隊員は、大阪府警から派遣された人物で、県警は19日、発言を認めて謝罪した。
菅義偉官房長官も、慌てて「許すまじきこと」とコメントしている。
 
しかし、今回の差別発言は、ひとりの機動隊員が「うっかり言ってしまった」、という問題ではない。
実際、8月の時点から、機動隊員が反対派市民に、「バカ」「気持ち悪い」「おまえなんか殴る価値がない」などと、暴言を吐いていることが確認されており、
今回の「土人」発言が飛び出した際にも、別の機動隊員が、「黙れ、コラ、シナ人」と発言していたことが、発覚しているからだ。
 
本サイトでは、これまで何度も追及してきたように、現在、高江では、機動隊による反対派市民への弾圧が、苛烈を極め、機動隊員が反対派市民を、ロープで身体拘束するという、逮捕・監禁罪に該当するような、違法行為までまかり通っている。
 
そうしたなかで、同時に警察が、差別発言を平気で口にしていることは、決して無関係ではない。
 
たとえば、米軍では、戦地で躊躇なく人を殺すため、兵士たちに、「相手は人間ではない」と教え込むが、
そのために、現地に住む人々を、差別視することを叩き込まれてきた。
そして、ベトナム戦争時や、まさに占領期の沖縄で、米兵は住民たちを「Gook」、すなわち「土人」と呼んできた、という事実がある。
 
相手は自分よりも劣った「土人」なのだから、何をしても許される。
──国家権力は、暴力を正当化するため、差別感情を利用し、兵士たちにすり込んできたのだ。
いま、沖縄で横行しているのは、これとまったく同じことなのである。

歴史を振り返れば、太平洋戦争においても、沖縄は、「本土」からの差別に晒されていた。
熊本憲兵隊が、1927(昭和2)年に作成した、『沖縄事情』内の文書では、
「遅鈍悠長」「犠牲的精神ハ皆無」「盗癖アリ」「向上発展ノ気概ナシ」などという、県民への偏見が綴られているという(琉球新報1999年4月11日付)。
これは、1923(大正12)年の、沖縄連隊区司令部報告の引き写しであり、
〈偏見に満ちた沖縄人観が、軍内部で引き継がれ、固定化されたことをうかがわせる〉ものだ。
 
さらに、沖縄の軍備強化を謳った、1934(昭和9)年の『沖縄防備対策』では、
県民に、軍隊の補完を要請する一方で、
〈軍事思想警察は、国家思想が確固としない彼らには行えない。憲兵の配置が必要〉などと、“県民の監視”の必要性を説いている。
その後、沖縄が、本土決戦準備のための時間稼ぎという、“捨て石”にされた背景に、沖縄県民への蔑視、偏見がなかったとは言えないだろう。
 
こうした差別が、米軍基地を、一方的に沖縄へ押し付けるという、「構造的差別」につながり、
現在の高江のように、公権力は、暴力と差別をセットにして、市民を弾圧している。
そして、戦時下では、軍人たちが、沖縄への偏見を露わにしたが、その役割はいま、政治家に移った。
 
現に、橋下徹とともに、安倍首相との距離を縮める松井一郎大阪府知事は、問題の「土人」発言について、
〈ネットでの映像を見ましたが、表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が、一生懸命命令に従い、職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様。〉
などと、機動隊員を擁護。
よりにもよって、差別を肯定したのだ。
 
また、鶴保庸介沖縄担当相も、沖縄への露骨な差別感情を、隠そうとはしない。
鶴保沖縄担当相は、就任早々、
「沖縄の振興策と基地問題は、確実にリンクしている」
「予算額を減らすのは当然。
消化できないものを、無理やりお口開けて食べてくださいよでは、全国民の血税で使われているお金を、無駄遣いしているという批判に耐えられない」
などと、沖縄を馬鹿にしているとしか思えない言葉を吐いたからだ。
 
このような発言に、沖縄タイムスは、
〈沖縄の人たちを見下すような意識が、見え隠れする〉
〈「無理やりお口を開けて…」という表現は、県民を侮蔑した例え〉と、社説で強く批判、

琉球新報も、安倍首相の任命責任に言及し
〈信頼を失った沖縄担当相の更迭を、判断すべき〉と迫った。

しかし、安倍首相が、鶴保沖縄担当相の発言を問題視することはなく、もはや“失言”とさえ認識していないのだ。
 
機動隊員による「土人」発言は、安倍政権が、民主主義や基本的人権さえ奪って圧制しようとしている、沖縄への態度があって、そこから生まれているものだ。
つまり、「土人」という差別発言は、政権の心情の発露でしかない。
 
そして、忘れてはならないのは、今回問題となった機動隊員が、大阪府警から派遣されていたように、
「本土」が、暴力と差別に加担している、ということだ。
今月17日には、映画監督の高畑勲氏やジャン・ユンカーマン氏らが名を連ね、
警視庁の機動隊員が、高江に派遣されているのは違法だとして、東京都都監査委員事務局に対し、住民監査請求書を提出したが、
「本土」からこそ、高江での暴力と差別を許さない空気を、広げていかなくてはならないはずだ。
(水井多賀子)




高江への機動隊派遣中止求め 都民314人が都に監査請求
【琉球新報】2016年10月17日
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161017-00000021-ryu-oki

【東京】
都内の市民団体「警視庁機動隊の沖縄への派遣中止を求める住民監査請求実行委員会」ら、314人の都民が17日、
米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設で、警視庁機動隊員が派遣されているのは、違法、不当な公金支出だとして、
東京都監査委員に対して、住民監査請求書を提出した。
請求人らは、今回の監査請求を機に、北部訓練場周辺に機動隊を派遣している他の府県にも、運動を広げていきたい考えだ。

請求人らは、
「沖縄の人々に理不尽な犠牲を強いる、ヘリパッド強行建設のための機動隊派遣に、自分たちの税金を使っていいと認めた覚えはない」
などと指摘し、速やかな派遣中止を求めている。

提出後、記者会見した同実行委員会の田中祥二代表は、
「機動隊は、高江でやりたい放題の状況が続いている。
検問をして、市民をロープで縛り、歯止めがない状況だ。
それをやっている税金が、私たちの都税なので、そういうことに残念ながら加担してしまっている。
その立場を絶対に認めたくない」
と述べた。

請求人らの代理人を務める宮里邦雄弁護士は、
「(警察の活動は)住民の安全や災害であれば、それなりに合理性があるが、
今回、自治体の枠を超えて、機動隊が沖縄まで出ているのは、住民の要望があるからでもなく、住民の安全確保ではない。
強い政治的な意図の下に、沖縄に派遣されている。
これは、本来の自治体警察の在り方、原則から見ても曲がっている」
と指摘した。

主な請求人は、高畑勲氏(アニメーション映画監督)、ジャン・ユンカーマン氏(映画監督)、古関彰一獨協大名誉教授、千葉眞国際基督教大教員、西谷修立教大特任教授、上村英明恵泉女学園大教授、太田昌国氏(文筆業)、小森陽一東京大大学院教授、森住卓氏(写真家)、大仲尊氏(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック共同代表)