すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【久保健英】バルサ戦でのフィジカルが凄かった

2023-11-06 09:28:16 | その他の欧州サッカー
当たり負けしない力強さ

 久保健英は、現地時間11月4日に行われたラ・リーガ第12節・バルセロナ戦でフル出場した。

 久保といえば、後半になるとガス欠でバテで交代になるのが定番だったが、この日は違った。試合終了まで力強く戦い続けた。

 例によって得意のドリブルで局面を切り裂くシーンも多く見られたが、なかでも特に目を見張らされたのがフィジカルの強さだった。

 久保といえばどちらかといえばひ弱な印象があったが、このゲームではボールとマーカーの間にカラダを入れて頑強に粘ったり、敵を背負いながらパワフルにボールキープする場面が多く見られた。

 もちろんフィジカルトレーニングの成果なのだろうが、技術が進歩しているだけでなくカラダもその進化に合わせてスケールアップしているのだ。

 この若者はいったいどこまで伸びるのか?

 大柄なスペイン人相手に決して当たり負けしない小柄な久保の姿を見て、思わず頬がゆるんでしまった。

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【ラ・リーガ 23/24 第12節】ラ・レアルが勝てた試合だった 〜レアル・ソシエダ 0-1 バルセロナ

2023-11-05 10:06:06 | その他の欧州サッカー
2回の絶好機を決めていれば……

 スタメン出場したバルサのロベルト・レバンドフスキは終始、消えていたし、ジョアン・フェリックスの魔法も効力を発揮しなかった。もしサッカーに「判定勝ち」があったとすれば、この日の試合は明らかにラ・レアルのものだったーー。

 レアル・ソシエダがあのバルセロナを敵に回して堂々と押し込み、圧倒的に攻め立てた。彼らは今や鉄板のスタメン陣さえ揃っていれば、バルサとも互角の勝負ができるチームになっている。

 バルサは左SBのアレハンドロ・バルデを高く上げ、残りの3人が左へスライドして3バックでビルドアップしてくる。この3バックに対し、ソシエダは3トップがマンツーマンでプレスをかけた。特にオヤルサバルは二度追い、三度追いで奮闘した。

 勝負は後半49分にアラウホのゴールでバルサに軍配が上がったが、前半2分に敵のバックパスをカットしたオヤルサバルがあのシュートを決めていればどうなっていたかわからなかった。あれは絶対に決めなければいけない好機だった。

久保は絶対的な決定機を数度作った

 久保健英も組み立てとチャンスメイクでいい働きをしていた。決定機で言えば、オフサイドにはなったが後半10分にライン裏へ飛び出して放ったハーフボレーが決まっていればこの日のヒーローになっていただろう。そのほかにも数度、彼は絶対的な決定機を作っていた。

 久保は後半になるとバテて足が止まり試合から消える悪いクセがあるが、この日の試合ではフル出場し健闘していた。

 ただチームとしては、後半18分に右SBトラオレに代えてエルストンドを、また同34分にバレネチェアに代えてモハメド・アリ・チョ、同39分にオヤルサバルに代えてカルロス・フェルナンデスを投入する、というふうに鉄板のスタメン陣が1人2人と引っ込むとテキメンにチーム力が落ちる。レギュラーと控えの間に無視できない力の差がある。これは深刻な問題だ。

 スタメンの11人が売り切れたら終わり、というのでは長いシーズンを戦えない。この点はラ・レアルの大きな課題だ。然るべきタイミングで新戦力の補強が必要だろう。

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【なでしこ無気力試合】批判している人は矛盾に気づいてない

2023-11-04 08:49:59 | サッカー日本代表
「ドーハの悲劇」で日本はいったい何を学んだのか?

 私はこの件に関して賛成でも反対でもないので取り上げるつもりはなかったのだが、気が向いたのでひとこと言及してみる。

 ネット上ではすでに大騒ぎになっているので説明は不要だろう。なでしこジャパンが来年のパリ五輪出場をかけたアジア2次予選・ウズベキスタン戦の件である。

 この試合、なでしこジャパンは2点を取り2-0とリードした時点で、準決勝で強豪オーストラリアと当たるのを避けるため、それ以上、点を取るのをやめた。で、70分間以上、彼女たちはただひたすらボールを回して時間を消費した。これが「無気力試合だ」として批判されている。

 ここでちょっと思うのは、では1993年10月28日に行われたイラク戦、つまりあの「ドーハの悲劇」で日本はいったい何を学んだのか? ということだ。

 それは「勝ち試合を勝て」「勝ち試合を殺し切れ」である。

「時間をうまく使え」が教訓だったのでは?

 あのドーハの悲劇でのイラク戦。試合終了間際まで日本は2-1で勝っていたのに無理攻めし、相手ボールになった。で、イラクのCKから「一発」を浴びて2‐2の同点とされ日本のアメリカW杯行きは露と消えた。

 あのとき日本中で巻き起こったのは、「日本はリードしているのに、なぜボールを安全にキープしてうまく時間を使わなかったのか?」という指摘だった。

 つまりドーハの悲劇のときは日本中が「なぜ攻めたのか?」と批判し、かたや、今回のなでしこジャパンの無気力試合では「なぜ攻めなかったのか?」と批判している。

 まったく矛盾しているのだ。ダブルスタンダードである。

時間稼ぎの「さじ加減」で許される、許されないが決まるのか?

 いや、もしかしたら、こういう言い分なのかもしれない。

「ドーハの悲劇のときは試合終了間際だった。だから『時間をうまく使う』行為は許された。だが今回のなでしこジャパンのケースでは「70分以上」にわたり時間稼ぎをしたから悪いのだーー。

 こういうことなのだろうか?

 ではいったい、勝っているときボールを保持してうまく時間を使う行為は、試合が残り何分以内なら許されて、残り何分以上あれば許されないのか?

 もちろんそんな決まりなんてない。

 結局、この件を批判してる人は論理性も何もなく、その場の「情動」や「気分」で叩いているだけじゃないのか? そんな気がする。

 実はこの問題を究極的に突き詰めると、「勝つためのマリーシアを認めるのかどうか?」という壮大なテーマに行き着く。マリーシアを認めない人は「正々堂々と戦え」と言ってなでしこジャパンを叩くし、認める人は叩かない。そういうことでしかない。

 つまり両者は永遠に交わらないのだ。

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【分析コラム】プレミアリーグは序盤で早くも優勝候補が絞られた?

2023-11-03 07:29:39 | イングランド・プレミアリーグ
新監督ポステコグルーがスパーズを生まれ変わらせた

 世界中から猛者が集まるプレミアリーグは、第10節を終えた序盤戦で早くも優勝候補が絞られたような感がある。ズバリ、マンチェスターシティとトッテナム・ホットスパー、そしてアーセナルが有力だ。

 なかでも第10節終了時点で8勝2分けと負けなしの勝ち点26で首位に立つスパーズは調子がいい。監督が横浜F・マリノスとセルティックで結果を出した戦略家ポステコグルーに代わり、なにより選手のメンタルが激変した。選手たちがイキイキとのびやかにプレーしているのが手に取るようにわかる。アンジェ・ポステコグルーのモチベーターぶりが光っている。

 昨季までの彼らは単に「ビッグ・シックス」の1クラブというだけで、淡々とルーティーンワークをこなすサラリーマンみたいな集団だった。熱いものがなく、そこそこの成績は残すが優勝は絶対しない。そんな万年課長みたいなチームだった。

 だが今季は新監督ポステコグルーの薫陶を受け、8ゴールを上げて得点ランキング2位にいる韓国代表FWソン・フンミンを筆頭に、レスターから移籍してきたイングランド代表MFジェームズ・マディソンも第10節を終えて3ゴール5アシストと爆発している。

 またメンタルの問題を抱えていることを明かし、不振に陥っていたブラジル代表FWリシャルリソンも復活の兆しを見せている。

 ポステコグルーのサッカーはお得意のハイライン・ハイプレスだ。コンパクトな陣形を保ち、ゾーンを圧縮して敵を窒息させる。最終ラインから少ないタッチ数でグラウンダーのショートパスをていねいに繋ぎ、ビルドアップするスタイルである。

 ただしシティやアーセナルとくらべると、選手層がそう厚いとは言えないのが減点ポイントか? だがチームの勢いは彼らが明らかに断トツだ。

手堅いシティはFWドクに注目だ

 これに対し、8勝2敗の勝ち点24で3位につけているペップ率いるマンチェスター・シティーも、強さに揺るぎがない。エースのノルウェー代表FWアーリング・ハーランドは、11ゴールで相変わらず得点ランキングのトップにいる。

 また今季はなによりスタッド・レンヌから移籍してきたベルギー代表FWジェレミー・ドクがすさまじい。

 筋肉隆々で躍動感がハンパない彼は無双のドリブルでごりごりサイドを食い破り、チームのチャンスを作り続けている。しかもそんな彼とポジション争いをしているのが、イングランド代表MFのジャック・グリーリッシュなのだから選手層の厚さに驚かされる。

 シティーは大黒柱のMFケビン・デ・ブライネが長期離脱中なのが不安材料だが、同じく離脱中だったMFマテオ・コバチッチとMFベルナルド・シウバが戻り、出場停止処分が解けてMFロドリが復帰したのも大きい。あのデ・ブライネがいなくても3位につけているのだからすごい。

 勝ち慣れている彼らは試合運びもうまく、安定感がある。ペップの魔法も相変わらず健在で、手堅い優勝候補であることはまちがいない。

選手層が分厚いアーセナルも有力だ

 選手層という意味ではプレミアリーグで1、2を争うのがアーセナルだ。彼らは7勝3分けの負けなし。勝ち点24で2位につけている。目玉は右WGで使われるブカヨ・サカの突破力だ。

 また第10節のシェフィールド・ユナイテッド戦でハットトリックを達成したFWエドワード・エンケティアやFWガブリエル・マルティネリなど、あのトロサールやウーデゴールらがスタメンで出られないくらいの層の厚さを誇る。

 このチームの死角といえば左SBオレクサンドル・ジンチェンコの守備力くらいだが、彼は偽SBをはじめ攻撃への貢献度が高いので監督のミケル・アルテタも外せないところ。試合展開に応じて冨安を途中投入するなどしてやりくりしているが、この左SBのレギュラー争いも見物のひとつだ。

 個人的には冨安はCBで使ってほしいが、まあ上がつっかえているので仕方ない。

 もうひとつアーセナルの死角を挙げるなら、個人的な印象だが指揮官アルテタの胆力だろうか。彼は見た目が神経質そうで、どこかどっしりとした余裕が感じられない。常にピリピリと何かにイラ立っているように見える。

 昨季、ペップにひっくり返されて逆転優勝されたように、監督としての器がまだ板についてないように感じる。ペップやポステコグルーのような「俺にまかせろ」感がイマイチ感じられない。「このおっさんのために死ぬ気でプレーしよう」と選手に思わせる「何か」が欠けているような気がする。まあ個人的な印象だが。

チェルシーとマンUの再建はあるか?

 このほかリバプールも爆発的な攻撃力・得点力があり有望だが、今季は本職じゃないマクアリスターがバイタルエリアを守る「アンカー問題」が解決しない限り守備が安定しないので優勝はないと見る。

 そのほかマンチェスターユナイテッドとチェルシーは絶対に優勝はない(笑)。今季のチェルシーは「ひょっとしたら立ち直るのでは?」と微かな期待をして観ていたが、まさか第10節でブレントフォードに0-2で負けるなんて夢にも思わなかった。しかも内容が悪すぎる。やれやれだ。

 他方、マンUももはや「負け慣れ」してしまい回復の兆しがない。

 この2チームは「昔の名前で出ています」という看板だけのチームだ。有名なだけで抜け殻である。いちばん深刻なのは選手のメンタルだ。覇気もなければヤル気もない。

 スパーズも昨季まではこの駄目グループに属したが、名モチベーターのポステコグルーが見事に立て直した。マンUとチェルシーも選手のメンタルをゼロからモチベートできる人物が監督にならない限り、浮上はむずかしいだろう。

 このほか優勝まではないだろうが、アストン・ヴィラとニューカッスルもいいサッカーをしている。見ごたえがある。あと個人的には、順位は下の方だがウルヴズも面白い存在だ。

 彼らはガッツのあるメンタルで非常に攻撃的だ。かつ、負けていても絶対に試合を諦めない(マンUやチェルシーは彼らの爪の垢でも煎じて飲んでもらいたい)。選手別では、FWペドロ・ネトとFWファン・ヒチャンのプレイは必見だ。見て損はない。おすすめです。

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【分析コラム・リーグ杯】遠藤航とマクアリスターは対照的だ ~ボーンマス 1-2 リバプール

2023-11-02 10:36:46 | イングランド・プレミアリーグ
スペースを埋め無難にパスを捌いた遠藤

 11月1日にイングランドリーグ杯(カラバオカップ)の4回戦が行われ、2点を取ったリバプールがボーンマスに競り勝った。遠藤航がアンカーで先発し、後半には遠藤は退きマクアリスターが登場した。

 雨の中の試合。遠藤は4-1-2-3のアンカーでプレイした。レッズは31分にエリオットが打ったミドルシュートのこぼれ球をガクポが押し込み、先制に成功する。

 続く63分にはボーンマスのクライファートにCKからのシュートを決められ同点になったが、70分にダルウィン・ヌニェスが左サイドからカットインし素晴らしいゴラッソを豪快に決めリバプールが勝利した。

 興味深かったのは、前半はアンカーを遠藤が務め、後半はマクアリスターが同じポジションでプレイしたところだ。そのぶん両者のプレイスタイルの違いが鮮明に浮き彫りになった。

 まずポジショニングだ。遠藤は最終ラインの前のスペースを埋めることに注力していたのに対し(いかにも本職のアンカーが考えそうなことだ)、一方のマクアリスターはチャンスと見ればポジションを捨てても攻撃を優先していた点だ。

 両者のコントラストがはっきりして興味深かった。

 ただし遠藤は安易にボールホルダーの足元へ飛び込み、カンタンにかわされるシーンが数回あった。リーグ戦でも見られるシーンだが、あそこは修正する必要があるだろう。

キラーパスを出したマクアリスター

 一方、攻撃面での比較はどうか?

 まずポジショニングについては、遠藤は昔で言えば「リンクマン」(前と後ろを繋ぐ役割)に徹し、足元で受けたボールを無難にグラウンダーのパスで横や前へ繋いでいた。

 文字通り、守備陣と攻撃陣を「リンク」させる役割だ。

 かたやマクアリスターはといえば、象徴的だったのはアンカーの深い位置でボールを受け、顔を上げて最前線のFWサラーに向けて浮き球のやわらかいロングパスを通したシーンだ。

 マクアリスターはもともと攻撃の選手なので、こういう一発で試合を決めてしまえる攻撃的なパス出しができる。

 彼は遠くが見えており、ゴールを取るまでのルートを瞬時に頭の中で描ける。ただしそのぶん、守備は得意じゃない。

遠藤は「攻撃性能」でマクアリスターを上回れるか?

 単純に両者を比較すれば、遠藤はマクアリスターがサラーに通したような決定的なラストパスを出すのは難しいだろう。守備に重きを置く選手なのだから当たり前だ。

 ただし監督のクロップは、明らかにマクアリスターのそういう攻撃的なセンスを買ってアンカーのレギュラーポジションに置いている。

 とすれば遠藤がポジションを掴むには、マクアリスターのような「攻撃的なパス」が出せるようになるか? あるいは逆に、そのぶん守備で決定的にチームを助ける役割を果たすか? のどちらかだ。

 遠藤のプレイスタイルを考えれば後者のほうになるだろうが、ただし守備における活躍だけでマクアリスターを上回るのはやはり難しいかもしれない。なによりクロップの目に映るインパクトが違う。

 とすればやはり遠藤はクロップから求められている、鋭い縦パスを配給するなどの「攻撃性能」を地道にアップさせていくしかないだろう。

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