イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

カシュー塗料

2010年12月25日 | Weblog
前回の釣行の際、目の前でウキを流してしまったのでやっとウキ取りパラソルを買う気になった。
ケースまで買うのもアホらしいので自分で作ってみた。糸を巻いてある部分にカシュー塗料を塗ったのだが、このにおいを嗅ぐと昔の釣具屋さんのにおいがする。
僕は漆のにおいと言うものを知らないが、ウキの塗装にカシュー塗料や漆が使われていたからなのだろう。

父親に連れられて初めて釣具屋さんというところに行ったのは多分幼稚園のころかもっと前だったのかもしれない。このブログを読んでくれている人は一人も知らないと思うが、和歌山市の高松というところに「ルナ」という熱帯魚屋さんがあって、(ここは今でもある。)そこを少し南に戻った路地を西に入ると昔で言う長屋が並んでいた。その中の一軒が釣具屋さんをやっていて屋号なんかは全然覚えていないが父親は「おばはん」とこ(和歌山弁で“ところ”)と呼んでいた。確かにおばあさんが店番をしていた。
本当に民家のような、いうか多分普通の家だったような気がするが、入り口はたたきの土間になっていて、右側が座敷。そこにケースがあってリールなんかが並んでいた。土間の奥に石粉(昔の紀州釣りは砂の替わりに石粉を大量に使った。)やヌカが置いてあったような気がする。僕の住んでいた家にそっくりといえばそっくりだった。
そこを出ると次は「ルナ」に寄って熱帯魚を見るというのが楽しみだったような気がする。
そうやって僕は父親から魚釣りを好きになるように仕向けられていったのかもしれない。

八百屋さんや駄菓子屋さんと同じく、こんな釣具屋さんも無くなって久しくなってしまった。
この近くの神明神社のそばにも釣具屋さんがあって、そこでは初めて紀州釣りをするためのリールを買った。上州屋に買い取られてしまったリョービが始めて作ったスピニングリールだった。これはベアリングがお粗末ですぐに壊れたが・・・。
うちの近所でも毎日ウキを作っているおじさんのいる釣具屋さんがあったがすでに無くなってしまった。
そういえば、和歌浦の明光通りという商店街の中にあった釣具屋さんはまだあるのだろうか?

今でも頑張っている釣具屋さんもある。「おばはん」の店からもうちょっと北に行くとお米屋さんが経営している「小松原釣具店」がある。ここは今でもやっているが、紀州釣りをするために二間の長さの竿を買ったし、浪人時代はお小遣いが手に入るたびに寂しさを紛らすためにルアーを買いに走ったものだ。開高健の「オーパ!」に出てくるルアーがたくさん並んでいた。ヘドンやラパラやダーデブルなんていうのがあった。今思うと絶対釣れないだろうな・・と思うものばかりだったような気がする。
いわさき釣具店や南海釣具も営業中だ。僕の元上司の奥さんの叔父さんがやっている和歌山フィッシングセンターもオヤジさんはかなりもうろくしていてすぐにつり銭を間違うが奥さんがしっかりしているから頑張ってくれている。

頑張って生き残っている釣具屋さんと消えていった釣具屋さんをみてみるとそこにもマーケティングの妙のようなものが見えてくるような気がする。
本当はこんなお店がちゃんと生き残れる社会がほんとうの社会なのだと思う・・・。
コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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明光通り (ちから)
2010-12-26 00:34:53
明光通りに釣具屋さんは現在ありません。私も16年和歌浦に住んでますが16年前には既に無かったと思います。
Unknown (イレグイ号)
2010-12-26 12:45:21
ちからさん、
コメントありがとうございます。そうですか、あそこのお店も無くなっていましたか。
小学生の頃、父親がよくボラ釣りに連れて行ってくれたのですが、この店では石粉と粘土を良く買いました。「あらびきの石粉」というのを売っていて、父親曰く、「この石粉を入れると抜群に釣れるんや。」ということでした。

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