植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

冬はこれに限る  もみ殻の効用 

2020年10月29日 | 植物
 稲刈りが過ぎ新米の時期が終わって来ると、園芸センターやら農協の直営店に「もみ殻」が出回ります。同時に「わら」も販売されますが、こちらはかなり保存できるので通年で売られていますね。
 
 中学生の頃、ワタシは大分県の大分市の外れの片田舎に住んでおりました。校舎の周りは田んぼであります。授業時間の間の休憩時間は稲刈りを終えたばかりの田んぼに行っては、遊んでおりましたな。国語の授業で、出席を取る時、先生に「◯◯(ワタシの姓)こづみ君」と点呼されました。稲刈りのあと竹竿に稲穂がついた藁を乾燥の為に干すのを「稲小積み」と呼ぶのですが、廊下を歩いていた先生が、小積の周りで走り回るワタシを見かけたのでありましょう。
 とっくに鬼籍に入られた、あの安藤先生を懐かしく思い出しました。字がお上手で人格者、尊敬する恩師の一人です。

 ワタシの園芸で欠かせないのが、もみ殻と米ぬかであります。藁はホームセンターに行けば通年で販売されています。不思議なのは米ぬかは、だいたいのところには販売されず、売っていてもほぼタダ同然で売られているのに対し、藁やもみ殻は結構な値段で売られています。藁なども一抱えほどが千円以上、もみ殻も同様で、1袋500円以上いたします。
 
 米ぬかは、一般家庭ではぬか漬けか筍・大根の水煮に少量使う程度で需要が少ない(供給過剰)のか、お米やさんに行けばタダでもらえたりもします。よくいく農協では袋代50円だけで貰えます。ワタシにとっては、ボカシ肥料を作る主材料、かなりの量を必要とするのでありがたいことです。ただし、今の時期以外は、農協にいつでも置いてあるわけでないのが困りものです。

 昨日は、その米糠ともみ殻を買いました。もみ殻は大袋(おそらく100L入り位)に入って2千円でした。10Kgはあろうかと思います。これでこの冬には十分な分量になります。

 ワタシは農家ではありませんから、米農家さんがどんなふうにこれを活用しているかは存じません。ただ、非常に使い勝手が良く、いろいろな用途に使える材料であることは間違いないのです。

 まず、保温効果・保湿効果が高いです。屋外で冬越しする鉢物や耐寒性が低い植物の株元にたっぷり盛ります。具体的にはカンナ、ダチュラ、ハイビスカス、等になりましょうか。天然のマルチ材なのです。

 近年温暖化の影響で、結氷や強霜・霜柱が生じる日が少なくなったとはいえやはり零下2,3度まで下がる日があります。霜が降り零下になっても根や茎を枯らさないようにすれば冬を越せます。今年はやや耐寒性に心配がある地植え「アイスクリームバナナ」の越冬が一番の関心事です。3か月ほどかかってやっと入手できたこの苗は、まだ5,60㎝の幼苗なので凍死する心配があります。無加温の簡易ビニール温室で保護いたしますが、さらに地面にもみ殻、株には藁を巻いて防護しようと思います。

 もみ殻は乾燥させていれば腐りません。この中に秋に掘り上げた球根類を埋めておけば乾燥が防げ防虫にもなります。以前すっかりこれを失念してチューリップやヒヤシンスの球根をネットに入れて保存したら全部干からびてしまいました。チューベローズ、アシダンセラ、スパーダーリリーなどの球根は、10℃を下回るようになったら、球根類をネットに入れネームタグをつけてもみ殻の中で保管いたします。

 更に、果樹園の土づくりにも欠かせません。もみ殻は株元に厚めに撒いておけば自然に土と混ざっていきます。もみ殻は、水分・外敵や病気からコメを守るためにそもそも固く、防虫にもなる成分が含まれます。もみ殻そのものには栄養分はさほどありません。それでも非常にゆっくりと食物繊維が土壌に入っていくのです。最も効果が大きいのは、酸素を土中に取り込む通気性が向上し、ふかふかの土にしてくれるということです。

 特に果樹園は基本的に植えたら最後、耕すことが難しくなります。それで雨や歩行によって地面が締まって固くなります。すると根にとって必要な酸素が足りなくなりますし、水を吸わない土に変わっていきます。もみ殻を土に混ぜることによって根張りしやすい土に保てるという訳なのです。

 もみ殻を燻蒸して「燻炭」も作れますね。買えばこれはなかなか高価なものです。消臭・防虫・防湿など様々な効能がありますが、町中でこれを作ると消防車がすっ飛んできますから、さすがのワタシも遠慮いたしております。

 スズメも喜びますよ。せっかくマルチングした鉢も一日で周りにまき散らします。彼らにとっては餌になるものが減る冬場に「おまんま」にありつけるのですね。スズメは、ほとんど園芸の助けになることはしてくれませんが害にもなりません。

 そういえば、ヒヨドリの姿や鳴き声が戻ってまいりました。こちらはガーデニングへの影響大の野鳥であります。さてお時間、また後日といたしましょう。
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