植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

最後はやはり紙頼み 

2020年03月22日 | 書道
ゴルフやらなんやらで、二日間書道のお稽古をさぼってしまいました。毎日続けるのが大事で、たくさん書くことよ、と師匠のF先生が仰います。しかし、惰性で書いている、なんとなく緊張感が無いという自覚もあり、半紙に残るワタシの字がいかにもお粗末に見えてきます。二日空けて練習しましたが、まぁ、大差ないというものの、多少はマシな字が書けました。
 ワタシらのレベル(つまり初級者から中級者になりかけ)になると、日によって出来不出来が極端に違います。技術が定まらず、筆先が正しく自然に動くことがままならないので、ちゃんと書けたり、からきしダメだったりの繰り返し。「くー、へったくそだなぁ」と叫んだり、「おっ、上手くなったじゃん」と呟いたりの日々でありますな。

 それで、準中級者の呟き。
書道の腕、あるいは書の出来栄えは、本人の書道技術・習熟度で決まるわけではないということです。4年間ほぼ毎日稽古して、テクニック以外の要素が大きいのでは感じるのであります。
 思いつくその要素は、①精神状態を含む体調 ②筆の良し悪し(手入れと毛の質、管の太さなど) ③墨(主に墨汁ですが、その濃度) ④半紙の質 ⑤気候・天気 等々になります。
 これらを全て解説すると、恐らく一冊の本が書けるでしょう。題名は「書道下手の言い訳」ですか。

 本日は、取り合えず紙であります。練習にはほとんど半紙を用います。その紙にもいろいろあります。小学校の「習字」の授業で使った学童用の真っ白な半紙、あれはいけません。安くて表面がつるつる、乾くと引き攣れてしわしわになる代物。機械漉きで、元はパルプ(木材から古紙まで植物繊維ならなんでも)、これを細かく粉砕し漂白、最後にはプレス機でアイロンがけのように平らでつるつるの紙にするのです。   
 すぐに破け、きれいな滲みもカスレも出ません。これで、書を書くと下手になります、お習字が嫌になるのではと思います。学童に習字の魅力を感じさせ、日本文化の伝統である書道に興味を持たせるためにも、いくらか上質の紙を使わせる配慮が必要であろうと思います。

 機械漉きがすべてダメかというとそうでもありません。書道用に調整されて上質のものもあります。大体値段相応で一枚1円~4円くらいでしょう。毎日何十枚も消費すると、バカにならないので、上質の機械漉きもアリです。因みに簡単な機械漉きの見分け方は、紙に刷毛で伸ばした横に広がるシマが無く、表面がつるっとしているものです。

 ここからが大事な話です。つまり、もう少しいい紙を使うと字が上手に書けるということなのです。安くても手漉き半紙というと中国産の半紙があります。品質が安定しないとは言え書道の本場のもの。しかも割安です。 粉連・白蓮とか毛辺という商品名が一般的で、一枚5.6円という所。これも練習用には、まずまずいいように思えます。

 これが国産となるとだいぶ様子が違ってきます。原料は「楮・三椏」で、時間と手間をかけ、煮沸し植物繊維を柔らかく、細くし、手で漉いて刷毛で均一にならすという大変な手作業で出来上がります。最低でも一枚10円はします。それ以下なら中国製か原材料にパルプや古紙が使われています。
 本式に作った手漉き和紙、例えば因州半紙とか石州半紙とか言われる、伝統工法で作られているものは重要無形文化財に指定されていたりします。半紙一枚200円などというものがあるのです。内緒ですが以前ヤフオクで落とした石州半紙「稀」約160枚は一枚130~250円ほどで売られています。こんなものおっかなくてまだ一度も書いていません。作品用にと、しまってあるのです。
 これほどではありませんが、清書用に確保した(オークションで落とした)手漉き半紙は、ざっと3千枚あります。一日10枚書けば一年で無くなるという計算になりますね。新品と比べて乾燥が進んでいたり、シミがあったりはしますが練習にはもってこいです。
 手漉き和紙の良さは、なんといっても筆の運びがスムースで、墨の吸い込みにありますな。筆先が紙に吸いつくがごとき感覚がありますし、伸びがいいのであります。ワタシらへぼが書いても、上手な字に見えるのです。何よりも、高い紙に書いているので、もったいなくて丁寧に緊張感をもって筆を走らすのです。上手く書けて丁寧に書ければいい練習になります。従って、一日の練習の内3割くらいを手漉き和紙で書きます。大体一枚20円としてコーヒー一杯分くらいの勘定になりますが、安いものです。

 そうして、つい、またオークションで落としてしまいました。手漉き因州佐治半紙「特白蘭」一枚30円以上はする高級半紙です。これを、4束(4000枚!!)、落札価格はその1割(つまり1枚3円ほど)でした。

 あぁ、「着払いの送料は私が払ってるのよ」と言うワイフの言葉が重く響いています。
 妻よ、「パチンコ屋に金をつぎ込んでんじゃないよ」、とは言いません、ワタシの書がこれで上達し、せめて準中級者の「準」が取れれば安いものですよ。

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