高橋まゆみ・創作人形「まゆみの気まぐれ日記」

農道をかっぽして歩く笑顔のおじいちゃん。姿が見えなくなるまで手を振るおばあちゃん。やさしさはいつもそばにいた。

涙になった言葉

2006-02-14 21:28:36 | まゆみのつぶやき室
ご心配をかけた豪雪の飯山もここ数日春らしい風が吹き、日差しも強く、洗濯物も部屋干ししなくてもいい陽気になってきた。こうなると水を得た魚。気持ちもエネルギーが沸いてくる感じだ。しかしこの豪雪の村に住む人は、「嫁に行くなら上へ行け」ということわざがあるくらい、北部、下に行くほど雪は深くなり暮らしていくには大変なのだ。そんな中、親しくしている民宿があり、そこのご夫婦は古い民家を買い取り、水周りなど手直しをして、それは居心地のい良い隠れ宿になっている。時々仕事関係の人など紹介するのだが、皆何ともいえない満足顔で帰って行く。映画阿弥陀堂だよりのロケ地にもなった場所でもあるのだが、雰囲気、もてなし、心使い、そして何よりご夫婦の人柄が受け入れられているのだ。我が家より、少し下にあるのだが。
私も人形の撮影に何度も使わせていただいたり、同じ雪深い村に住む仲間として、心許せる物がある。
お互いここで生まれた者でない。でもここが好きで、生きて行きたいと思っても、つらいことや、逃げ出せない状況などもありで、時々愚痴る事もある。
そんな時だった。
その、民宿のおかみと何十分と会話して、言ってくれた涙が出る言葉があった。
「まゆみさん、つらいときがあったら、いつでも下に向かっていらっしゃい。ごはんと、寝る所くらいはいつでもあるし、鍵だって、田舎だからかけてないよ」と。
実家に泣きつけない私にとって、なんて救われた言葉であったろう。
その言葉をいただいてもう何年かたったけど、幸い今はそんな状況で下に向かうような、つらい状況は無いが、その言葉の嬉しかった事は今でも忘れられない。

久々に、先日また撮影で借りる為伺った。

何も言わず何時間か撮影していると、すぅ~と大きなお皿にのった、たくさんのおにぎりが出てきた。その後、奥さんが「正月のお餅、少しカビが出たけど、綺麗に落としたから」と鶏肉とごぼうの入った風味いいおわんも出してくれた。
「これだよこれ!」と私は思う。
どんなご馳走よりも、このおにぎりと汁物が優しい人間の味。
死ぬまで忘れないよ

                   まゆみ

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