まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
たまにライヴや本の感想、中小企業診断士活動もアップします。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

淵に立つ

2016-11-25 22:43:12 | 日本映画(は~わ行)

第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞した作品。主演を浅野忠信と筒井真理子、津田寛治が演じる。

親から受け継いだ小さな町工場を経営する鈴岡利雄(津田寛治)。妻章江(筒井真理子)と一人娘の蛍(篠川桃音)と3人で暮らしているが、利雄と章江の間には必要最低限の事務連絡的な会話しか無かった。

その町工場に、ある日八坂(浅野忠信)が姿を見せる。何やら利雄とワケありな感じの八坂。鈴岡家に住み込みで働き始めた八坂に最初はいぶかしげだった章江と蛍も、礼儀正しく物静かで蛍にオルガンを教えてくれる八坂が殺人罪で服役していたことを知ったうえで次第に受け入れていく。

利雄に一度だけ本心なのか冗談なのか分からない激情を口にした以外は感情を表にあらわさない八坂。利雄との夫婦関係が形だけのものとなっていた章江は、知らず知らずのうちに八坂に惹かれていく。

しかしある日、事件は起こった。蛍が公園で重傷を負い、八坂が姿を消したのだ。利雄は八坂との秘密を告白し、章江を浮気者となじり、蛍のことは罰だとうなだれる。

8年後、蛍は事故の後遺症で意識が戻らず車椅子生活となり、章江が献身的な看護を続けていた。利雄は八坂の捜索を興信所に依頼しているが、芳しい成果はない。

町工場に新しく孝司(太賀)が入ってきて、彼が八坂の息子だと分かる。孝司は生まれてから一度も父親である八坂と会ったことはないが、八坂から母に宛てた手紙に利雄の町工場のことが書かれていて、何か縁があればと思い来たという。山形で八坂らしい男を見かけた、と興信所から報告を受けた利雄は、章江、蛍、そして孝司と4人で山形へ向かう。。

八坂が登場する前の鈴岡家、利雄と章江の間の距離感はそんなものなのでしょうか?利雄が関心を示さないのか、あるいは章江のほうもこれ幸いと関わらなくなったのか。八坂と利雄の話なんかを見ていると利雄は昔からあんな感じで、章江が頑張っていたけれど利雄が変わらないので諦めたように見えてしまいました。

蛍の事件を利雄が天罰のように感じたのは、自らも八坂と一緒に罪を犯した共犯者ながら自分だけその罪を償っていない、という後ろめたさをずっと抱えていたからでしょう。八坂が現れてからは常に意識させられるのだから、なおさらです。利雄の罪の意識と較べると章江は単なる浮気、しかも夫が全く相手にしない中で、罰として受け止めるのは無理でしょう。それでも献身的に蛍の看護を続けるのは、やはり罪滅ぼしの意識があるのか、母親として当然の行いなのか、あるいは利雄の告白に「私が償わなければ」と思ったのかも。

ふらりと鈴岡家に現れて少なくとも表面上は穏やかだった一家の暮らしを破壊していった八坂は、何かの象徴なのでしょうか。刑務所で身につけたであろう物静かな礼儀正しさ、物静かさが生来のものだったのかもしれませんが、あるいはオルガンの腕前、利雄に一度だけ見せたドスの利いた荒々しさ、そういった雰囲気からどういう状況で殺人を犯してしまったのか気になります。八坂を演じた浅野忠信はすごいですね。存在感漂う空気、ひとつひとつの所作に至るまで静かな不気味さがありました。

後半の孝司の役柄は、8年の時を越えて八坂を鈴岡夫妻の前に引っ張り出す役回りだったのでしょうか。一気に動き始める時にちょうどいいきっかけでしたが、ちょっと気になったのが八坂は孝司のことを知っていたのか、ということ。知っていたら出所後の八坂の行動もまた違ったものになったのではないでしょうか。ラストの救いの無さに息苦しさを感じます。

公式サイトはこちら

10/9 角川シネマ新宿
クリックで救える命がある。投資信託

コメント   トラックバック (3)   この記事についてブログを書く
« ある戦争 KRIGEN | トップ | 保坂KOH Talkin’ Drinkin’ D... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

日本映画(は~わ行)」カテゴリの最新記事

3 トラックバック

淵に立つ (映画的・絵画的・音楽的)
 『淵に立つ』を渋谷シネパレスで見ました。 (1)浅野忠信が出演するというので、映画館に行ってきました。  本作(注1)の冒頭では、少女・蛍(篠川桃音)がオルガンを弾いてい......
淵に立つ (映画好きパパの鑑賞日記)
 カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞を受賞した深田晃司監督の新作。一見平穏な家庭が異物の登場でみるみる亀裂ができていく様子は、フランス映画好みだろうなあと思いま......
淵に立つ ★★★ (パピとママ映画のblog)
『ほとりの朔子』などの深田晃司監督と、『私の男』などの浅野忠信がタッグを組んだ衝撃のヒューマンドラマ。ごく平凡な夫婦の前に突然ある男が現れたことにより、平穏だった日常......