ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

初レッスンとお別れ会

2009年06月25日 | お家狂想曲
昨日水曜日は、この家での初のピアノレッスンがある日でした。
でも……朝の時点でこの状態。



実は、これでもまだ、かな~りマシになった状態なんです。前日までは、獣道が辛うじて存在していただけの、空間というものが無い部屋でしたから。

でも、なんとしても2時までに、物をどけてあるべき所に置き、ピンクの傷よけ紙を取っ払ってしまわなければなりません。
旦那も仕事と仕事の合間に、Kもかなり積極的に、そして引っ越し当日からずっと来続けてくれているF君とJ君も手伝ってくれて、とにかく部屋らしくなりました。



なんとか見た目は誤摩化せたものの、やって来た生徒に靴を脱いでね、とお願いしたところ、裸足になった子供達から「なんかザラザラしてる」と文句が続出。
「ごめんね~、ほんの1時間前までグチャグチャだったんだけど、やっとの思いで掃除したんだよね~」と言うと、
「まあ、掃除したんだろうけどさあ、きちんとできてないってことだよね」なんて厳しいお言葉をいただいてしまいました。
まあね、引っ越ししてない君達はなんとでも言えますよ。でもね、これってほんと、すんげ~大変なことなんだよ。大の大人が思わずへこたれそうになるほどにね。
普通に暮らしてるのと同じことをしながら、ひとつの家を空っぽにしてきれいにして、空っぽにした分と同じ量の荷物を別の家に入れながらきれいにする。
これって想像以上の時間と忍耐と労力がいるんだよね。
いつか自分が引っ越しした時に分かるよ。そん時に思い出してくれるかなあ。あの日、先生の目の下のクマ、スゴかったよなあって。


そして昨日はまた、ドナルド夫婦とのさよならをする日でもありました。
家の明け渡し式とでも言うのでしょうか、空っぽになった部屋をひとつひとつ一緒に回り、故障や破損の状態を調べ、敷金の払い戻しの金額を決める作業をしました。
それにしても、月曜火曜と二日続きで荷物出しをし、火曜の晩には旦那とふたり、もうこれで絶対大丈夫と固く信じて部屋を出たのに、出てくる出てくる残り物が?!
風鈴、クリスタルカットの窓飾り、時計etc、不思議でした。
最後にキッチンに集まって、丸9年も経ったなんて信じられないとか、ほんとにお互いいい時間を過ごせたとか、これからも仲良くやっていこうとか話していると、
「いやあ、でも、思い出すわあ、まうみのアレ」
「昨日もね、急に朝に思い出して、プププッて独りで笑ってたの」
「ああアレ?プリファッキングッド?」
「そうそう、あ~もう~、また思い出した!」ブヮッハッハッハッ!

旦那が会社勤めをしていた頃、その会社社長(旦那の大学時代の友人の弟)のガールフレンドから家に電話がかかってきたことがありました。
わたしはまだこちらに来て日が浅かったので、どんな様子かを尋ねる電話をかけてくれた彼女。
「どう、まうみ、元気?」と聞かれて、「うん、まずまずいい感じ」と答えるつもりが、ツルリとFワードが口から滑り出てしまったわたし……。
「……あ、そ、そう、元気、よ、よかった」
↑の……の間に色濃く漂っていた空気が今も忘れられないのでした。

ちょっとセンチになったらどうしよう、なんて心配してたのに、ゲラゲラ笑いながらさよならができて良かったです。大ボケもたまには役立つもんです。
互いにギュッとハグ、鍵を返しました。近いんだし、またちょくちょく一緒に夕飯食べよう、と約束して別れました。

いつものパン屋さんや生徒の家に行くと、やっぱりもうモントクレアには住んでいないんだなあと強く感じます。
でも、ここもなかなかいい所です。たくさんの鳥の鳴き声が楽しいし、たまに遊びに行ったカナダの湖畔の家を思い出させてくれるような朝の空気が漂っています。
二階と三階はまだまだ悲惨ですが、これも時間さえかけたらいつかは終わる、決して永遠には続かない作業なので、メゲずにコツコツやっていこうと思います。

お久しぶりです!

2009年06月25日 | お家狂想曲
21日の引っ越しから早4日が過ぎてしまいました。
さすがのブログ狂まうみも、引っ越しの疲れには勝てなかったのだな、ふむふむ……とひとり納得されていた皆様、違います違います、
もちろん10年以上酷使した革財布なみに、よれよれのくたくたではありますが、最高のブログネタを目の前にして、書かずにおられるか~と意気込んでおりました。
が、残念ながら、インターネットが使えなかったのでした!Macのわたしだけ……他の連中はWindowsで、自分達のだけさっさとつないじゃってさ、フンッ
……というわけで、「もうこれ以上待てんっ!」と大声で叫んだら、1時間後につながってました。
手をパンパンと叩いたらパッとつく電灯とかがあるけれど、大声で叫んだらインターネットがつながるのはうちぐらいのもんでしょうか?

さて、前置きはこれぐらいにして、さっそく21日から始まった引っ越しの顛末(はっきり言ってまだ全然終わってないんですが)を少々。

心配していた雨に降られることもなく、曇り空の下、荷物運びが行われました。
頼んでおいた引っ越し会社は11時から1時の間に来るということだったので、緊張しつつも、ギリギリ夜中まで荷造りをしていてシャワーができなかったわたしは、荷出しが始まる前にちょっと浴びておこうと思い、下スッポンポンでトイレを済ませ立ち上がったところに、

「あ~、ここの部屋からお願いしようかなあ~」
旦那と業者さんがいきなり部屋に入ってきたところとバッタリ?!

そりゃまあ、部屋のドアを開けっ放しにして、しかもバスルームのドアも全開で、トイレに座ってたわたしがアホなんですけど、
でも、でも、遅れて当然、たまに来ないこともある、というのが常識のアメリカで、予定の時間より20分も早く来るなんてぇ~!!
長めの丈のTシャツを着ていて良かった……咄嗟に両手でシャツの裾を掴んで降ろしたけれど、間に合ったかどうか……
なんせ真正面でしたから……その格好で……なんという始まり方なんだろう……などと思いながら、しょうがないのでそのままシャワーを浴びることにしました。

来てくれたのは3人。英語が話せる人がひとりだけしかいません。思ったよりも荷物がいっぱいあるってんで、かなり険しい顔して仲間内で話しています。
でもまあ、とにかく運び出そうということで運搬が始まったのですが、え?梱包とかしないの
うちの家具は、わたしがガレージセールで買い集めたり、帰国する駐在家族からいただいたお古の物がほとんどなので、もともと傷だらけ。
でも、唯一、旦那父のお古のタンスだけは1枚板のとってもいい造りの物で、仕事柄、そういうことは分かってくれると思っていたわたしが甘かった……。
引き出しを抜いただけの、全くのまんまの姿でゴトゴトカートに揺られて行くタンスを見送るわたしの心に「ドナドナド~ナ~ドォナ~」の歌が流れていました
ある家具は、運搬途中の階段で足を滑らせた業者さんと一緒にコンクリートにダイブ!
3時間の仕事で300ドル。この破格の値段と電話の対応のしっかりさで選んだ会社だったのですが、あの3人の仕事の荒っぽさを見ていると、どんどん不安になってしまいました。
だって床が……あのできたてのホヤホヤの床が……とりあえず壁塗りの時などに使う紙を全体的に敷いておきましたが、そんなので間に合うのかどうか……。

ウィンザーの家に到着した時点で、既に2時間近く経っていたので、家に入るなり、「ここにサインして」と言って凄まれた旦那。
「なんのためのサイン?」
「2時間延長したらその分を支払うっていうサイン」
「いや、もちろん延長したらその時はちゃんと払いますよ。でも、今の時点だと何時間延長するか分からないんじゃないの?」
「この調子だと、1時間の延長では済まない。うちは、1時間を10分でも超えたら2時間分の延長料金もらうことになってるから」
「うちはそんなことは聞いてない」
「そういう規定だから」
「いったいどれぐらいかかると予想してるんです?」
「さあ~、2時間、3時間、4時間」
ニヤニヤしながらそういう彼を見てるとすご~くイヤな気分になってしまいました。
でも、今ここで関係をこじらせてしまうわけにはいかないので、旦那はとりあえず延長した分だけはきちんと払う、と言いながら、その書類にサインしました。

そしてやっと搬入作業が開始。
例の、我が家のスター家具、旦那父からのタンスは、まだ塗りも新しい階段の縁の上をゴリゴリと擦りながら、二階に運ばれていきました
せめてもうあと1センチでもいいから上げて欲しかった……直接すり合わせながら上げていくなんて……おみゃ~ら、それでもプロかぁ~!!
家のいろんな所に穴やら傷やら、もちろん家具にも穴やら傷やら、でも、それ以上に時間のことが気が気でなかったので、号泣せずに済みました。

結局、3時間40分で仕事は終わり、1時間分の追加料金を払って帰っていただきました。
わたし達では到底運べない物を二階、三階と運んでもらったんだし、すべてがすべて悪かったということではないのだけど、なんだかなあという気持ちが残りました。

さて、Kの友達が手伝いに来てくれるということで、あちこちからのありがたい申し出を断らせてもらったのに、待てど暮らせど来てくれません。
やっと来てくれたC君は、ガールフレンドとの間にできた4才の娘と同伴?!ゼロよりゃマシだけど、大きな助けにはなりません。
狂乱の忙しさと疲れの大渦巻きの中、旦那とわたしとKは、残された荷物の山を少しでも減らすべく各自の車に積んでは運び積んでは運び……でも一向に減りません。
「いったいあんたの友達はいつ来てくれるの?」
「え?来て欲しかったん?」
「来て欲しかったんって……なにをボケたこと言うてんの!あんたの友達が来てくれるからっていうんで、それをあてにしてたのに」
「え、かあさんら、あんまり手伝いいらんて言うてたんちゃうん?でも、じゃ、言うてみるわ」
あと2時間ほどしたら来る、ということになっていた彼ら、結局、あ、やっぱり今回はやめとくという返事を最後に、とうとう姿を現しませんでした。
なんちゅうこっちゃ……。悲惨とはこういう時に使えるよなあ、などと独りごちながら、疲弊した体にムチ打ちながら作業を継続。
6時になって、娘を置いてきたC君が再び登場!そして強い助っ人、Kのゲーム仲間の、マッチョマンF君も急きょ登場!KのSOS電話を聞いて駆けつけてきてくれたのでした。
8時まで頑張ったけれどやっぱり無理。各部屋にポツポツ、キッチンにドカンと山が残ったまま、部屋の掃除もできないまま、とりあえず終了することにしました。
みんなでウィンザーの家まで行き、荷物に埋もれたキッチンでビールで乾杯し、ピザを食べてお疲れさん会をしました。
F君、また明日も来るからと、なんともありがたい申し出をしてくれました。
「悪いなあ、こんなことに巻き込んで」というと、
「暇で仕方が無かったから、やる事を与えてもらってありがたいぐらい」なんて、なんとも素敵なことを言う若者。
旦那が「少しだけどバイト料を払うから」と言うと、「そんな、僕なんかに払うなんて考えないで。これは好きでやってることだから」とニッコリ笑うF君。
Tよ、Kよ、君達が外面がいいという評判は聞いてるけど、F君のこの心根は本物やで。今度、爪の垢をちょこっともろといたるから、煎じて飲みたまえ!

その晩、泥のように眠りに落ちるはずだったわたし達。パニックになった家猫が一晩中ニャアニャア鳴いて、一睡もできませんでした、とさ。