えくぼ

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一日三秋

2015-10-25 08:41:43 | 歌う

              ・・・ 一日三秋 ・・・

 昨10月24日☀折々のことば「一日三秋」 中国最古の詩集「詩経」から引用されている。

 「一日見(あ)はざれば三秋の如し」。一日会わないだけで三年も会っていない心地になる。それほど強く希う気持ちだ。「一日千秋」ともいうことから「千秋の思い」という語も生まれた。~
 私には 「千秋」より 「三秋」の方が親しめる。三年の歳月の長さが千年より実感を伴う。時期を待つ。チャンスを待つ。物事が変わるのを待つ。人とのタイミングが合うのを待つ。岩波現代短歌辞典に40歳のときの水原紫苑が「待つ」について次のように書いている。

 「待つ」は恋の歌には欠かせない言葉の一つである。馬場あき子が「待つ」を女の伝統的な姿勢として注目したこともこの歌語を現代により重いものにしている。

 ✿ なにとなく君に待たるるここちして出でし花野の夕月夜かな  与謝野晶子

 ~この『みだれ髪』の一首は、まさに「待つ女」のポジションを逆転させた、近代にふさわしい歌である。「待たれる気分」というものの甘美な自愛が晶子らしい~ と水原紫苑。

 折々のことば の鷲田清一は~約束もないのにひたすら祈りつつ待つ。待つことに耐える。強く慕って、待ちこがれ、待ちわび、待ち明かし、待ちあぐねて、ついに待ちぼうけ......。
人とはなんともせつないものである。

        土曜日の動く歩道は待つ人のなき私を速やかに運ぶ

                   10月25日  松井多絵子