『ボウリング・フォー・コロンバイン』『シッコ』『キャピタリズム マネーは踊る』とアメリカ、そして資本主義の病巣を鋭く告発し続けたマイケル・ムーアが、アメリカにない優れた制度を海外から持ち帰ろうと、主にヨーロッパを巡り各国の制度にびっくりする様子を描く。
まず最初に訪れた国はイタリア。なんと有給休暇が8週間!そして会社の昼休みは2時間で、自宅で家族そろって昼食をとる従業員もいる!アメリカでは有給休暇があるのかないのかも分からないけれど、時給で働いている人たちは無さそうだなあ。日本では大企業は年間20日くらい、ホンダあたりは完全消化しているみたいだけど、民間企業の平均取得率は47%~48%くらい、特に中小企業だと休みづらい雰囲気があるんだろうなあ。
続いて向かった国は美食の国フランス。ここでは田舎の小学校でもシェフ手作りのコース料理が給食でだされていてびっくり!アメリカでも給食はあるけれど、見るからに美味しそうではなくむしろ食欲が無くなりそうなもの。日本の給食はどうなんだろう。栄養は考えられているけれど、ガラスのコップや磁器のお皿を使っているフランスと比べると足元にも及ばないかな。
次は大学の学費が無料のスロヴェニア。自国民だけでなく外国人留学生も対象とのことで、アメリカからの留学生もちらほら。高額な学費を学生ローンで支払うアメリカとは雲泥の差。日本でも最近奨学金の返済が大変だとニュースになっているくらいだから羨ましい限り。政府が学費負担を上げようとしたら、学生が大規模デモを起こして阻止したらしい。自分たちの権利は自ら守ることが必要です。
ドイツでは、休暇中や終業後は上司が部下へ連絡してはダメ、と法律で決まっていて、チュニジアではアラブの春の後にできた政府が女性の権利を認めず、これまたデモによって政権から引きずり降ろされる。ポルトガルではなんと麻薬の所持や使用は犯罪ではなくの合法で、ノルウェーでは刑務所に鍵がなく凶悪な殺人事件の犯人が調理担当で包丁を持っている!アイスランドは初の民選女性大統領が誕生した国、と続々驚きの素晴らしい成果を手に入れて、ふとマイケル・ムーアが思うこと、それはこれらの制度の多くがアメリカ発祥だったということ。アメリカで発案されたものがヨーロッパで正当に評価されて採用され、一方本国では資本主義の荒波にのまれてちっぽけな理想は吹き飛んでしまう。
それでもアメリカを良くしたいと願うマイケル・ムーアの希望は、アメリカに素晴らしい考えが生まれる土壌があるということ。今は難しくとも、これから先そうした土壌を元にして今の制度の欠陥を解決する動きがあるかもしれない。
マイケル・ムーアがアメリカに希望を持っているように、僕らも日本に希望を持っていると正々堂々と言いたいなあ。
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6/2 有楽町TOHOシネマズみゆき座
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