まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
たまにライヴや本の感想、中小企業診断士活動もアップします。

いのちの戦場 -アルジェリア1959- L’ENNEMI INTIME

2009-03-15 00:00:00 | その他の映画
全体的に記録映画みたいな趣きで、カラー映画なのに鮮やかさはなくモノクロームかと見紛うほどくすんだ色味で撮られている。この映像の色味こそが、フランス人がアルジェリア戦争を見直すという重さなのだろうか?





1959年のアルジェリア。独立を目指すフェラガ(FLN)とフランス正規軍との戦闘が続く山岳地帯では、虐殺や拷問が日常茶飯事となっていた。戦死した前任将校にかわって着任したテリアン中尉(ブノワ・マジメル)は最初こそ人道的な振る舞いだったが、戦場の現実に直面していく度にその現実に埋没していく。とある村ではフランス軍に協力したとして、フェラガにより村人全員が虐殺される。そんななか生き残った一人の少年はフランス軍に従軍する。女性や農民に偽装したゲリラ兵、フランス軍によるナパーム弾での空爆や捕虜の電気拷問、フェラガは死体の喉を掻き切り見せしめにする。





戦場で、理性ある人が理性をなくしていく過程を辿っていくテリアン中尉は、一旦本国に戻るものの家族の顔を自動車の窓からみるだけで、再び地獄の戦場へと帰っていく。穢れた己は家族団欒にはふさわしくないとでも思ったのだろうか。





そして戦場では、クリスマスの夜に戦死した部下のフィルムを流し、つかのまの想い出にひたる。苛酷な任務の合間のほんの一瞬の息抜きに、生きている喜びを味わい、戦死への恐怖を忘れさせる。脱走した軍曹を捜しに出かけたテリアン中尉を襲った一発の弾丸は、あの虐殺された村で唯一生き残った少年が撃ったものだった。





戦争ものを見るたびに、やるせなさというか個人の無力さを感じてしまう。戦場にいてさえ、一人の人間として魅力的に、普通に生きているのに、それが戦争というだけで、敵味方に分れて殺しあう。ときには上官の命令で心にもないことをしなければならないし、ときには自らすすんで人道に反することもする。そのうちだんだん麻痺してきたり、苦悩に押しつぶされたり、そうこうしているうちにあっけなく死んでしまう。村上春樹がいってたように、個人はいつも壊れやすい卵で、体制というとても高い壁にぶつかるといとも簡単に割れてしまう。





そんな無力な個人にできること、その一つがこうした映画を観ることだと思う。「アメリカがベトナムを描くように、フランスはアルジェリアを描かなければならない」ならば、日本は何を描けばいいのだろうか?やはりそれは朝鮮半島であり、台湾であり、中国であり、インドシナ半島や南洋の島々なのだろう。寡聞にしてそのような日本映画は知らないが、いつの日か心ある映画人が撮影してくれることを願おう。





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