ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

「ユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドー」2011年リポート

2014-12-11 18:21:09 | ワイン&酒
本日ふたつめのボルドーワインの話題です。

先に紹介した 「ある日、ボルドーワインと共に」 は、ワインを飲む時間、シチュエーション、気分に合わせ、コストパフォーマンスにすぐれたバリューなボルドーワインのチョイスでした。

これから紹介する「ユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドー」(以下UGCBとします)は、ボルドーを代表するアペラシオンにある格付けシャトーを主とした134シャトーをメンバーとする団体ですから、ワインのクラス感はグッとアップします。



UGCBでは、2014年11月26日から中国、韓国、日本(12/1大阪、12/2東京)の8都市を回るアジアツアーを行ない、東京では12月2日に開催されました。
※東京会場出展:92シャトー、来場者計872名
※大阪会場出展:41シャトー、来場者計353名

今回のアジアツアーは、2011年ヴィンテージの試飲会 になります。

まず、ボルドー2011年ヴィンテージの概要は下記の通りです。



これではそっけないので、もう少し詳しく書くと(プレスリリースまとめ)、
萌芽は3月最終週に確認され、その直後に夏のような天気となり、4月、5月の最高気温は例年より高く推移。花ぶるいや結実不良は見られず。6月は変わりやすい天気だったが、非常に乾燥した状態が続いた。
7月の平均最低気温は例年より低く、日照量も不足し、嵐にも数回見舞われ不安定だった。水分ストレスは依然として強く、砂利や砂質土壌のメルロや、落葉し生育が阻害された若木には過酷な環境だったが、よいテロワールではヴェレゾンが始まるタイミングで葡萄樹の成長が止まり、いい条件となった。
8月の降水量は80㎜余あり、局地的な嵐も発生。9月初旬は暑く、場所によっては雹が降った。9月後半は日中は晴れて夜は涼しく、カベルネ・ソーヴィニヨンの成熟を促した。

辛口白ワイン用葡萄の収穫は8月17日から始まった。温暖な春に早く成長したが、成熟期間は比較的涼しかったため、最適なテロワールに育ったソーヴィニヨン・ブランとセミヨンは美しい酸を備え、凝縮し、傑出の出来となった。

メルロの収穫は9月5日、カベルネ系品種は9月末から開始。果実の成熟にバラつきがあり、注意深い選果をした生産者のワインは上出来となった。

ソーテルヌでは8月末に収穫が始まった。9月初旬の雨の後に朝霧が発生し、ピュアな貴腐菌が広がった。9月8日から気温が上昇し、ブドウは急速に凝縮した結果、2011年のソーテルヌとバルサックは偉大なワインとなった。


ということですが、ボルドーのアペラシオンは広いですし、生産者によってもそれぞれですから、結局は、シャトーの仕事によります。

しかしながら、ここはいい!と思ったのは、辛口白ワインのグラーヴとペサック=レオニャンです。
アロマ豊かで、果実味がよく熟し、酸もキレイで、今からでも楽しめます。



私のイチオシはシャトー・ド・フューザル。しっかりした骨格の中に甘みが感じられました。
ここは赤ワインも良かった。



ドメーヌ・ド・シュヴァリエ も素晴らしい出来で、よく熟して品があります。
赤ワインもエレガントでフィネスがあり、ノーブルな雰囲気が漂います。
2011年は、この二つが、この地区のツートップでしょう。



マラルティック・ラグラヴィエールもバランスよい出来。
白はソーヴィニヨン80%、セミヨン20%、赤はカベルネ・ソーヴィニヨン55%

2011年はブドウの成熟が遅く、収穫も遅くなりましたが、しっかり成熟した、果実味と酸のバランスがいいブドウが収穫できたとのこと。
白ワインには、白い花や洋梨などのアロマの表現が豊かで、アロマティックなものに。まろみ、熟成感あるものに。赤も素晴らしい出来で、酸がよく熟し、フレッシュさを残しながら、うまみが乗っています。







サン=テミリオン でいい出来だと思ったのが、シャトー・スタール
よく熟して、酸とのバランスもよく、品があります。


シャトー・カノン・ラ・ガフリエールもバランスよく、シルキーで、じんわり染み込み、ウマイ!


酸の乗ったフレッシュな果実味が良かった Ch. VILLEMAURINE



ポムロル で私のイチオシは Ch. CLINET
エキス分が濃く、ビロードのような舌触りの濃密さが群を抜いていました。


他のポムロルも、なめらかでやわらかく、いい出来のものが揃っていると思いました。




マルゴー では、Ch. GiscourCh. du Tertre が私の推し。
果実味と酸、タンニンのバランスがよく、やさしくフェミニン。



サン=ジュリアン はバラつきが見られるように思います。
Ch.Talbot はパワフルながら、以前よりも樽が控えめでバランスよく、おいしい。


定番の Ch. Beychevelle       Ch. Branaire Ducru




ポイヤック は、シャトーによって、少々青さが気になるところが見られました。
よくできているところは、よく熟し、骨格もガッチリし、酸もしっかりあります。
Ch. Lynch Bages は、しっかりとした酸と、丸いソフトな果実味のバランスが良好。




サン=テステフ はシャトーの差が大きく感じました。
Ch. Cos Labory が秀逸で、エレガントな果実味と酸が、スーッと自然に入ってきました。




ソーテルヌはどれも素晴らしく、2011年は買いですね。



以上、ざっくりと紹介してきましたが、アペラシオンでオススメを挙げると、
グラーヴ&ペサック=レオニャンの白と赤、ポムロル、サン=テミリオン、ソーテルヌ&バルサック でしょうか。

もちろん、他のアペラシオンでも素晴らしい出来のシャトーがありますので、結局は、シャトー次第ということなのですが。

2011年は、いわゆる偉大な年ではないと言われますが、バランスよく、早くから食事と合わせて楽しめるものが多いので、使い勝手としてはいいと思います。
問題があるとすれば、手を伸ばしにくくなった“価格”でしょうかね…

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どの時間にどんなワインが飲みたい?@ボルドーワイン

2014-12-11 10:07:18 | ワイン&酒
先週、ボルドーワイン委員会の主催により都内で開催された「ある日、ボルドーワインと共に」という消費者対象のイベントを取材してきました。

「ある日、ボルドーワインと共に」は、フランスのボルドーワイン委員会の新ビジュアル「見れば見るほど発見がある」をテーマにした、一日の時間軸で飲みたいワインを考える イベントでした。

この日は、ワインを飲む時間、シチュエーション、気分に合わせて選ばれたボルドーワインを、それにふさわしいフード類などとともに合わせて楽しみました。


カウンターには10種のボルドーワインが並びました


ボルドーワインは、先日紹介した 「バリューボルドー100 2014年」 より厳選されたものです。
※ワイン画像の下に記載している番号は、バリューボルドー2014のワイン番号です。



さて、朝は7:00から始まります。


07:00 一日の始まり、目覚めと共に。
天然酵母パンとグラノーラバー、麹ジャムとハチミツを添えて

朝の7時からワインを飲むシチュエーションは、やはり休日でしょうね(笑)
私ならまだ寝ていたい時間ですが、早起きの方は、ボルドーのスパークリングワイン“クレマン・ド・ボルドー”を飲みながら、日本でもすっかり朝の定番となったグラノーラのバーをつまむのもありでしょうか?


ワイン番号:37、38、12


10:00 日の光で読書をしながら

フードのサジェスチョンはありませんが、ワインは、朝から飲んでいるものを引き続き?


12:30 軽めのランチタイム
オイルサーディンと卵、ルッコラのカナッペ
自家製食べるラー油風ディップとモッツァレラチーズのカナッペ
ビーツとくるみ、ディルのマリネ

軽め、といいながらも、けっこうしっかりめの食材を使っていますから、ワインもそこそこボディのあるものを合わせたいところ。


ワイン番号:01、36、87


15:00 午後3時は、とびきりのスイーツと共に。
ショコラテリーヌ リットマンの岩塩を添えて



16:30 夕暮れ、冬の散歩道。



18:00 夕食の支度、味見をしながら。
ハーブ、色々な塩
奈良漬クリームチーズ

15時のショコラにはNo.87の赤がいい感じでしたし、18時のハーブやクリームチーズにはNo.01のソーヴィニヨンの白がよく合いました。



19:00 大切な人とディナータイム
プレザオラとドライトマトのリーフサラダ
ラムチョップロースト 醤油麹と赤ワインのソース
フォアグラと和栗のモンブラン



21:00 食後のひととき。
いろいろなチーズの盛り合わせ
羊羹とクリームチーズ、ドライフィグのピンチョス
季節のフレッシュフルーツ



ワイン番号:71、22、97、86

「フォアグラと和栗のモンブラン」には、No.97甘口の貴腐ワイン“ソーテルヌ”がとてもよく合いました。

午後はずっと何か口に入れているような感じで、1日の総カロリーが気になるところですが(笑)、1日のすべてではなく、気になったシチュエーションを参考にするといいですね。



22:30 くつろぎのバスタイム。           00:00 一日の終わりに。



忙しくなってきた年の瀬、これをヒントに、1日のうちでワインとともにほっと一息つける時間を過ごせたら嬉しいですね。


会場の一角では、ボルドーワイン委員会公認講師によるミニセミナーも開催されました。



この日の私のお気に入りは“羊羹とクリームチーズ、ドライフィグのピンチョス”-甘口ワインと




バリューボルドー2014 公式サイト
 http://www.bordeaux.com/jp/wines

100本の情報が掲載されているパンフレット *pdfダウンロード
 http://www.bordeaux.com/documents/100-Value-Bordeaux-2014_brochure.pdf

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