松本健史の「生活リハビリの達人」になろう!

超高齢社会の切り札「生活リハビリの達人」になる!講師・原稿依頼は matumomo@helen.ocn.ne.jp まで

おかげさまで本が増刷になりました!

2014年01月19日 | Weblog

おかげさまで2010年に出版した「生活リハビリ術」~介護現場の理学療法士が提案する21の方法~が売り切れて新しく増刷することになりました。これもひとえに読んでくださったみなさんのおかげです。今回、増刷にあたって修正することはないか?と編集部から問い合わせがありました。自分としてはとくに訂正はないと持ったのですが、熟読すると結構訂正がありました。お世話になった皆さんへの謝辞を忘れていることに気づきました。

今回リニューアルにあたって追加した謝辞は以下です。

お世話になった方々への謝辞
丹後福祉応援団三井健史理事長はじめ生活リハビリ道場で毎日いろんなことに一緒にチャレンジしている同僚のみんな。リハビリを志した駆け出しの頃から私に暖かい指導をくださった諸先輩方。この本の企画、編集、イラストでお世話になったブリコラージュの川上京さん。楽しいイラストを書いてくださった谷口知子さん。装丁の新井国悦さん。近隣の大宮苑、長寿苑、あじさい苑はじめお邪魔している施設の職員さん。いつもとんでもなくでっかいアイデアをくれる妻、泰子と私の宝物である二人の娘。その他、ご縁をちょうだいした皆様に感謝を捧げます。そしてなによりわれわれのつたないケアに対して文句のひとつも言いながら(?)、老い方とは、人間とは、深くためになる教えをくださる利用者の皆様。お返しにもっとよいケアができるよう努力していく所存であります。たまに笑いながら、たまに泣きながら…今後もどうぞよろしくお願いいたします!

本書を読んでくださった方、本当にありがとうございました。まだ読んでいただいてない方、もし興味が湧いてきたらぜひ本書をお手にとってみてください。ご損はかけない内容と自負しております。とくに介護現場に最近入ってこられた方には良き入門書になると思います。例えば、以下のようなあるあるネタをいくつか書いています・・・・・・

生活リハビリ術より抜粋

18話 男に居場所と役割はあるか?~男に迫る恐怖!「役割消失」~

 

三好春樹氏かく語りき。

「生物学的には老年を迎えた男たちに役割なんかないんだよね。オスはメスの卵子に自分の精子を受精させた後って特にすることはないんだもん」。

介護の現場で「男は元気がないなー」と感じていた僕は「なるほど!」と膝をたたきました。自然界では男は確かにそんなもんですね。かまきりは交尾の後、オスはメスの滋養になるために食べられてしまうし、アンコウのオスも生殖行為の後はメスの腹にへばりつき、しまいには溶けてなくなるらしい。

これらのオスに与えられた役割はメスの卵子に向けて精子を放つことのみ。なんと虚しい……。生物界のオスたちに合掌(ちょっとそのお気楽さがうらやましくもあるが……)。

 お茶と新聞で寝たきりカウントダウン

でもそう考えると、施設にいる男性陣の元気のなさも合点がいきます。みなさんの施設にいる男性の多くはどうやって1日を過ごされてますか?

①お茶飲んで新聞読む

②居眠り 

③タバコを吸う

職員からの「ちょっと吸いすぎじゃないの!」の声かけが貴重なコミュニケーション。これではさびしすぎる……。

黄金の3条件

こうした生きがいを消失した人たちに効果のあるケアとして三好さんが『痴呆論』(雲母書房刊)で提唱した「居場所」と「役割」づくりのための3条件を知っていますか?

①かつてやっていたことか、それに近いこと

②今でもできること

③周りの人から認められること 

これにハマると、ほんとにピタリ、その人が落ち着くし、主体性が出てきて、元気になります(生活リハビリ道場ではこれを“黄金の3条件”と呼び、壁に貼って暗誦できるようにしています)。何か行事をするにしても、この条件が考慮されているかどうか、でその企画の威力がまったく違ってきます。この3条件がビシッと決まると、レクがその人の人生にまで響くイベントにもなり得ます。これがまったく考慮されていないと、単なるアリバイレクリエーションになっていることが多いのです。

 

3条件を試してガッテン!(白帯編)

3条件を無理なく、手軽に活用できる方法ベストワンはなんといっても女性に料理をしてもらうことでしょう。

「今でもできること」を満たすためにはその方の身体機能をよくわかっている職員が「今でもできること」を選んであげればいい。献立を立てる、切る、混ぜる、分量を量る、味見をする、レンジをチーンするetc……。そして、できた料理を誰かに食べてもらいます。「これうまいがな! アンタがつくったんかいな!」と言ってもらえれば「周りの人から認められる」の3つ目の条件もそろいます。

ところで僕はこの場面を使って、男にもちゃんと居場所と役割がつくれることを発見しました。料理をしている女性陣の近くで新聞を読んで待っててもらうのです。ま、ぼや~っとした男性1人というこのシーンですが、3条件に当てはめてみましょう。

①かつてやっていたこと=ぼ~っと出来上がりを待つ

②今でもできること=運ばれてきたものを当たり前のように一番に食べる

③周りの人から認められること=食べてうなずき味の違いがわかる男になる

(注:周りから認められるかどうかは日頃の言動に左右される)

このように3条件は案外いろんなところに転がっています! ガッテンしていただけましたでしょうか。

3条件で華麗なる男たちに!(黒帯編)

小学校で長らく音楽の教鞭を執られていた藤川先生にはデイサービスでズバリ音楽の授業をしてもらっています。皆で集まる体操の時間に先生の弾くアコーディオンで合唱するワンコーナーを設けています。93 歳の先生はレパートリーが広く、「来週はこの曲、再来週はこの曲でえっと次は……」と次々と課題曲が積み上げられます。そして課題曲の歌詞を大きく書いて壁に貼っておくことが先生から道場への「宿題」となり、職員は大慌てです。

高齢の方がこれほど主体性をもち、継続できることがあるなんて3条件が整っているからこそじゃないでしょうか。このように3条件のバッチリそろったものを探り当てることができればその活動は長続きします。そしてなによりお年寄りが元気になり、周りを巻き込み始めます。93歳の藤川先生、いまだ現役のすごみがあります。

松本健史 生活リハビリ術(ブリコラージュ)(↓仙人も愛読している本です。よかったら読んでみてくださいね amazonにて入手可です)

 

「生活リハビリ術」

~介護現場の理学療法士が提案する21の方法~

松本健史著

発行ブリコラージュ


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