・・・ 来年は 猿 ・・・
♥ 「わたしたち今も自意識過剰だわ」「猿だった頃に戻りたいなあ」 松井多絵子
「自意識過剰だわ」と云ったのは私、「猿だった頃にもどりたいなあ」と云ったのは夫。日本人は猿になった方がいいのかもしれない。来年の干支は「申」、猿の年である。猿は人間の祖先なのに、私たちは猿に対して冷たい。ことわざの猿はみなネガティブではないか。
♦ 猿も木から落ちる (その道に優れた人でも時には失敗する)
♦ 猿に烏帽子 (人柄に合わない言動のたとえ)
♦ 猿の尻笑 (自分のことは棚に上げ他人の欠点を笑うこと)
♦ 猿の人真似 (よく考えもせず外形だけをまねる人を批判している)
短歌でも猿は古くから詠われた。古語辞典に サルの古称は「ましら」、略して「まし」。
「わびしらにましらななきそあしひきの山のかひある今日にやはあらぬ」 訳 もの寂しげにサルよ鳴かないでおくれ。山の狭間にいる(お前たちにも鳴き)甲斐のある今日という日ではないか。と書いてある。
猿を抱えて遊歩道を散歩していた女を見たことがある。散歩の同伴は犬なのにその女はまるで幼児を抱くように猿を抱きしめていた。でも猿をペットとして飼っている人はめったにいないのではないか。私は動物園では何故か猿の檻を離れがたい。以前こんな歌も作った。
◓ わが投げしキウイを捕手のごと掴む、猿よ今のはストライクだね
◓ こんなとき猿がにっこり笑ったらキウィ1個をまた投げるのに
ほとんどの動物は鳴けるが笑えない、笑えるのは人間だけ、でも心から笑える人は少ないのではないか。来年は心から、腹の底から笑える年にしたいですね。
11月8日 松井多絵子
<俳句情報>
✿ 柏原眠雨 『夕雲雀』 (KADOKAWA・本体2700円)
2007年からの作品を収めた第4句集。仙台在住の作者は被災各地で句を得た。
「避難所に回る爪切夕雲雀」
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