My Laid-back Aussie Life

オーストラリア、アデレード発のオージーライフ、家族、看護などについて~

空手道場での柔道稽古

2007-11-22 12:33:56 | 空手道場日誌
今日も木曜日の市場買出しの日。チャイナタウンとセントラルマーケットを一通り回ってあっという間に二段式のカートが一杯になる。旬のピーチとネクタリンを何とキロ当たり3ドルで、しいたけに似たスイス何とかっていうマッシュルームが半キロで2.5ドル、でかい新鮮なさばが珍しく魚屋に出ていて2匹で6.5ドル…。結構良い買い物ができた。最近、ジャンクフードが好きな割には食事にうるさい夫に加え、チビ達がガンガン食べるようになり、食費も馬鹿にならなくなってきた。今でこうなら彼らが高校生になる頃には毎日買い物に行くはめになるのではないか??

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昨日は、先週から先生がインドに空手を教えに行っているため、かなり経験のある三段の先輩が師範代として教えてくれることになった。スイス人だけど、オーストラリアにきてかなり長い。私は、気に入ったドイツビールなんかがあって、銘柄を読めないときはかれに発音を教えてもらう。

彼はすごい…。とても礼儀のある強い人で、基本を重んじ、特に組み手が得意。形の分解なんかも詳しい。そしてさらにすごいのは、人を教えるのがとてもうまい。

・まず、軽く柔軟をして首・肩・股関節・膝などのストレッチをする。そして、徐々に基本に導入していくけど、いきなり全速・全力ではせず、ゆっくりとウォームアップとしての基本をしっかりフォームに注意をしながらひと通りの突き・蹴り・受け技を四方突きの八方向バージョンでする。これだと、それぞれの基本だけでなく、腰の使い方、バランス、方向転換したときのフォームが出来きてないとすぐにわかるので見直しの良いチャンス。そして、人数が多いときには限られたスペースで多くのことが出来る。そして、練習の合間にストレッチをちょくちょくさせて、どんどん体をほぐしていく。そして、いつの間にかスピードを上げて行き、その場の基本終了。

・移動稽古も、先生みたいに6つくらいのそれぞれ凝った複雑なコンビネーションを一気にやらせるのではなく(先生には先生なりの理由があるのだろう…)、青帯も黒帯もみんながついていけるように一つ一つを確実にさせる。例えば、「踏み出して内受け・足を変えないで反対側での内受け・前蹴り・そのまま進んで追いつき・逆突き・下段払い」とか。戸惑っている生徒に、特にあまり若くないコンビネーションがぱっと覚えられない生徒(私を含む;)には、「いくつかに分けて、区切りをつけてするといいよ。」ととても的確なアドバイスをする。それでもピンと来ない人には、具体的に2つくらいに区切ってみせる。

・散々汗をかいて体が柔らかくなった頃には、さらっと平安3段と抜塞大の形。休憩2分をはさんで、5本組手。そのあとは、自由一本組手。

・それで前半(1時間半)終了。それからは、1級と黒帯以上の30分の稽古。この師範代は柔道をしていたこともあるので、柔道技にも詳しい。もともと空手も沖縄から全国に伝わる前には、今の古武道と同じく、関節技や投げ技・武器の使用もあった。その代わりにその時代に無かった凝った足技なんかが今の空手にあったりする。それで、この練習のときに彼は、基本的な足払いと投げ技(種類とタイミング)、そして投げ技をかけられたときのための落ち方(れっきとした柔道用語があるんだろうけど!)を習う。どうやら私は投げられる方が得意らしい。そして、最後は自由組手。(豪基準では)小さい女一人が、がっしりしたオージー達を相手に全力でかかっていく。身長190cmはあるだろうこの師範代も真剣に相手にしてくれる。充実の2時間。

全体的に基本・型・組手を網羅していて、バランスがとてもいい。時間配分も申し分なし。そしてさらに、個々の生徒をしっかりと観察していてはっきりとしたわかりやすいアドバイスをする。例えば、「受けのタイミングを注意するように。」と何度も言われている生徒には、さらに具体的な説明の仕方をする。そして、出来ている模範になるような生徒にはちゃんと出来ていることを伝える。

来年の初めから、空手の指導員養成コースに行くことになった。彼の指導と、我等がD先生の良いところをぜひ参考にしたいと思う。練習内容を延々と書いたけどこれはそのときの為に…。

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今日は子供達の空手クラスの師範代として教えに行く日。先週はほかの黒帯の高校生の子が前に立って教えていたけど、暑さの所為かもうまったく集中できずにかなり大変なクラスだった。さて、今日はどうなることやら…。ちょっと怖い。


The Game~空手をする人へ

2007-11-14 22:24:59 | 空手道場日誌
ちょっと前に、通っている空手の道場の先生からこんな面白いものをメールで送られてきた。これは先生のアメリカの友人からもらったものだとか…。これを読んで、思わず手をポンと叩いてうなってしまった。これを空手をする人、そして私の昔の空手仲間の「まみ」(プッ!)とシェアしたい。えっ?日本語にしろって?これは下手に訳すより、原文そのままで味わってほしい…。

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The Game

Before White Belt You dream of being in the game

At White Belt You decide to be in the game

At Red Belt You can see yourself playing the game

At Orange Belt You are introduced to the game

At Yellow Belt You are invited to make a commitment to the game

At Green Belt You realize that the game is more than just a game

At Purple Belt You realize that you have to earn your ticket to the game

At Brown Belt to Black you learn the ground rules for the game

Upon earning your 1st Dan Black Belt You earn your ticket to the game

At 2nd Dan Black Belt You realize that the game is just beginning

At 3rd Dan Black Belt You realize that the game is never over

At 4th Dan Black Belt The game is everywhere you look

At 5th Dan Black Belt You think you know the game so well. You decide to
have your own game.

At 6th Dan Black Belt You realize that you have always been in the game.You decide to be in the game. Again. No need to reinvent it.


空手大会の審判の制服~困っている女性のために

2007-11-01 11:37:53 | 空手道場日誌
空手の審判の試験に正式に通ったので、制服を揃えなくてはならないことになった。

オーストラリア空手連盟で指定されている審判の制服

1.白の半袖ワイシャツ
2.資格取得時に支給される赤と紺のストライプのネクタイ
3.グレーのスラックス
4.紺色ブレザー(2つボタンと指定)に支給される連盟のエンブレムを左胸につける

その他:靴や靴下はとくに指定されていないが、たいていは黒のかかとの低い革靴(組手の主審は動き回るため)とグレー・紺・黒などの靴下。


ぱっと見は、もう男子高校生そのもの。が、女性用でこれを探すのがかなり難しい…。最近大会で知り合いになった大先輩の女性の審判の先生も探し出すのにかなり苦労したとか。早速シティの病院や会社のユニフォームを扱っているショップに行ってみた。私の勤務している病院もここと契約している。で、色々試してみてグレーのパンツは見つかった。というか、気に入った形のパンツを自分のサイズと色を指定しての取り寄せになった。時間もかかる。これは110ドルほど。しかも、日本人にとってはたいていのこちらのジーンズやパンツは長すぎる。そのためまたまた買ったパンツは近所の仕立て屋さんで10㌦ほどで裾上げをしてもらう。シャツは同じ店で割りとしっかりしたどこかの会社のの制服らしきものを特売で30ドル。オーストラリアでは洋服や靴などの製品は、日本ほど質が良くなく種類も少ない上になんとお値段も高め。

さて、最後の紺色ブレザーがなかなか見つからない。80年代後半から90年代前半まで日本で流行りに流行った(ほら、トーキョーラブストーリーとかで鈴木保奈美が着てたよね)あの紺ブレ。同じショップで注文できるというが、ポリエステルの今風のスリムなスタイルで、審判の制服にはもうちょっとしっかりした物がほしい。女性用洋服のお店を日本のオンラインショップで探してもさっぱりなし。で、出会ったのがなんと女子高生制服販売サイト。BINGO!!サイズもぴったり、ウールのしっかりした金ボタンの「あの」紺ブレが見つかった。あれに空手連盟から頂いたエンブレムを付ければ良いだけ。値段も日本で買えばしっかりしたウールのものでも、オーストラリアで質のあまり良くないポリエステルのものを買うのと同じくらい。まあ、23000円くらい?あまり使わないし、出来るだけ安いのがいいわ、という人にはセシールから7240円でポリエステルの洗える紺ブレが出ている。早速日本の友人宅に配送してもらい、それをほかにも買った半纏や甚平やらと一緒に船便で送ってもらうことにする。すずさん、ありがとう!

この紺ブレを探しているときにある武道のサイトに迷い込んだ。日本の武道大会の女性審判も制服を探すのに苦労をされているらしい。無地のエンジのネクタイなどもここで見つかるのでお試しあれ!以下がショップのサイトのURL。なんだか怪しいサイト名もあるが…。

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I LOVE制服

http://i-love-seihuku.com/

KONOMI

http://www.konomi-sgs.jp/kuri-ori/index.htm

セシール

http://www.cecile.co.jp/p/pTE-609/

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空手をするときは、礼に始まり礼に終わる。そしてそのときは服装をきちっとし、空手に、先生に、道場に対して敬意を表し失礼のないように服装・身だしなみを整える。髪をきちっと束ね、装飾品もすべてはずす。指輪・ネックレス・ピアスはどうかしたら変なところに引っかかる恐れもあるため安全性を考えてもそのほうか良いと思う。審判もまた、自然と空手や大会にかかわるすべての人に敬意を表するべきだと私は考えるので、たかが服装・身だしなみ、されど服装・身だしなみ、出来るだけきちっとしたいと心がけたい。大会と私は日本で十数年前に空手を初めて習ったときから、オーストラリアの今の道場、いくつもの見たり参加したりした大小の大会でいろんな審判や選手を見た。そして言えるのは、礼節をわきまえている人は自然とそれが姿・態度に出るものだとということ。そういうものは大切だということを色々な大先輩に若いころに教えてもらって、おかげさまで今恥をかくようなこと無く済んでいる。以前は色々と叱られもしたが、今ではとてもとても感謝している…。

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オーストラリアの友人達に「この間、日本の女子高生制服販売サイトで、紺ブレを買ったのー!」と話したら、「え"ーっ!!」とか言ってちょっと退いていた。

武道の精神

2007-10-22 10:45:34 | 空手道場日誌
最近、近所の図書館の日本語セクションから「武術体操」という本を見かけたのでなんとなく借りた。去年柏書房から出版された新しい本で、著者は生島裕。この人は、今はフリーランスのライターをしているが、以前は中国武術や空手雑誌の編集長をしていたらしい。そして、本人も太極拳・合気柔術・馬貴派八卦掌などを学んだ。

ほんの趣旨はこれらの伝統武術の中の立ち方や動きや呼吸法でストレス・肩こり・腰痛に効くものを実際にわかりやすく理論も説明しながら主に紹介している。空手でも使う立ち方(四股立ち)とか専門用語(丹田)とかも結構出てくるので私には割りと理解しやすかったが、そうでなければ実際ビデオでも見ない限りちょっと実践するのは難しいかもしれない。

この本の中で一番大切だと思った箇所は最後の、「武術の心を知る」という最終章。色んな武道家の例を紹介して武術の究極の目的を模索している。

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いつも道場で先生は生徒たちに「空手を何のためにしているか考えることは大切だ。」と言っている。人それぞれ、ただやりたいから、強くなりたいから、黒帯を取りたいから、美容・健康のために、など色々理由はあるだろう。

私はもともと運動は大の苦手で、運動会とか体力測定はもう恥ずかしい思い出しかない。ほら、短距離走とか、いつもビリでしかもビリから二番目よりさらに数秒送れてゴールインする奴、こんなとろい生徒がいつもクラスに1人や2人はいる。私はいつもこのとろい生徒だった。ソフトボールを投げれば10メートルくらいしか飛ばない、握力計を握れば計器がほとんど動かない、前屈すれば、地面から遥か上方に指先が止まったまま(つまり身体が恐ろしいほど硬い)…。そして、空手に出会うまでは武道というものをあまり知らなかった。こんな人間が普通、自分から空手をはじめようとは思わないだろう。まあ始めるにしても、それ相当のきっかけは必要だろう。私にとってきっかけは、看護学生と医学生の先輩たちの練習を一目見て、「魅かれた」だけ。まあ、一目ぼれってやつ?あの練習稽古の空気に…。

そんな私が空手というものをはじめたのだから最初はもうそれは毎日大変だった。毎日一時間半の部活以外に、練習から寮(全寮制だった)に戻ったらさらに毎日最低30分から1時間自主練と柔軟体操とジョギング。練習らしい練習が出来るまで3ヶ月くらいはかかった。それからは空手の基本的な個々の技や形、組手を基本に忠実に練習していき、練習すればするほどどんどん上達していくのが単純に嬉しかったし、練習自体が楽しかった。それだけ練習すれば黒帯もわりとすぐに取れる。初段を取得したときはそれはそれは嬉しかった。

それから14年たった今、仕事・出産・子育てがひと段落し、今年のはじめからまた真剣に練習をするようになった。そして、現在の短期目標は自分の納得できる形を試合で演武すること。試合に最近出場して、それには自分には絶対的に欠けているものがあると発見した。そして同時に、形を練習するたびに良く日本で空手を教えて下さった大先輩達の形を思い出す。それは相手と戦っているという想定で方を演武しているにもかかわらず負の感情(殺気)とかはなく、絶対的な平常心・自信をもち、全宇宙とその人が繋がっているのが見える。それはもう、技術レベルより数段高い精神レベルの力だろう。

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この本に引用されている合気道開祖の上芝盛平先生の言葉にふっと心に落ちるものを感じた。

「武道とは、腕力や凶器をふるって相手の人間を倒したり、原子兵器などで世界を破壊に導くことではない。真の武道とは、宇宙の気をととのえ、世界の平和をまもり、森羅万象を正しく生産し、守り育てることであると、私は悟った」(p.152)

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始めたきっかけは「魅かれた」から。
続けている理由は「楽しいから・上達(自分を向上)したいから」。
ではここから自分は空手を通して最終的にどこへ向かいたいのだろう?その答えに最近、少しだけ近付いたような気がする…。

空手組手試合のコーチのお仕事

2007-10-09 15:50:08 | 空手道場日誌
おー、最近珍しく体調を崩して大したことのない風邪からいつもの副鼻腔炎でしっかり2週間起きたり寝たりの繰り返しだった。子供がいると、具合が悪いときしっかり休めないので余計に治りが遅い…。単に歳の所為か?というわけで、今回出場する予定だった空手の形試合は見送ることにした。せっかくこの2ヶ月間毎日練習していた、五十四歩小と岩鶴のお初演武は無しとなった。そして今回は試合の次の日にある組手の審判の試験に集中しようと思いきや、なんとその試験さえ試験自体が今回はキャンセルとなった。こっちではよくある事。今ではそんなことにも慣れっこになり、ちっとも驚かなくなった。

先週土曜日の試合は今年最後の空手。公認のSA州空手形審査員になったばかりだけど、今回の試合はとても小さいSA州剛柔会の主催で正式に審査員として招集がかかっていなかったため、見学・形試合の審判の勉強がてら、先生からおおせつかったうちの道場から出場する茶帯の高校生の女の子の組手のコーチという役割を初めてすることになった。

9時に始まる予定の試合に道をしっかり間違えて会場に10時に到着すると、オージーらしくなんとまだ試合が始まっていなかった(またか…)。会場に入るとすぐさまSA州のオーストラリア空手道連盟の会長さんに「審判のユニフォーム持ってきたかね?」といきなり聞かれ、「いや、正式に召集されなかったし(云々)。」と説明すると、「ここ(SA州の空手の試合)では毎回試合があるごとに正式に審判が召集されるのではなくみんななんとなく集まってそのメンバーで審判をしていくんだよ。」というショッキングな事を聞かされた。ではでは、試合に必要なだけの数の審判が集まらなかったらどうするんだい?今回私も審判として参加してほしいようだった。で、次回から試合には必ず審判の制服を持ってくるように、と念を押された。

午前中は観客席で形の試合で審判の勉強。試合を見ながら審判が判定を下す前に自分の頭の中で判定をする。そして、それが審判の判定結果と同じかどうかをチェックする。全部、他の経験のある審判と同じ判定結果だった。かなり安心。次回の試合はこれで自信を持って審判として望めそう…。

お昼ごはんをはさんで、Lちゃんの組手の試合のためのウォームアップ。チューブトレーニング、軽いスパーリング、攻撃の捌き方と反撃法の試合での使い方をする。そして直すべきところはバシバシと注意する。注意したことはLちゃんはとてもすばやく飲み込み、試合に臨む。が!!何故か、試合ではウォームアップで見せた動きが全然出来ていない。勿体無さ過ぎる。せっかくすばやくて強い突きを持っているのに。どうやら緊張しているせいらしい。

そして、このお昼休みにある人と出会った。数少ない女性の審判でさらに貴重な全国レベルの審判に最近なったAさん。先輩審判に自己紹介もかねて話しかけると、とても嬉しそうに「あなたの事は話にきいていたのよー!審判にもっと女性がいるべきよねー!」と気さくに話してくれた。そして話は盛り上がり、同じ中年女性でなんと彼女もナースだと判明。そして私が「私、形はとてもとても見るのは好きなんですけど演武するのが苦手なんですよねー。ちょっとお恥ずかしいんですけど、それを何とかしたくて試合に出ているんですよ。」というと、「ちょっといらっしゃい。形の演武の仕方教えてあげるから!」と試合用のマットに連れて行かれ、着眼の仕方やその他の形演武のコツを教えてくれた。お互い全然話し足りなかったが、Lちゃんのウォームアップがあるので。「今度あったときにもっともっとたくさんお話しましょう!」ということで失礼させて頂いた。とても闊達な良い人だ。

とても大切な出会いができたと感じた。

SA州空手形試合審判員誕生!

2007-08-13 14:36:44 | 空手道場日誌
道場に先週行ったときに先生が珍しくとても心底嬉しそうな顔をして(この人は結構余所行きの表情が多い…笑顔でもね。これもイギリス紳士のたしなみなのか?)、ちょっと引いている私にこういった。

「きみ、この間受けた形試合の審判員の試験、2問くらいしか間違ってなかったらしいよ。いま、シドニーにいる先生から聞いたんだ。形の演武も一番良かったって試験官の先生が言っていたよ。おめでとう!」

えっ?おめでとうって…??どうやら、オーストラリア空手連盟が主催する空手道大会の正式の形試合の審判としての資格が与えられることになったらしい。最初に「ええ″っー!!」と受かるとも思っていなかったためビックリし、その次に嬉しさよりも自分に実際に選手達の形試合において勝敗の決定権の一部が与えられることへの責任の重さを身近に感じた。

実はこの試験、この間の空手の試合の次の日に、審判員の人・審判員見習いの人・全国レベルの選手達合計十数人と一緒に審判のセミナーを受けた。先生はオーストラリア空手連盟の審判員の代表で糸東流の先生。セイエンチンとバッサイダイの形を細かく教えてくれ、どういうことに着目して審査していくかを説明してくれ、他の流派の基本の突き・受け・立ち方を一通り教えてくれる。先生の空手家としての動きも凄いけど、教え方、ポイントのまとめ方、空手に関する知識も凄い人だ。その講習のあとに正式に審判員になるための試験が行われる。私は当然、試験があることをほんの数日前に知らされたばかりだったため、試合のみ集中することにし次回受けることに極めていたため今回の試験は一旦辞退した。が!まあ、次回受けるための練習だと思い、それも先生に伝え組手・形のうち、覚えることの少ない形の審判の試験のみを受けることにした。他に試験を受けたのは2人のみで結構少数人だけだった。

試験内容は…

・第一指定形を2つ演武すること。そして各挙動の意味も説明する。
・質問された自分の流派の基本(立ち方など)を説明すること。
・形試合におけるいろんな状況設定での口頭質問。

が主なところだった。あとはそれに先立って筆記試験。もちろん英語で。でも、アルファベットで書かれている「日本語」の空手専門用語にイライラしながら難なくクリアー。形は試合に使う予定だった「慈恩」「観空大」をかなり緊張しながらも演武し、それも無難にこなせた。指定形教本をみて試合に備えて練習していたのでそれが良かったのかもしれない。口頭質問も、先生の英語訛りの日本語に一瞬「えっ?そんな空手の技あったっけか!?」と冷や汗をかきながらも、実はとても良く知ったある形の中で使われる立ち方だと判明し、試験をスムースにこなす。どのくらいの正確さが要求されるのが分からなかったが、まあ、実感としては出来は悪くなかったと思った。それに先生達が「これは試しに受けてみるだけでしょう?だったら受かろうとして緊張する必要が無いじゃないか!」といわれて、ある程度力を抜いて考えられたのも良かった。が、それがまさか受かっているとは…。先生達ありがとう!それから、試験直前に「頑張れ」といって背中をドンとたたいてくれた同じ道場のR君(彼はなんとオーストラリア高校生の部で形・組手共に1位)ありがとう!

先生は今出張で行っているシドニーから帰ってくるときに私のオーストラリア空手連盟の紋章入りのワッペンを持って帰ってくるらしい。これらからは試合には見習い審判としてではなく、正式に審判員を勤めることになる…。このワッペンは制服のコンブレ(紺色ジャケット)の胸の辺りにつけるもの。そして指定のネクタイと白いワイシャツ、グレーのズボンを着用することが義務付けられる。形の試合の勝敗の判断は、割とはっきりしているポイント制の組手よりよほど難しい。それに、自分の流派以外の型も審査しなければならず、当然他の流派の基本は知っていなければ審査は正しく出来ない。これから、他の流派(糸東流・和道流・剛柔流)の基本や型の勉強を沢山しなければ!!新米形試合審判、これからが勉強の始まりだ。

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日本にいる私の空手の先生や先輩達、きっとこのことを知ったらとても驚いて、喜んでくれるだろう。日本で空手をしていたときには、自分がオーストラリアに住んでいてまだ空手を続けていて、しかも地元で審判員になることになるなんて、ゆめゆめ思わなかったことだ。人生何が起こるかわからないから面白い…。

初の空手師範代のお勤め

2007-08-11 17:21:27 | 空手道場日誌
なんだかこの頃、空手関連でとてもなれないことをして緊張の連続が続いているような気がする。

2週間前の15年ぶりの試合出場、その日に組手の副審の初体験、その次の日は経験のある審判の方々や世界レベルで試合に出場している選手達に囲まれ審判のためのセミナーに参加、その日にさらに勢いで模試のつもりで受けた形の審判の試験などなど。今週はさらに、今週末にシドニーで行われているオーストラリア空手トーナメントにうちの先生が他の審判達にさらにレベルの高い審判の指導をするために出張に行っているため、いつもの4~7才児の空手のクラスの先生を師範代として勤めることになった。実はうちの先生はSA州でただ1人の全国レベルの審判らしい。(実は最近知ったばかり。)審判にはいろいろなレベルがあって、州レベル、全国レベル、オセアニアレベル、世界レベルとランクが上がっていく。

まあ、ともかく…。たかだか1時間のクラスといっても相手はなんと4~7才児、しかもほとんど男の子だ。この年齢の子供は元気がやたら良くって、でも集中力はかなり短い時間しか持たない。毎回先生はどうやったらクラスをまとめられるか、空手を面白く教えられるか、本当に工夫(苦労?)をしているのが分かる。

でもめったに無い経験なので、茶帯の同じ日本人ママさんのTさんに補助をしてもらって教えることになった。考えたメニューは…

・準備運動に道場を軽くジョギング、首・肩・足首の運動
・突きや蹴りのときのお腹の筋肉(腹筋のこと)の使い方
・突き・蹴り・挙げ受けの基本練習
・息抜きに2チームに分かれて「5メートル走って前屈立ちで逆突き5回」競争
・Tさんの茶帯と青帯の息子さん達に協力してもらって1人ずつ2つ形を演武してもらう

とこんな感じにした。

最初の30分はかなりいい感じに進んでいった。でも、お腹の筋肉にかんしては「ウンチするときにお腹の辺りに力を入れるでしょー?そのときみたいに突きをする瞬間に息を吐くときに力を入れるんだよー。」と説明しても余り分からないようだった。まあ、後で追々分かってくれればいいし。考えておいた、「走って逆突き5回」競争は結構楽しんでくれた。突きや蹴りには、先生はいつもやわらかい発泡スチロールの棒を使って蹴らせているけど、今回はA4用紙に「スマイリー・フェイス」を描いたものを的にさせて練習させた。「スマイリーフェイスー!!」とかいってみんなに結構受けていた。40分過ぎた頃にガクッと級にやる気がなくなってきた子達が多くなってきたので、形の練習は省いて10歳と8歳の男の子達に形の演武をしてもらうようにする。茶帯の子は新しく習っている「慈恩」と「ワンカン」、そして青帯の子は「平安4段」と「平安2段」を披露した。道場の子達は興味深々でみていたけど、なんと見学していた親達の「ワオー!!」とかいう歓声と拍手のほうが凄かった。我が子もあんなに上手になってくれたらいいなあ、という気持ちが大分あるようだ。この子達には本当に感謝!普段、子供達のクラスは上手な上級者達の空手を見ることがないから、良いモチベーションに少しでもつながってくれたらと思う。

というわけで道場の鍵を次の小学生のクラスを受け持つ同じ黒帯仲間のGさんに託し、初の師範代のお勤めは無事終了!!クラスが終わった後になんと、みんなで写真まで撮ってしまった。とても良い体験になった。Tさん、Tくん、Sくん、そしてクラスのみんなありがとうね!

空手形試合の反省会

2007-08-05 19:18:34 | 空手道場日誌
先週の試合の後遺症(心身ともに疲れきったということ)から立ち直り、ここ2~3日10月にある試合に向けて練習を始めた。試合のビデオを同じ道場の男の子が撮ってくれたのでそれをまず見せてもらった。三脚無しで撮っていたのとそのこの弟君がかめらを揺らしていたのもあって、見ていると途中で気分が悪くなった。なんか、船酔いと同じような感じ?それを抜きにしても、ああ…、ひどすぎる。家で練習していたときに撮ったものと差がありすぎる。

1.緊張している選手の形を見ると、早く終わらせたいという気持ちから形をぱっぱと流してしまい、極め(注:各技がバシッと決まること)が全然無い形になってしまったり、どこを付いたり蹴ったりしているのか判らない形になってしまったりしていることが結構ある。なので、意識してゆっくりするようにしたのが、なんだかゆっくりしすぎで各動作に極めがあっても全体的にのっそり・だらーんとした形になっている。各動作に極めをと意識し過ぎて、その動作に力が入りすぎてその分スピードが落ちているような気がする。形の演武はフルパワーの8割位が良いのかも。日本のナショナルチームのコーチの偉い先生が、「形は力を抜いてすること。これは以外に難しいことだけど大切なこと。」と言っていた。

→繰り返し特定の型を練習したり、一流の演武者のビデオをみて形のタイミングと全体のリズムを研究することが必要。それから、力まずに技が決まるように筋トレなどでパワーをつけるのも必要かも。

2.それから、基本的な間違いがあった。緊張していて自分では全然気が付かなかったことだが、スタンス(後屈立ちや前屈立ちなどの立ち方)がめちゃくちゃ高い。もうそれは初心者並みに腰が高く浮いてしまったいる。ああ!恥ずかしい!!スタンスは組手・形でも空手の一番大切なものだ。

→どんな状況でも松濤館流のどっしりとした腰の低いスタンスを取れるように、股関節のストレッチと下半身の筋力作りが必要。

3.それから、試合の前のウォームアップが全然足りなかったかも。ストレッチはかなりしっかりやったつもりでも、体全体の体温が全然上がっていない状況でいきなりやったのがまずかったかも。いつも道場で、大抵1時間くらい練習して軽く休憩をはさんだ後、ようやく体が温まってやわらかく軽くなってからようやく形がまともに出来る状態になる。それが分かっているんだったら、試合でも同じようにやって本番に備えろっつーの。

→試合前1時間ほど、ストレッチ・基本・チューブトレーニング・型のおさらいを汗をしっかりかくくらいにすること。その際には水分補給もしっかりと忘れずに。

と言うわけで、目に付くことはこのくらいかな。それから、今回は先生に演舞する形を選んでもらったが、次回は先生がなんと言おうと自分の好きな型で勝負することにする。そのほうが気持ちの入り方が違うって言うもの…。

と言うわけで、今週から部活をしている高校生並の練習をし始めた。

・毎日子供達が遊んでいるそばで面倒見ながら形と股関節のストレッチ
・子供達が家にいないときは暇さえ見つけたら壮鎮・五十四歩小・岩鶴のビデオ鑑賞と研究
・家事(主に料理)の合間に、筋トレ:追突きスクワット・前蹴りスクワット・腕立て伏せ・腹筋・背筋
・週に2回は最低30分近所でジョギング

気が付けば、現在の体重は20才位の一番スリムだったときと余り変わらないくらいに落ちている。後は、10月までこの練習を継続するのみ。モチベーションをキープするのが何時だって一番難しいことだ。

初のオーストラリア空手道大会出場!

2007-07-30 10:25:25 | 空手道場日誌
先週土曜日、SA州空手道大会の形試合に出場した。空手の試合はもう15年ぶり…。久しぶりだからというわけではなく、極度のあがり性であるため、試合に出場すると決まった3週間前から試合のことを考えるたびに動悸がしたりお腹をこわしたりともうそれはそれは大変な緊張をしっぱなしだった。それでも練習を沢山積んでおけば自信がついて緊張が少しは和らぐと思って毎日家でも練習し、道場には週3~4日通った。な・の・に!先生は私の試合は眼中に無いらしく、試合前々日に「今週の試合の審判する準備できた?大丈夫かい?」とか聞いてくるし(その試合に聞いている本人がでるっつーの)、前日に気合を入れて試合前のおさらいをしようと思って道着を着込んで練習にいって道場に行くと、「きみはそっち(道場)じゃなくて、こっち(審判たちが集まっているセミナー室)でしょう!と問答無用で引っ張っていかれ、審判の心得なるものを叩き込まれ、結局は練習できず終い。そして、やったことも無い審判を当日しなくてはいけないことにさらに緊張は高まっていく。

そして当日、緊張して余り眠れなかったプラスこの日は特別に休みを希望していたのに病院から急に「日勤をしてくれないか」なんてふざけた電話が6時前に入り起こされ、ひどい睡眠不足と連日の緊張から来る疲れで試合の日を迎えた。それでもせめてしっかり食べるものだけは食べて、ストレッチとウォームアップも万全にし、成人女子Open形と成人35歳以上(男子と混ぜこぜ)に観空大と燕飛で臨む。緊張はしていても、自分に言い聞かせて故意にゆっくりと形をするようにしたので焦りまくってひどい形を披露するということはなかったし、一番心配していた形を忘れて失格になるということも無かったので当初の目的は達成できたので満足した。結果は悲惨だったけど。2試合ともなんと初戦負け!でも、今まで形の試合で2回戦までいったとこが覚えている限り無かったような気がする。そう、そんだけ形が得意ではないということ。でも、やるからには上達したい。なので、2回戦まで勝ち進めるようになるまで試合に出場し続けることを決心した。ふふっ、先生、私は諦めが悪いのさっ!

でも、試合自体はとてもいい経験になった。35歳以上の試合では同年輩の家族そろってきていた黒帯の男性。とてもまじめな真摯な態度で形を演武していた。そしてもう1人は同じ歳の同じ日本人女性のママさんで彼女もとてもうまく落ち着いて抜塞大をして私と決勝戦に勝ち進む。私は何故か初戦で決勝戦。しかも負け。結構あっさり負けてしまったけどとても上手な相手なので不満は全然無い。でも、茶帯に負けてしまったのでそれがちょっと悔しい…。でも、3人しかいなかった試合なので、参加者皆入賞。私でも2位のメダルを頂いた。もう、勝利の証ではなくて試合出場記念って感じ?でも2位は2位だ。そして1つとても嬉しかったことがあった。他の糸東流のとても経験のある先生が、試合の後に私にこう言ってくれた。

「君達みたいに35歳以上の人たちがこうして試合に出てきてくれると、ほかの年配の人たちも試合に出ようという勇気が出ると思うよ。ぼくの道場のある黒帯の人も試合に出たいのにいまひとつ勇気が無いみたいでね。」

そして私の形の演武については、「今回は久しぶりの試合に出たっていうことが大切なのだから。一つ一つ目標を達成していけばいいよ。」と、心強い言葉ももらった。もー、私の試合なんがどうでも良いうちの先生とは大違い。いや、比べるのは良くないか。うちの先生は、単に私に試合の運営を手伝って欲しいという希望のほうがやたら強いだけなのだから。

今度は、自分の好きな型だけを選んで2、3つだけ特訓するように決めた。岩鶴・壮鎮・五十四歩小だ。いずれも上級者向け。それでもこれだけに限って努力すれば努力は実るはず…。



この一大イベントである試合が終わったのも束の間、次の日にはまたまた試合の前日に引き続き、審判のためのセミナーに出ることになった。そしていつも間にか、形の審判の試験まで模試のつもりで受けることに…。そして、ついうっかり触れるのを忘れていたが、試合当日に実は男子の組手の審判を補助する補助判定員を初体験した。そのことについては次回のブログで-。

空手審判員の講習会

2007-07-24 01:14:05 | 空手道場日誌
ああー、長男の小学校の2週間の休みも先週末で終わり。それはそれは長い休みだった…。

その締めくくりとして、先週の土曜日に通っている道場で、空手の試合の審判になるための講習会に先生に誘われて3時間ほど行って来た。言ってみるとバリバリ現役の審判であり道場の師範が2人、審判志望の人が数人いた。最低条件は黒帯取得者。歳は高校生から、うーん…60歳くらいかな?

講師は主催側のうちの道場の先生。来週はビクトリア州から偉い審判の先生が来てじきじきに試合の判定の仕方を伝授してくださるそうだ。今回はさらっと、試合の判定をするときに一番難しいことは何か(例えば、技が有効として決まるときの程度、反則をどこまで取るかなど)を話し合って、あとは道場の小学生の男の子達に協力してもらって、組手の審判をみんなで交代しながらする。判定用語はもちろん日本語。だがっ!みんなの言っている日本語が時々わからない!!妙なアクセントがあって聞き取りにくい!逆に私のちゃんとした日本語は彼らにはきっと聞き取りにくいのだろうと察する。そして、実地訓練では同時に「中段突き一本」とか声に出しながらサインで示すのも憶えなくてはならないのが大変。もうそれは手話みたいな…。主審は手で、副審は旗で旗信号を送る。結構面白い。

私が主審役をしていたときに「えーっと、赤…中段突き…一本?」とかいかにも自信なさそうにどもりながら言っていたら、「はっきりと言うんだよ。まさか君が日本語に不自由があるなんていわないよね。」とか先生に茶化される。そして、みんなと「今の上段回し蹴り、入ったよね?」とか、「いやいや、今のはちょっと遠いかったよ。」とか、みんなであれこれ話し合うのもとても勉強になるし楽しい。

講習の帰りに、先生にインド人の仲間の生徒と引き止められ「審判になるための試験受けてみないかい?」とか言われる。「インド人の彼と「ええ、いいっすけど、いつですかー?」と聞くと、「来週の金曜日。」と、気まずそうな顔をして先生。「え"ぇーっ!!」みたいな…。この先生は忙しすぎて、こういう肝心なことをポロリと言っておくのを忘れることがある。まったく。ちなみにこの試験は、筆記試験と実地試験で筆記試験は世界空手連盟(WKF)の空手試合ルール、全50ページ以上をすっかり憶えて、実際にそれが実地で出来るようにならなければならないらしい。そんなん、準備期間が最低数週間必要だっつーの。次回の試験に向けて、今週の土曜日の形の試合が終わったら審判になるための勉強だ。楽しみが又1つ、増えた…。