お気楽ボランティア日記

楽しみながら、ボランティア   広がる、人の輪

大藪順子著「STAND 立ち上がる選択」

2010年01月18日 | 映画・演劇・本
 月に二回通っているステップハウスは、またとない読書の時間がもてる場所でもあります。
 特に、今回はこれまでと違い、初めての昼間のボランティアでした。夜と違い見回りなどの仕事もないので、それこそ「た~っぷり」時間がありました。

 今回私が読んだのは、大藪順子著「STAND 立ち上がる選択」(FOREST BOOKs1500円)でした。ステップハウスの蔵書です。

 著者は「レイプ被害から立ち上がり、全米で性暴力被害者の写真プロジェクトを展開した日本人フォトジャーナリスト」です。
 衝撃的な内容でしたから、厚い本でしたが一気に読めました。

 彼女は71年生まれ。アメリカで新聞社所属のフォトグラファーとして働いていました。 それまでの生活は順調でしたが、1999年、自宅で就寝中にレイプの被害に遭います。そのためうつ状態がやく一年半続きます。
 2000年、親しい牧師からの助言で、懲役20年の刑に服する犯人に手紙を書くことで、精神的にやっと解放されます。
 2001年、STANDを立ち上げます。被害者男女70人に取材し、TV番組にも出演、プロジェクトは全米の大学、ギャラリーなどに広がります。

 簡単にまとめてしまえば以上なのですが、レイプにあったとき、それを友人達に打ち明けるとき、カウンセラーや牧師に相談するとき、苦しみの中にあるとき、そしていやされたとき、それぞれが生々しく描写されていて、本当に引き込まれてしまいました。

 そして、アメリカはいろんな問題を抱えた国だとは思いますが、でも、被害者にとことん寄り添う人がたくさんいて、日本だったらこうはいかないなと羨ましくさえなりました。

 彼女がレイプ犯に、勇気を持って手紙を書き、投函し、解放されるところは、「相手をゆるすことでしか、真の解放はない」ということをまざまざと語っていて、忘れられない場面でした。
 彼女の手紙の内容(抜粋)です。
「デイビットへ
 私は去年の8月9日、あなたに押し入られ、レイプされた者です。
 今、神様が私にあなたを許すようにと言っている気がします。
 フラッシュバックや悪夢におそわれ続け、一度自殺も考えました。
 でも、神様は私に力強い言葉を与え、この苦しみにも大きな意味が伴っていると言ってくれる人を送ってくれました。
 どん底に落とされた私も、新しく歩み始める道があることが、今やっと分かってきたのです。
 あなたにもいつかそんな日が来ることを願っています。   ノブコ」

 投函したときのことはこう記されています。
「何よりも、私のバックには神がいる。ドライブスルーで投函できるポストに車をつけ、深呼吸をした。ドキドキしながら、青いポストに投函する。もう後戻りできない。いや、後戻りする必要なんて最初からなかったのだ。
 その瞬間、それまでニコリともしなかった私が大きな笑顔になった。
 私はどんどんあふれ出てくる喜びに圧倒され、笑うしかできなかった。
 こんな経験は初めてだった。」

 彼女はレイプを、「神からの訓練」と捉えることで、大きく飛躍した人生を歩むようになりました。
 私も、何が起ころうともそうありたいと思います。

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