参考
01、「べし」という事には2つの規定が含まれている。第1に、自己の否定に対立する潜在的だが本来的な規定であるという〔肯定的な〕規定である。第2に、しかし、この否定は非存在でもある。つまり「べし」という事には非存在いう規定〔それがまだ実現されていない事〕が含まれている。その非存在はたしかに先の本来的な規定の制限であり、それとは別のものである。しかし、その制限もやはり本来的な規定なのである。(大論理学第1巻120頁)
02、「べし」という事は制限を乗り越えて行くことであるが、それ自身としては有限な乗り越えでしかない。(大論理学第1巻123頁)
03、善はかように「べし」に止まっている。(大論理学第2巻480頁)
04、哲学は理念だけを扱うものだが、この理念は単なる「べし」に止まっているような非現実的で無力なものではない。(小論理学第6節への注釈)
05、この「べし」には、或る事が義なるものと認められているのに、それが妥当させられていないという無力さがある。カント哲学とフィヒテ哲学の倫理学の立場はこの「べし」の立場である。(小論理学第94節への付録)
関連項目
存在と当為