シアターコクーンでNODA MAPの「キル」を見てきた。
ちょうど数日前の朝日新聞の劇評で、思いっきりラストの演出ばらしがあって、1月末まで公演が続くのに「おいおいこれって、、、」って朝日の担当記者の見識を疑いたい気分だったのだけれど、野田さんのこと、ラストの舞台演出ばらしにあっても、それを超えるものを見せてくれると信じて、会場に入った。
この前、小栗旬主演の「カリギュラ」で、ひたすらカリギュラの「怒り」「狂気」を約3時間ぶっ続け(途中休憩はあったが)で立ち会って、正直かなり「疲れる芝居」を見たので、今年は野田さんの舞台できちっと締めて、年を越したいという思いがあった。
今回、シアターコクーンでは、パンフレットを1,000円で販売。この会場にしては異例の安値の設定にちょっと嬉しい気分半分で驚いた。
買うか買わないかは、観終わってからにしておこうと、客席につく。
最近シアターコクーンに来ると、隣の人運が悪く、前回は居眠り(いびきかき、しかも一幕見て「つまんない~」「わかんない~」ってぶーたれて帰っていった。そりゃアレだけ寝ていたら、話の筋もわからなくなるって!)、今回は大声でおしゃべりだった。「あれって広末?」「前回の『キル』はこれこれこうだった」とかどうでもいいことを、しゃべっていて、(お願い黙って観ていて!)としばらく祈ってしまった。
舞台を観た感想は、正直不完全燃焼。
演じ手が悪いというのはなく、たぶん悪いのは自分だとおもうのだが、、。
妻夫木、広末のふたりの脇を、勝村政信と高田聖子をはじめ、中山祐一郎、村岡希美という最強の布陣で固めた(自分の中では)「チーム・バチスタ」級の配役。正直、この舞台は勝村さんと高田さんががっつり引っ張っていっている感じがした。
気になったのは広末の声。これまでの野田さんの舞台では深津絵里もかなり飛ばした声を出しているけど、広末もそれに近いことを要求されているような声のトーンだった。かえってそれが、広末の持ち味をつぶしている気がして、ちょっと残念だった。(野田さんの舞台では、「広末」であることが要求されているわけではないので、これを気にしても仕方がないと思うのだけれど)確かにこれまで彼女が出演した舞台をいくつか観てきて、声の通りの悪さ(台詞が客席までクリアに届いてこないこと)は気になっていた。言葉の一つ一つが重みを持つ野田さんの舞台ゆえ、解決策としてあの「声」に至ったのであれば、「セカンドベスト」的選択としてアリかもしれない。
妻夫木君は、初舞台だから仕方がないのかもしれないが、舞台独特の距離感がつかみきれていなくて、舞台上でちょっと「漂ってしまう」感があった。これはたぶん、千秋楽とかに観ればもっと変わってくるだろう。
あと、気になったのは、高橋惠子。「キル」の世界に完全に入り込めていない。
動いているんだけれど、なんだか「心ここにあらず」な雰囲気。
そんなちぐはぐさばかりに目が行ってしまい、前前回の公演「ロープ」(前回公演の「THE BEE」はあまり興味が持てなくて観に行かなかった)のように、メッセージがズドーンとこっちに落ちてこなかった。こっちが必死になって、野田さんのメッセージを読み取ろう、読み取ろうと一生懸命になっているうちに、幕が切れた感じだった。
そんなわけで、今回はパンフレットは買わずに帰宅の途に。
来年、WOWOWで公演中継が放送される(?)日を楽しみにしましょう、、、。
2007年、まったくまとまりのないブログでしたが、来年も変わらずぐだぐだしてしまう可能性大です。
変わらぬお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
良いお年を。