まてぃの徒然映画+雑記

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マイウェイ 12,000キロの真実(試写会)

2011-12-30 23:40:48 | 韓国映画(は~わ行)

オダギリジョーとチャン・ドンゴン、日韓スターの競演!

1928年、当時日本の支配下にあった朝鮮の京城憲兵隊長だった祖父の家へやってきた長谷川辰雄は、朝鮮人の使用人の息子、キム・ジュンシクとマラソンでライバル関係にあった。しかし抗日朝鮮人組織の仕業で辰雄の祖父は爆死し、キム・ジュンスク一家は長谷川家を追放される。

ジュンシク(チャン・ドンゴン)は車引きとして生計を立てていたが、辰雄(オダギリジョー)はマラソン界のエリートとしてオリンピック代表を伺う立場にあった。京城で開催されたオリンピック選抜大会、当初は日本人だけ出場する予定だったが、ジュンシクたち朝鮮人選手も出場できることに。そしてジュンシクはラストスパートで辰雄を抜き去り一位でゴールするが、進路妨害で失格との判定を下されてしまう。納得がいかない朝鮮人観客は暴動を起こして大混乱になり、ジュンシクたち朝鮮人は暴動を引き起こした罪で日本軍に強制徴用されてしまう。

この冒頭のシーンから細かいところが気になっちゃいました。選抜大会や記者会見での日本語の垂れ幕や看板文字、横書きのものは左から右で、しかも旧漢字じゃなく今っぽいフォントの字体なんですよね。戦前だったら当然旧漢字だろうし、横書きも右から左だろって突っ込みました。しかもあのご時世であんなに「朝鮮!朝鮮!」と叫ぶなんてありえるのだろうか。日本を描く場合こういう細かいところが気になるから、近代とはいえしっかりとした時代考証をしてほしいですね。せっかくたくさん予算があったのだから。

ジュンシクたちが入った部隊はノモンハン事件を戦うわけだけど、朝鮮人主体の部隊とかってあったのかな。日本軍は出身地で連隊とか組んでいたし、台湾高砂族なんかは精鋭隊として活躍していたけれど、反日感情の強そうな朝鮮人はどうだったんだろう。このノモンハンに、新たに司令官として着任したのが長谷川辰雄大佐、皇軍の無謬を信じる傲慢な将校になっていました。ここでも先任の司令官に無茶な命令が出て、敵前逃亡の罪で大佐から二等兵に降格、しかも自刃を賜るなんて、リアルさが欠けています。それとも、どちらか一方の処罰で自刃を選んだのかな。

このノモンハンの戦いでいきなり敵の狙撃手として登場するのがファン・ビンビン范冰冰、中国人ゲリラという設定ですが、たった一人唐突に出てきた感は否めません。日本軍の捕虜となって、後にジュンシクと一緒に脱走した挙句にソ連軍機の機銃掃射で命を落とすのですが、むさ苦しい男の物語に少し華を添えようという監督の気持ちだったのでしょうか。

ソ連軍陣地への決死隊を編成する辰雄に対して公然と反対するジュンシク、まさか皇軍のなかで、上官しかも大佐という司令官の作戦命令に、おそらくは一兵卒であるジュンシクが反論するというのも現実離れしている感じがあります。小隊長か中隊長っぽい山本太郎が嫌味な下士官を演じていい味出してます。

辰雄への反抗で牢獄に入れられたジュンシクは仲間の手引きで脱走しますが、ソ連軍の奇襲を目の前にして本隊に知らせるために駆け戻ります。しかし圧倒的なソ連軍の戦車に対して日本軍は歩兵が中心、地雷を持って一人一爆の気合で戦車の下に潜って対抗しますが、いかんせん火力が違いすぎます。敵わないとみて退却する日本兵に対して、辰雄は自ら督戦隊となって容赦なく撃ちまくり退却を許しません。「皇軍に退却はない」と無謀な突撃を繰り返しますが、結局はソ連軍の捕虜になります。このときはまだ「生きて虜囚の辱めを受けず」の戦陣訓はなかったんだな。

ソ連のシベリア奥地、ベルミで強制労働につく日本軍捕虜たち。そこではジュンシクの車引き時代からの親友が、日本軍捕虜のまとめ役として権勢を奮っていた。凍傷にかかったものは容赦なく始末される極寒の地で、立場が逆転した朝鮮人と日本人、辰雄は日本軍の司令官として格別に目を付けられて、ことあるごとにリンチを受けていた。しかしジュンシクはこの極寒と強制労働の境遇でもマラソンの練習を続けていた。

ドイツがソ連に侵攻してくると、ベルミの捕虜たちにソ連軍兵士として戦うか、ここで死ぬかの選択が迫られる。ジュンシクはじめ朝鮮人はもちろんのこと、皇軍に命を捧げたはずの辰雄までもが、生き残るためにソ連軍の軍服をきて前線であるジュコーフスキーに行く。そこで見たものは、かつてノモンハンでの自分と同じ、無謀な突撃命令を繰り返しては、退却する味方を射殺する冷酷なソ連軍司令官の姿だった。

ソ連軍が退却したジュコーフスキーで、生き残ったジュンシクと辰雄はドイツを目指して冬山を越える。山を越えた寒村でドイツ軍と遭遇したジュンシクと辰雄は、そのまま捕虜としてドイツ軍に連行される。

フランス、ノルマンディー。辰雄はドイツ軍の兵士として、海岸陣地の構築にあたりながらジュンシクを探していた。そしてある日、作業終了後に海岸線を眺めていると砂浜を走るジュンシクがいた。久しぶりの再会を果たした2人は故国に帰るためドイツ軍からの脱走を図るが、奇しくもその日に連合国軍のノルマンディー上陸作戦が始まった。。。

ロケのスケールの壮大さはさすがって感じで、CGもうまく使って激しい戦闘を臨場感あふれる迫力で撮っています。ノモンハンの戦いのソ連軍戦車と日本軍の激突、ジュコーフスキーでのドイツ軍とソ連軍の激しい戦闘、ノルマンディー上陸作戦の圧倒的な連合軍の兵力など、戦闘シーンの迫力はもちろんのこと、シベリアはベルミの収容所の様子も極寒のロケだったんだろうけど、緊迫感がありました。

日本からソ連、ドイツへと渡った兵士の物語は実話らしいけど、当時のジュネーヴ条約って、捕虜を自国の兵士として使用して良かったのかな。それともソ連もドイツもジュネーヴ条約を守ってなかっただけとか。日本みたいに批准してなかった国もあるしね。あとは辰雄の心変わりがいまいちのれなかったというか。これはきっとその後の太平洋戦争の指揮官はみんな玉砕しているから、自分の中に「皇軍将校たる者、進んで死を選ぶ」というステレオタイプが擦り込まれているんでしょう。督戦隊までやっといて自分だけ生き残って日本に帰ろうだなんて、都合良すぎますが。これだけの力作、途中で突っ込みをいれた日本軍関係のちょっとした気になることさえ無くなれば、ともったいない気分です。

公式サイトはこちら

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