えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

美魔女になります

2013-03-22 14:05:21 | 歌う

             MAJYO 「美魔女になります」 MAJYO

❤ もう一人だれかが此処にいてほしい、しだれ桜のこの滝の下  松井多絵子

 さくらの花の散り始めた今、わたしの「女の一生」などと大げさなことを思ってしまう。自分史を書いても読者が退屈するだろう。私自身が振りかえって思い出しても大したことはない。しかし、小説のおかげで、いろいろな女の人生を共にすることができた。例えば「風と共に去りぬ」
 アメリカの南部のイキイキ美女のスカーレット・オハラは、気軽に結婚して別れまた結婚。とりわけレッド・パトラーは魅力あふれる男だった。あの世で逢ったら英語であいさつができなければ。本箱から古い古い英会話の本を取り出す。

 このごろ「美魔女」という言葉を目にする、耳にする。年齢を思わせない不思議な魅力ある美女のことらしい。仲間の妄想老女T子のような女か。十五年位前に短歌の批評会で知り合ったが、いまだに彼女の齢を知らない。常にふわふわした服を着ているので体型が分からない。髪はオカッパでスミレ色のサングラスをかけているので顔の全貌はわからないが鼻筋が通っている。歌集には経歴など全く書かれていない。仲間に聞いても「還暦はとうの昔に過ぎたらしい。T子のことは何も知らない」という人ばかり。
 わからないということは面白い.T子の歌集をじっくり読む。私生活はわからないが魅力的なフレーズが妖しい怪しい世界へ私を引き込み、引きずりまわす。ひそかに妄想老女T子と名づけていたが、美魔女T子に変えようか。いや私が美魔女になろう。ありとあらゆる知恵を絞って私の最後の作品は私を「美魔女」にすることだ。20年前のセーターを取り出し着ている真昼。

❤黄の蝶が胸に羽ばたくセーターの中にしょんぼり私がいる   松井多絵子

 



コメントを投稿