イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「絶滅危惧の地味な虫たち」読了

2019年09月11日 | 2019読書
小松貴 「絶滅危惧の地味な虫たち」読了

NHKで香川照之が扮する「カマキリ先生」が、昆虫の数は30年前と比べると80%減っているというデータがあると言っていた。
環境省が発行している生物絶滅に関するレッドリストでは865種類の昆虫が絶滅危惧種としてリストアップされているそうだ。そのうち、160~170種は蝶やトンボ、大型の甲虫類で、残りの700種類足らずは見るからにどうでもいいような風貌のハエや蚊、ハチにアリ、カメムシ、ハナクソサイズの甲虫といった地味な虫によって占められている。
これが多いかどうかというのはわからないけれども、確かに自分の周りの虫は少なくなったような気がする。
この本はそういうレッドリストに掲載されている地味で、絶滅したとしてもだれも絶滅したことさえもわからないような、とるに足らない、小さくて生息域もごく限られているような虫たちに愛をそそいで書かれている。
それをこういう言葉で表現し、また人間たちを揶揄している。
「これらの昆虫は、一般人の同情を誘うような外見ではないため、大して保護されることもない宿命を負っている。」「小さな洞窟に住む暗くて湿度が高い場所を好む虫は、そこが観光開発されてライトが点けられコンクリートで歩道が作られると人知れずそこから消えてゆく。そこに住むコウモリなどの生態については説明のパネルがあるけれども、かつてそこにいた虫のこと、そしてそれを観光開発のせいで絶やしてしまったことに関して説明するパネルはひとつも見当たらない。」

これは著者の責任ではないけれども、愛があるわりには、「メクラチビゴミムシ」とか、「アオスジミゾドロムシ」とか、「クロモンマグソコガネ」とか、どう見ても愛情が感じられない名前が多い。名前をつけた人たちも、おれはどうしてこんな虫を相手にしているのかと半分やけになって名づけたようにしか思えない。しかし、それも味方によっては名付けたひとの愛?を感じることができるような気もする。

前に読んだ本のところでも書いたが(上記カマキリ先生のリンク)、小さいころはご多分にもれず虫が好きであった。夏になるといつも虫かごと安い補虫網を持ち歩いていたような気がする。住んでいたところは、今、船を係留している港からほんの少しのところで、海辺はすでに貯木場として埋め立てられてはいたもののだだっ広い広場が続いていて雑草が生え放題で大きな水たまりもあり、バッタやトンボがたくさん飛んでいた。コウロギなんて山のように捕れたものだ。足首くらいの深さしかなかったけれども水たまりにはヤゴが泳いでいたりして、捕まえてはアゴを伸ばして遊んでいた。まだ、蓮池というのもところどころにあって、そこではごくたまにミズカマキリやタイコウチを見つけることができた。さすがにタガメというのは見ることがなかったけれども、鉤のようになった前足にはドキドキしたものだ。
家の中にもたくさんの虫が入ってきた。コメツキムシはよくいじくって遊んだし、直径10センチはあろうかというクモなんかもよく畳の上を歩いていた。

家の近所ではどの家も仏壇用の花を植えていて、アゲハチョウやなんとかシジミというような蝶がたくさん飛んでいた。アゲハチョウだけでなく、クロアゲハやアオスジアゲハなんていうのも普通に飛んでいた。虫の死骸や飴が落ちているといつもアリが群がっていたし、犬のフンには必ずギンバエがたかっていた。

アメンボは小学校の近くにあった、あれは養護学校かなにかだったのだろうか、蓮の浮いた小さな池が並んでいる中庭にいくとたくさん浮かんでいた。この本を読んでいて、そうそう、あれはマツモムシっていう名前だったとカヌーみたいな小さな虫を思い出した。

受験勉強中は窓からたくさんの虫が飛んできてノートの上に落ちてきた。蚊は当たり前だし、周りに田んぼが多かったせいか、緑色のヨコバイというやつが僕の勉強をよけいにわからなくしてしまうのだ。わからない数学の問題を解いていると腹が立ってきて、まち針を取り出して串刺しにしたりしてしまった。

そういう思い出があるけれども、本当に最近は虫を見ない。老眼が進んで見えなくなってきたというのもあるだろうけれども、アリもハエもしかり、家の周りでアゲハチョウなんてついぞ見ることがなくなった。港の周りにも何もいない。空地は工場になり、除草剤や殺虫剤が撒かれて消えてしまったんだろう。ハンミョウが走り回っていた、わずかに残っていた砂浜もとうの昔に消えてしまった。
セミは相変わらずうるさいほど鳴いているけれども少なくとも僕の生活圏では間違いなく昆虫は減っているようだ。

僕が唯一自然と交わることができる場所は生石山だけになってしまった。行く時期は春先で緑も少ない時期だけれども、まだあそこだったら盛期になればたくさんの昆虫たちが飛び回っているに違いないような気がする。しかし、それは昆虫たちの世界としてそってしておいてあげよう。
僕ひとりがそっとしておいてあげてもあげなくても何の変りもないことなのだが・・。

はたして、今度の内閣改造で環境大臣になったホープはこういった虫たちに愛を注いでくれるほどの器量はあるだろうか・・・。

惜しむらくは、この本、カラーのページがほとんどない。せっかくたくさんの虫が紹介されているけれどもそれをはっきり見ることができない。と、思っていたら、この本に出てくる虫たちをネットで調べていると、おそらく著者か書いているだろうと思われるブログを見つけた。

http://sangetuki.blog.fc2.com/

ここには地味とは言いながらそこにはきれいな虫たちの画像が掲載されている。ぜんぜん地味ではない。こんな造形を作り出した自然はやはりすごいと思うのである。
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