My Laid-back Aussie Life

オーストラリア、アデレード発のオージーライフ、家族、看護などについて~

The blood taking vampire nurse~ザ・吸血鬼ナース

2006-10-23 13:43:13 | 看護に関するあれこれ
今日も、半シフトをリハビリA&B病棟で働いた。今日は特定の患者を受け持つのではなく、他のナースをサポートするHelpの役目だった。とりあえず、患者が食堂で朝食をとっている間にベッドメーキングを他のナースとし、その後は具合の悪い間をベッドに戻して血圧・脈を測定し、担当のナースに報告。その他トイレ介助・やシャワーを1人分した。

とすると、病棟管理ナース(今日はA&B共々管理ナースは男性看護師だった)に2人の患者のスピッツ3本分の採血を頼まれる。もう1人分あったのだがかなり難しい患者らしく、その患者は臨床検査室にいる採血の専門家(ナースであるとは限らないらしい。)に依頼するとのこと。でもおかしい。知っている限り、オーストラリアの病院では余程の急を要する場合以外は、採血専門のナースが毎朝各病棟を回って採血をする。彼らは、一般的にBlood Nurse-別名、というか愛称:Blood taking vampire nurseと呼ばれる。聞くところによると、つい最近、このリハビリ病棟のみ、そのBlood Nurseが来ないことになり、リハビリ病棟のナースの誰かがしなければならなくなったとか。

「君、採血できるかい?2人分3本いるんだけど。難しそうな人達じゃないよ?」

「…。最後に採血したのは思い出せないくらい前なんですけど。少なくとも数年くらいは立っているかな…。でも、トライしますっ!使ってないと錆びてしまう類の技術ですしー。」

とか何とか言いながら、ではお願いするよ、という彼を残して患者の部屋へ。最初は高齢(80位)の女性患者のところへドキドキしながら行く。げ。彼女の腕を見ると両方血管がとても細く、しかも上腕の関節の内側(たいてい採血に一番適したところ)に誰かが以前採血をしたときに起こしたらしい内出血がバッチリ広がっている。だーれが採血に難しくない患者だって!?と心で悪態をつきながら、よくよく探すと1本、「ここよここっ!ここから採って!」とも言いたそうな割としっかりした血管が内出血の下に見つかる。一応、久しぶりなので万全を期して採りやすいように患者をベッドに寝かせて採血帯をし、アルコールで消毒して自動吸引式の採血用シリンジにスピッツをセット。思い切り良く、ブスッと刺す。この、針が血管を通る感触、懐かしいなぁ、とか、こんな便利な採血帯が開発されたのか、技術の進歩は素晴らしい、とか思いながら難なく終了。「あら、もう終わったの?」と言う患者の言葉にほっと胸をなでおろす。

さて、2人目は60歳くらいの男性。比較的若いだけあって、採血帯を締めなくてもあちらこちらに血管がニュキニュキと浮き立っているのが見える。車椅子に乗ったままの彼を採血する。これもあっという間に終了。「いやいや君、上手いねー。中には採血が全く下手なナースもいるんだな、これが。」と彼はコメント。どうしたら、こんな上等な血管からの採血をミスるんだろう。学生だったのかもしれない。スピッツを所定のオーダー表と共にビニールのバックに入れ、所定の場所におきすべて終了。

日本では大抵、毎朝夜勤のナースの朝一番の仕事として依頼されている病棟中の患者の採血をして回る。私が働いていた病棟では、各ナースが少なくとも毎朝数人分の採血をしていた。採血は数少ない私の特技で、肝硬変や循環障害で血管が見えにくかったり細かったりする患者でもほとんどの場合、ミスをしたことも無かった。新人の頃、ベテランの主任ナースでも採れなかった患者でも苦労しないで出来たのがとても嬉しかったのを覚えている。頭は人一倍不器用に出来ていて、業務で失敗が続く中(ここではどんな失敗か説明するのも憚れる)、人には何か1つ取り柄があるものだ、と自分を慰めていたのも、今はとても懐かしい記憶だ。


主にリハビリ病棟もにだけではあるがシステムが少し変わったせいで、Casual Pool Nurseとして自信を持ってできることが1つ増えたのがとても嬉しい。

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帰りがけに、例の「俄か床屋ナース」で出てきたアジア人の彼が、笑顔で元気に理学療法士2人に付き添えわれリハビリに取り組んでいたのを見かけた。頑張れ!