『君の名は。』の新海誠監督の作品が2本立てで上映していたので、観てきました。2007年の作品で、短編3作の連作という趣き。
第一話:桜花抄
小学校の時、同級生でお互い似た者同士、いつも一緒にいた貴樹と明里。しかし中学進学と同時に明里は栃木県に引越し、2人の関係は文通となる。中学3年生になる早春、貴樹も種子島への引越しが決まり、ある金曜の夜、学校が終わってから一人で電車を乗り継ぎ明里に会いに行く。折しも春の大雪が降り、電車は大幅に遅れて目的地に着く。。。
第二話:コスモナウト
種子島で高校生活を送る貴樹。他のクラスメイトとは違う雰囲気を持つ貴樹を同級生の花苗は秘かに憧れていた。調子が悪くサーフィンでボードに立てないでいたが、また立つことができたら貴樹に告白しようと考えていた。10月になり、ようやくまた立てるようになった花苗は貴樹に告白しようとするが。。。
第三話:秒速5センチメートル
東京でSEとして働く貴樹、付き合った女性と心を通わせることなく別れ、仕事も辞めてしまう。明里は結婚の準備で実家に荷物を取りに来ていた。ある春の日、東京で貴樹は女性とすれ違う。。。
新海誠監督の作風なんだな、と思わせる空の綺麗な描写や光の描き方は『君の名は。』と同じ感じで、昔からそういったこだわりがあったんだなあと分かります。貴樹と明里、貴樹と花苗の声の重なりなんかも三葉と瀧とのクライマックスシーンと同じ演出ですね。
第一話で大雪で電車が遅れる中、貴樹が明里との待合せの駅に向かう途中は、自分もじりじりしながら見ていました。本当に着けるのか、着いても明里が待っているのか、無事着いたとしても到着は明らかに夜中になるから待っていてくれるな、という貴樹の気持ちも分からないではないけど、明里が待っていてくれた時の喜びは、それはそれは大きなものだったでしょう。飛ばされた貴樹の手紙、渡せなかった明里の手紙、それぞれにどんな思いが綴られていたのか気になります。
第二話の貴樹はちょっと共感できないなあ。種子島と栃木という中学生、高校生にとっては絶望的な距離なのは間違いなく、明里との文通が徐々に間遠になり途絶える、というのは何となくわかるけど、そしたら身の周りに目を向けて花苗と向き合わなきゃ、と思うけど、宛先のないメールばかり打って心ここにあらずとばかり東京への進学を漠然と考えている、そういうところが他の男子と違う雰囲気を醸し出しているんだろうけど。花苗が「ああ、この人は全然私のことを見ていないんだ」と気づく瞬間が切な過ぎます。
第三話はストーリーらしいストーリーがほとんど語られず、シーンの断片がただただ投げ込まれる、という見たことのない構成。明里はしっかりと過去を積み重ねて人生を歩いているけれど、貴樹の心はあの時で止まったまま。再び動き出す兆しが見えたのは良かったけれど、花苗が何だか切ないなあと。男性監督だから男目線になっちゃうのかな。
秒速5センチメートルは、桜の花びらが落ちる速さ、そして種子島でロケットが陸送されるときの速さ。あえて2つを重ね合わせているのも演出の狙いなのでしょう。山崎まさよしの歌がいい感じで入っていました。
公式サイトはこちら。
12/11 キネカ大森
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