ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

マヨルカ島のワイン@スペイン

2012-02-07 12:15:38 | ワイン&酒
昨日紹介した 「スペインクラブ銀座」 で飲んだ中に、地中海のバレアレス諸島に浮かぶ島のひとつ、マヨルカ島でつくられたワインがありました。

マヨルカ島では、DO Binissalem(ビニサレム)(1991年認定)、DO Pla i Llevant(プラ・イ・リェバン)(2001年認定)という、2つのDOがあります。
※島自体の大きさは日本の1/100よりやや小さめです(3620.42キロ平方メートル)

ビニサレムは島の北西部から中央にかけて位置する、ゆるやかな傾斜のある平原の地域で、紀元前2世紀からブドウ栽培が行われています。19世紀にはフィロキセラの被害を受けましたが、その後の100年で目覚しい復活を遂げています。

プラ・イ・リェバンは、島の中央から南東に大きく広がる産地です。

DOビニサレムの畑の面積は小さく、よって生産者は小規模になりますが、非常に高い品質のワインを生産しているのが特徴です。
島固有の品種を使用し、最新技術の下、現代人の嗜好にマッチした、非常に魅力的なワインが造られています。
しかし、生産量が限られているため、一部は輸出されますが、輸出コストの点からも、ほとんどが島内で販売されます。

というのも、マヨルカ島を含むバレアレス諸島は観光ビジネスがさかんで、高級ホテルや超一流レストランも多く存在し、そこで供されるワインとしての需要があるため、海外市場ではなかなかお目にかかれない、というわけです。



稀少なマヨルカ島のワインではありますが、日本に輸出されているものもあります。
2011年11月に東京で開催されたスペインワインの試飲会で見つけたものがありますので紹介したいと思います。


左)12Volts 2009    右)4kilos 2008   4kilos Vinicola

醸造家と音楽家が意気投合して2006年に創業した4kilos Vinicola(クアトロ・キロス)のワインです。ワイナリー名は、創業資金400万ペセタ(320万円)から来ています(100万ペセタの重量が1kgなので、400ペセタなら4kg)

ドセ・ボルツは、メルロとシラー各30%、カイエット・フォゴノウ40%、シラー30%、カベルネ・ソーヴィニョン20%、メルロ10%。
クアトロ・キロスは、カイエット・フォゴノウ50%、カベルネ・ソーヴィニョン40%、メルロ10%。
ドセ・ボルツはクアトロ・キロスのセカンドワイン的な位置付けになります。

ここで気になるブドウ品種が カイエット・フォゴノウ(Callet-Fogoneu)です
ほぼマヨルカ島だけで栽培されているといっていい黒ブドウ品種で、色調は濃くなるもののアルコール分は低く、生産量も少なめという特徴があります。
ロゼワイン、フレッシュな赤ワインに使われるということですが、生産者次第でしょう。

(輸入元:株式会社オーデクスジャパン、12Volts 2009  3,885円/4kilos 2008 5,880円)



左)Quibia 2008   右)AN/2 2007  Bodega Anima Negra

Anima Negra(アニマ・ネグラ)も1990年代からの新しい造り手で、非常に注目されています。

キビアは白ワインです。低温でマセラシオン、17℃で発酵、ステンレスタンクで3カ月シュル・リーを行なっているので、爽やかなフレッシュさがありながら、うま味もあります。

ちょうどこの2008年から黒ブドウ品種のカイエットを加えており、構成はプレンサル・ブラン(Prensal Blanc)とカイエット各50%。
プレンサルモル(Moll)種のことで、これもマヨルカ島固有の白ブドウ品種。荒削りでスパイシーさのあるワイン(白、スパークリング)になります。

DOビニサレムの白ワインには、モル種50%以上、またはモスカテル種を50%以上使用することが規定されています。
しかし、生産者のアニマ・ネグラは島の南東にあり、DOビニサレムのエリアではありません。
よって、このワインはVin de la terra Mallorca(地ワイン)としています。

AN/2(エイエヌ2)は、カイエット65%、マントネグロとフォゴノウ20%、シラー15%、フレンチオークとアメリカンオークで12カ月熟成させた赤ワインです。

マントネグロ(Mantonegro)もマヨルカの固有品種。ワインに芳香をもたらしますが、熟成の進み方が早く、酸化しやすい傾向があるため、AN/2で使われているシラーのような、構成のしっかりした品種とブレンドされることが多いようです。
この2007年のワインは、ほどよく熟成し、旨味たっぷり。これは美味。某評論家が91ptを付けた気持ちがわかります。なお、これもVin de la terra Mallorcaです。

(輸入元:株式会社 千商、Quibia 2008 3,500円 / AN/2 2007 3,900円)



どちらの造り手も、価格を見ると他のスペインワインより少々お高い気がしますが、手が届く範囲内でしょう。
生産量が少なく、輸出量も少ないマヨルカ島のワインは、テーブルに出したら、なにかと話題になるはずですし、持ち寄りワイン会やブラインドでも注目の的になること間違いなしですね。
出会うことがあれば、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか?


コメント
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