まてぃの徒然映画+雑記

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奪命金

2011-12-11 22:59:38 | 香港映画(あ~な行)

東京フィルメックスのクロージング作品。上映前にジョニー・トー杜[王其]峰監督のビデオメッセージが紹介されて笑いを取る。

作品は、時間軸が錯綜し、登場人物が少しずつ関係していて壮大なトリックの種明かしを見せられているような構成が斬新でした。成績の上がらない銀行の営業ウーマン、テレサ(デニス・ホー何韻詩)と、人付き合いに義理堅いことだけが取り柄のヤクザの下っ端パウ(ラウ・チンワン劉青雲)の2人を軸に物語は展開していく。

背景には香港の不動産をはじめとした投資事情やギリシャ発の金融危機が描かれていて、金に人生を左右される人々が後を絶たない。まさにタイトルどおり『命を奪う金』が主人公なのかもしれない。

預金の利子は雀の涙にもならないと嘆くおばさんに、営業ノルマ達成のプレッシャーがかかるテレサが投資信託を売る場面は、会話を録音したり似たようなビデオメッセージを何度も見せられたりと、当局の規制の強さがうかがえる。そういった規制をいくら作っても、小金持ちの欲望や販売員との人間関係には敵わないんだなあ。日本のどこかの銀行や郵便局の窓口で、似たような悲劇が起こっていそう。

リッチー・レン任賢齊が演じる刑事チョンのエピソードは、おんぼろマンションでの傷害事件や、父が病床に倒れて初めて分かった、突然できた年の離れた妹、ガスボンベを持った傷害事件の犯人と一緒にエレベーターに閉じ込められるシーンに、なかなか決断できないマンション購入など、香港社会の世相を風刺しているのだろうか。

パウはお人好しというか、バカ正直というか、裏表のない人物で、野暮ったい雰囲気を出して劉青雲が好演しています。同郷の社長が胸に銀のバラ飾りを刺されたまま運転を続けるシーンに杜[王其]峰監督らしい美学を感じました。

いろんな登場人物や出来事が、ラストに向かって収斂していくのかと思えば、そうではなくただすれ違うだけです。思わぬ大金を手にしたテレサとパウが正面から出会うことはありません。チョン刑事も含めて、それぞれがそれぞれの道を行く、という感じで、そのあたりの交わるのか交わらないのか微妙な関係の作り方はさすが杜[王其]峰監督だなと。

杜[王其]峰監督って、最近は『エグザイル・放逐』や『冷たい雨に撃て、悲しみの銃弾を』のイメージが強いけど、実は軽いコメディタッチな作品『イエスタデイ・ワンス・モア』や恋愛ドラマ『ターンレフト・ターンライト』など、いろんな映画を撮ってる器用な監督なんですよね。

11/27 有楽町朝日ホール 東京フィルメックス
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キャンベル I can project

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