LogicalInSpace

将棋の日記

棋聖戦79_5の終盤

2008-07-21 17:30:09 | 棋譜解説(タイトル戦)
棋聖戦の最終局の終盤を再考して見ようと思いました。

<棋譜>
産経新聞:棋聖戦79_5

<各ブロガー>
スピノザさん(2008/07/18)
kuroumaさん(2008/07/18)
情報の友(2008/07/19)

私はリアルタイムで見ていました。
羽生三冠がずっと少し良いと思っていました。

太文字の部分(xx手目の局面)は、各ブログで話題になった局面です。
詰みの有無は、ソフトを使用しています。


(88手目の局面:スピノザさん)

<形勢判断>
駒の損得:先手の桂・歩の得
駒の働き:先手の7八飛が遊び駒、後手の3四飛が遊び駒(飛車が成れる)、2一角が王手より後手が少し良い
玉の堅さ:先手は1枚、後手は2枚より後手が良い
手番:先手
形勢は後手が若干良し

(変化1の局面)

▲7六歩に▲4三歩の変化です。。
▲4三歩は、詰めろでも、必至でもありません。

考えられる手は
変化1-1:△3九飛
変化1-2:△4三角、▲7六歩
変化1-3:△4三角、▲7六歩、△7四金、▲8三桂、△6一玉、▲7四馬、同歩、▲4二金
変化1-4:△8三歩、▲8五馬、△3七飛成
変化1-5:△8三歩、▲7五馬
変化1-6:△7四金、▲8三桂、△6一玉、▲7四馬、△同歩
変化1-7:△7四金、▲同馬、△同歩
変化1-8:△9四金、▲7五馬、△8五歩
変化1-9:△9四金、▲同馬、△同歩
などが考えられます。

(変化1-3の局面)

スピノザさんは、変化1-3を考えたと思います。

(変化1-6の局面)

私は変化1-6より先手の手が困ると思います。
▲4二歩成が出来ない。(2一角より8七玉の王手)
▲8八玉など手を渡すのは、△8三金より桂を取られて、先手の攻めが切れる。
変化1-6が有力だと思います。

(変化1-7の局面)

は考えられます。
変化1-7-1:▲7三歩(焦点の歩)
変化1-7-2:▲5五桂(4三を守る意味)
変化1-7-3:▲8四歩(攻めの拠点を作る意味)
変化1-7-4:▲8八玉(角筋を避ける意味)
変化1-7-5:▲3八歩(飛車成を防ぐ意味)
▲7三歩以外は、後手に手を渡すので、やりにくいと思います。

変化1-8、変化1-9なども考えられると思います。


後手が良いと思いますけど、▲4三歩の後手の応手は、意外と悩ましいと思います。
手番が違うと先手良しのような局面なので、異次元の世界のようです。


(88手目以降の本譜の手順)
▲7六歩、△7四金、▲8三桂、△6一玉、▲7四馬、△同歩、▲9一桂成、△8五歩、▲7七銀より98手目の局面

(98手目の局面:情報の友)

<形勢判断>
駒の損得:先手の1歩得+(銀・桂・香)と角の交換より先手が良し
駒の働き:先手の7八飛、9一成桂が遊び駒、後手の2一角、8五歩の働きが良いより後手が良い
玉の堅さ:先手は1枚、後手は2枚より後手が良い
手番:先手
形勢は後手の駒の働きが良いので、後手の少し良し
※先手は駒得ですが、遊び駒があるので、逆転の要素は少ない。

(変化2の局面)

情報の友さんは、ここで▲2三香を考えました。
私は、後手玉に2手スキは間に合わないですと思います。

変化2以下は、▲2三香、△8六銀、▲8八玉、△7七銀成より変化3
(変化3の局面)

変化3-1:▲同桂、△8六歩(後手が良いと思う)
変化3-2:▲同玉、△6五桂(後手が良いと思う)
変化3-3:▲同飛は変化4

変化3-3以下は▲同飛、△6五桂、▲2一香成、△7七桂成より変化4
(変化4の局面)

変化4-1:▲同玉、△3九飛成
変化4-2:▲同桂、△3九飛成

変化4-1は、△3九飛成が次に先手が詰みです。
例えば、▲4三角、△5二金、▲6四桂以下は、
△7九竜、▲7八桂、△9九角、▲8七玉、△8九竜、▲9六玉、△9四飛、▲9五合、△8四桂より先手の詰み。
※▲4三角、▲6四桂の時は、後手の玉に詰みはありません。

(変化4-2の局面)

=====(訂正)=====
情報の友さん、△3八飛成は誤りでした。 △3九飛成が正しいようです。
▲同桂、△3八飛成の場合は、▲先手の受け(6八銀、4八歩など)の時に、先手に必至をかけるのは難しいようです。
必至とは、△8六歩、△6九角、△3九飛など
必至がかかれば、▲1六角、△3四歩、▲3八角の時に先手は詰みですけど。
先手に必至がかからないので、△3九飛成の方が勝ります。
===== ここまで =====

変化4-2以下は
例えば、▲4三角、△5二金、▲6四桂以下は、
△9九銀、▲7八玉、△8八飛、▲同金、△同銀成、▲同玉、△8七金、▲同玉、△8九竜、▲8八歩、△7八角の先手の詰み。
※▲4三角、▲6四桂の時は、後手の玉に詰みはありません。

最強の受けは、▲7八金打、△8六歩、▲9九桂より双方に詰みはないですけど、正確に指せば、後手が勝てるような感じです。

▲2三香は、後手の応手が間違えば逆転をするので、秒読みで指されると難しいかも・・・。


(99手目の局面:kuroumaさん)

<形勢判断>
駒の損得:先手の1歩得+(銀・桂・香)と角の交換より先手が良し
駒の働き:先手の7八飛、9一成桂が遊び駒、後手の2一角、8五歩の働きが良いより後手が良い
玉の堅さ:先手は1枚、後手は2枚より後手が良い
手番:後手
形勢は後手の駒の働きが良いので、後手の少し良し
※先手は駒得ですが、遊び駒があるので、逆転の要素は少ない。

この時点で、kuroumaさんは先手有利? と言っていますけど、おそらく、後手が少し良いと思います。

(99手目以降の本譜の手順)
△8六銀、▲8八玉、△7七銀成、▲同桂、△8六歩、▲6四桂、△4三角、▲8九銀、△3九飛成、▲5二歩、△8七銀、▲9九玉、△7九竜、▲同飛、△8八角より投了図

(投了図)

以下は、▲同銀、△同銀成、▲8七金、△9九玉、▲8八銀の追い詰めです。


まるで、手番が違えば先手が良しのような、異次元の将棋でした。
少し、頭がクラクラしました・・・!?

タイトル戦の終盤を考えることは、棋力アップにはすごくいい将棋です。
理解することは、とても大変でしたけど・・・!?

最新の画像もっと見る

コメントを投稿