まてぃの徒然映画+雑記

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アーティスト THE ARTIST

2012-05-03 22:46:34 | その他の映画(あ~な行)

今年のアカデミー賞受賞作は、サイレント&モノクロで話題をさらったこの映画でした。

サイレント映画のスター、ジョージ(ジャン・デュジャルダン)が、ちょっとしたアクシデントで彼の大ファンで女優志望のペピー(ベレニス・ベジョ)と出会う。ペピーはエキストラから徐々に名前付きの役に抜擢されてきた。時代は折しもサイレントからトーキーへの転換期、製作会社はトーキー時代の新スターとしてペピーを売り出して、ペピーは一躍トップスターへと登りつめる。

トーキーへの転換とともに世代交代を迫られたジョージは、自ら大金を投じてサイレント作品を製作するが、観客の支持は得られず、大恐慌での株価暴落も重なり、財産のほとんどを失ってしまう。大邸宅は妻に譲り、家財道具はオークションに出し、長年連れ添った執事(ジェームズ・クロムウェル)にも暇を言い渡して、ジョージは自宅に火をつけて自殺を図るが、愛犬アギーの働きで一命をとりとめる。

事件を聞いたペピーはジョージを自宅で休ませるが、自分の家財道具をオークションで競り落としていたのがペピーだったと知ったジョージは、再び自宅に戻り拳銃自殺を図る。すんでのところで間に合ったペピーは、ジョージにトーキー映画での再起を持ちかける。。。

映画の可能性というか、表現力の豊かさを存分に感じられる作品でした。普通の映画なら、台詞の口調や声のトーンなどで感情が伝わりますが、サイレントだと顔の表情や全身の演技で感情を表現しなくてはなりません。ジョージ役のジャン・デュジャルダンは目や口元の大きな動きで感情を語りかけてきます。ペピー役のベレニス・ベジョが、ジョージの控室で彼のジャケットに片腕を通して自らを抱きしめる場面は、切なさが痛いほど伝わってきて名場面のひとつです。

トーキーのテストフィルムを見た後、控室に戻ったジョージがグラスを置いた時にふいにコツン、と鳴る音が出て、電話の呼び出し音もリンリンと鳴っているのに自分の声が出ない、という場面は、ジョージが密かに抱いたかもしれないトーキーと来る未来に対する恐怖感を、目と耳にわかる形で再現していました。

そしてジョージの愛犬アギー。カンヌでパルム・ドッグ賞を獲ったのもさすが、と思わせる名演技の数々、火事の時に警官を呼びに行くときは、頑張れ頑張れ、と応援しました。

サイレント映画の時代、音楽はスクリーン手前に楽団がいて生演奏していた、というのも初めて知りました。生演奏とはなんて贅沢、と思う反面、トーキーになって彼らの仕事がすっかりなくなったんだよな、と考えると、サイレント映画のひとときが楽団員にとってのバブル景気だったのかもしれません。その音楽も、登場人物の感情表現やシーンの状況説明に効果的に使われていて、俳優の台詞や動作における音がない分だけ、現代の映画よりも情景描写に果たす役割は大きい気がします。だからこそ、ペピーの引き立てでジョージが復活を果たすタップダンスの軽やかな音が、単なるタップの音以上にジョージとパピーの心の軽やかさを表しているように聞こえます。

画面はモノクロですが、一度カラーで撮影した後でモノクロに変換したそうで、陰影のグラデーションが繊細で細やかです。また、1秒のフレーム数も通常よりも少なくしているようで、それも少し昔っぽいカクカクとした動きにつながっていて、サイレント&モノクロという手法をさらに効果的にしていました。

いろいろなシーンがこれまでの映画へのオマージュに溢れた本作、自分はジョージの家でフィルムが燃える場面で『ニューシネマパラダイス』を思い出しました。

公式サイトはこちら

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