【世界のニュースを日本人は何も知らない】4155
元国連職員、谷本真由美氏の心に響く言葉より…
日本は島国です。
そして島国は世界で少数派といえます。
ドイツやイギリス、フランスなどの約2倍の人口規模を有する比較的大きな国であるにもかかわらず、その国民の大半が同じ言葉を話し、同じような文化背景と宗教を共有するというきわめて特殊な国でもあります。
古来、隣国とは海で隔てられているため、日本への渡航は容易なことではありませんでした。
多くの人が荒れ狂う海で命を落としてきたことでしょう。
一方で、そのおかげで異なる言葉や文化を持つ集団からの侵略や紛争などから逃れられてきたのも事実です。
隔離された島国にはこのように良い面もある一方で、他民族との接触が少ないため情報の流入が限られてしまうという短所もあります。
現代はコミュニケーションコストが格段に下がったインターネット時代です。
通信技術だけでなく輸送やさまざまな化学技術の発達により、グローバル化が著しく進んでいます。
ヒト・モノ・コトの往来を阻む壁は、わずか30年前と比べてもかなり取り払われているわけです。
このように「世界はひとつ」の時代にもかかわらず、日本人は世界から取り残されつつあるのです。
グローバル化が進み、通信技術が発達し、さらにいえば日本は政府による検閲もなく、表現上の規制も世界最小限の国のひとつであるのに、他国との情報の往来にはいつまでも透明な障壁が存在しています。
それは一体なぜなのでしょうか…。
私は大別して問題はふたつあると考えています。
ひとつは、日本のメディアが非常に閉鎖的であるということです。
このような情報化時代においても海外のニュースは日本にはほとんど入ってきません。
テレビや新聞で取り上げられる海外の情報というのは本当にごく一部。
さらにその多くが日本人に都合よく編集された情報ばかりです。
もうひとつの問題は、そもそも日本人は海外のニュースに興味を持っていないということです。
日本の通信環境は世界的に見てもたいへん発達しており、よほどのことがなければ停電することも電話回線が混線することもありません。
さらに国民の多くがスマートフォンを使いこなし、手のひらの上のキーをほんの数回叩けば世界中のあらゆる情報に触れられます。
一方で、外の情報にアクセスしただけで投獄されてしまう権威主義国家で生きている人たちもいます。
そのようなリスクを冒してでも彼らはVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)を駆使して情報を入手しようとするのです。
日本人はそのようなたいへん恵まれた通信環境にいて、行動が一切制限されていないにもかかわらず、海外の情報に積極的にアクセスしようとはしません。
自国の外で何が起きているのかをきちんと認識している日本人などきわめて少ないのが実情です。
このような深刻な状況なので、日本人は自国が世界からどのように評価されているかということすら知りません。
少子高齢化で下り坂を転げ落ちつつある国だと酷評されていることも、失われた20年間で十分予測できた課題への対策を怠った国として、他の先進国からたいへん厳しい視線を送られていることもです。
事実を直視せず重要なことを見逃している日本は、ぬるま湯のゆでガエルです。
じわりじわりと熱(ねっ)されていき、やがて熱湯になったころには跳躍する力を失っているでしょう。
たくさんの選択肢を失い、膨大な損失に苦しめられることになるのは目に見えています。
『世界のニュースを日本人は何も知らない』ワニブックスPLUS新書
https://amzn.to/39z3QeY
本書に「日本のニュースと海外のニュース」についてこう書いてある。
『外国人あるいは海外滞在歴の長い日本人にとって日本で驚くことのひとつが、テレビや新聞で報道されるニュースが他の先進国とはずいぶん違うということです。
昨今、北米でも欧州でもシリアの紛争が夜のニュースのトップを飾ったり、新聞で大きく取り上げられたりすることが当たり前になっています。
中東の情勢が自国の通貨やビジネスに大きく影響するからです。
また石油を輸入している国にとってシリア情勢は大変シビアな問題でもあります。
ところが日本のテレビや新聞ときたらどうでしょうか。
驚くべきことに、日本ではこういった国際ニュースはマイナーな扱いで、公共放送のNHKやクオリティペーパーと呼ばれる大手一流新聞でさえ、次のようなトピックがトップニュースとして掲載されている有様です。
●老人の車が暴走
●あおり運転事故続発
●ヒグマに襲われた
●オリンピック会場に下水垂れ流し
どうでしょうか。
どれもよく流れているニュースばかりですね。
海外でいえばはっきりいってゴシップ新聞に載る程度のトピック。
にもかかわらず、日本ではクオリティペーパーであっても、なぜかこういった内容がニュースとして大きく取り上げられてしまうのです。』
どの国でもそうだが、人は、自分に関係ないことには、興味や関心がない。
また、切羽詰まらないと行動しない、というのも同じだ。
特に、日本は、豊かさに慣れてしまった人がほとんどだ。
すると、自分のこと以外に興味関心が薄くなる。
しかし、日本は相対的に貧乏になってきている。
海外からの評価も同じだ。
そろそろ目をさまさないと大変なことになる、というのは「明治維新」の例を見ても分かる。
江戸時代は260年鎖国が続いたが、現在でいうなら、失われた30年という平成の時代がそれにあたる。
GAFAという黒船がとっくに上陸しているのに、まだ多くの国民はゴシップ的な国内問題に終始している。
マスコミを作っているのは国民だ。
国民一人ひとりが変わらなければ、マスコミも変わらない。
「この国の行く末を憂える人」が少でも増えることを心から願う。
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元国連職員、谷本真由美氏の心に響く言葉より…
日本は島国です。
そして島国は世界で少数派といえます。
ドイツやイギリス、フランスなどの約2倍の人口規模を有する比較的大きな国であるにもかかわらず、その国民の大半が同じ言葉を話し、同じような文化背景と宗教を共有するというきわめて特殊な国でもあります。
古来、隣国とは海で隔てられているため、日本への渡航は容易なことではありませんでした。
多くの人が荒れ狂う海で命を落としてきたことでしょう。
一方で、そのおかげで異なる言葉や文化を持つ集団からの侵略や紛争などから逃れられてきたのも事実です。
隔離された島国にはこのように良い面もある一方で、他民族との接触が少ないため情報の流入が限られてしまうという短所もあります。
現代はコミュニケーションコストが格段に下がったインターネット時代です。
通信技術だけでなく輸送やさまざまな化学技術の発達により、グローバル化が著しく進んでいます。
ヒト・モノ・コトの往来を阻む壁は、わずか30年前と比べてもかなり取り払われているわけです。
このように「世界はひとつ」の時代にもかかわらず、日本人は世界から取り残されつつあるのです。
グローバル化が進み、通信技術が発達し、さらにいえば日本は政府による検閲もなく、表現上の規制も世界最小限の国のひとつであるのに、他国との情報の往来にはいつまでも透明な障壁が存在しています。
それは一体なぜなのでしょうか…。
私は大別して問題はふたつあると考えています。
ひとつは、日本のメディアが非常に閉鎖的であるということです。
このような情報化時代においても海外のニュースは日本にはほとんど入ってきません。
テレビや新聞で取り上げられる海外の情報というのは本当にごく一部。
さらにその多くが日本人に都合よく編集された情報ばかりです。
もうひとつの問題は、そもそも日本人は海外のニュースに興味を持っていないということです。
日本の通信環境は世界的に見てもたいへん発達しており、よほどのことがなければ停電することも電話回線が混線することもありません。
さらに国民の多くがスマートフォンを使いこなし、手のひらの上のキーをほんの数回叩けば世界中のあらゆる情報に触れられます。
一方で、外の情報にアクセスしただけで投獄されてしまう権威主義国家で生きている人たちもいます。
そのようなリスクを冒してでも彼らはVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)を駆使して情報を入手しようとするのです。
日本人はそのようなたいへん恵まれた通信環境にいて、行動が一切制限されていないにもかかわらず、海外の情報に積極的にアクセスしようとはしません。
自国の外で何が起きているのかをきちんと認識している日本人などきわめて少ないのが実情です。
このような深刻な状況なので、日本人は自国が世界からどのように評価されているかということすら知りません。
少子高齢化で下り坂を転げ落ちつつある国だと酷評されていることも、失われた20年間で十分予測できた課題への対策を怠った国として、他の先進国からたいへん厳しい視線を送られていることもです。
事実を直視せず重要なことを見逃している日本は、ぬるま湯のゆでガエルです。
じわりじわりと熱(ねっ)されていき、やがて熱湯になったころには跳躍する力を失っているでしょう。
たくさんの選択肢を失い、膨大な損失に苦しめられることになるのは目に見えています。
『世界のニュースを日本人は何も知らない』ワニブックスPLUS新書
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本書に「日本のニュースと海外のニュース」についてこう書いてある。
『外国人あるいは海外滞在歴の長い日本人にとって日本で驚くことのひとつが、テレビや新聞で報道されるニュースが他の先進国とはずいぶん違うということです。
昨今、北米でも欧州でもシリアの紛争が夜のニュースのトップを飾ったり、新聞で大きく取り上げられたりすることが当たり前になっています。
中東の情勢が自国の通貨やビジネスに大きく影響するからです。
また石油を輸入している国にとってシリア情勢は大変シビアな問題でもあります。
ところが日本のテレビや新聞ときたらどうでしょうか。
驚くべきことに、日本ではこういった国際ニュースはマイナーな扱いで、公共放送のNHKやクオリティペーパーと呼ばれる大手一流新聞でさえ、次のようなトピックがトップニュースとして掲載されている有様です。
●老人の車が暴走
●あおり運転事故続発
●ヒグマに襲われた
●オリンピック会場に下水垂れ流し
どうでしょうか。
どれもよく流れているニュースばかりですね。
海外でいえばはっきりいってゴシップ新聞に載る程度のトピック。
にもかかわらず、日本ではクオリティペーパーであっても、なぜかこういった内容がニュースとして大きく取り上げられてしまうのです。』
どの国でもそうだが、人は、自分に関係ないことには、興味や関心がない。
また、切羽詰まらないと行動しない、というのも同じだ。
特に、日本は、豊かさに慣れてしまった人がほとんどだ。
すると、自分のこと以外に興味関心が薄くなる。
しかし、日本は相対的に貧乏になってきている。
海外からの評価も同じだ。
そろそろ目をさまさないと大変なことになる、というのは「明治維新」の例を見ても分かる。
江戸時代は260年鎖国が続いたが、現在でいうなら、失われた30年という平成の時代がそれにあたる。
GAFAという黒船がとっくに上陸しているのに、まだ多くの国民はゴシップ的な国内問題に終始している。
マスコミを作っているのは国民だ。
国民一人ひとりが変わらなければ、マスコミも変わらない。
「この国の行く末を憂える人」が少でも増えることを心から願う。
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