ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

山本第二調整池

2023-08-20 17:00:00 | 新潟県
2016年5月21日 山本第二調整池
2023年7月21日
 
山本第二調整池は新潟県小千谷市山本にある東日本旅客鉄道(株)(JR東日本)が管理する発電目的のロックフィルダムです。
大正期に入り首都圏への人口集中による大量輸送に対応するため都心を中心に鉄道の電化が進められ、当時の鉄道省はその電源を信濃川中流部に求めました。
まず1939年(昭和14年)に宮中取水ダムと千手発電所が竣工、さらに1945年(昭和20年)に浅河原調整池が完成し発電能力は12万キロワットとなりました。
その後、戦後の電力不足に対処するため1951年(昭和26年)に千手発電所の放流水を利用して
山本調整池と小千谷発電所(最大出力12万3000キロワット)が完成、さらに1990年(平成2年)には山本第二調整池と小千谷第二発電所(最大出力21万キロワット)が竣工しました。
現在は3発電所合わせて約45万キロワットの電力を発電し、これはJR東日本管内で消費する全電力量の2割強に相当します。
一方、2004年(平成16年)の中越地震では貯水池全般に大きな損傷を受け、大規模な補修工事を余儀なくされました。

山本第二調整池には2016年(平成28年)5月に初訪、2023年(令和5年)7月に再訪しました。
掲載する写真にはそれぞれ撮影日時を記載しています。

JR東日本信濃川発電所概要図(JR東日本HPより)


下流面
堤頂長は1392メートルに及びますが、立ち入り制限などにより下流から一望することはできません。
草が伸びていますがロックフィルダムとなります。
(2016年5月21日)


右岸から
天端には2車線幅の道路になっていますが立入禁止。
三方が堤体となっており堤頂長は1392メートルに及びます。
(2016年5月21日)

上流面
こちらも草がついていますが、ロック材で護岸されています。
奥の構造物は余水吐。
(2023年7月21日)

余水吐をズームアップ
初訪時は早朝の訪問で朝のラッシュに備えて満水。
余水吐の大半が水没しています。
(2016年5月21日)

再訪時
午前10時ごろで朝のラッシュも一巡し水位が低下、おかげで余水吐の構造がよくわかります。
四角い穴がサイフォン式吞口で、余水は直接信濃川に放流されます。
発電所への取水口は水中にあるので見れません。
(2023年7月21日)


宮中取水ダム第二取水口からの導水路流入口。
(2023年7月21日)

JRらしく湖岸の柵はレールが使われています。
(2016年5月21日)

湖岸には導水路トンネル建設時に使用されたシールドマシンが展示されています。
(2023年7月21日)


マシンのすぐそばの竣工記念碑。
(2023年7月21日)


記念碑から上流面を遠望。
(2023年7月21日)

流入口
初訪時は水位が高く流入口もほぼ水没。
(2016年5月21日)


再訪時
ちょうど土手の草刈り作業中。
草刈り用のロボットを初めて見ました。
(2023年7月21日)

山本第二調整池から送水される小千谷第二発電所
小千谷発電所に遅れること39年後の1990年(平成2年)に稼働
約40年の技術革新で、小千谷発電所よりもはるかに小規模ならが出力は倍近い21万キロワットを誇ります。
(2023年7月21日)


3032 山本第二調整池(0392)
新潟県小千谷市山本
信濃川水系三国川
42.4メートル
1392メートル
3640千㎥/3200千㎥
東日本旅客鉄道(株)
1990年


2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
映画のワンシーン (tinineko)
2023-08-20 18:43:13
2016年の「余水吐をズームアップ」の画像。
まるでSF映画の一場面を見ているような、とてもミステリアスで不思議な光景です。
この素晴らしい沢山の画像の中で、一番印象深く記憶に残った一枚です。

ところで
早朝の訪問で朝のラッシュにとある「朝のラッシュ・・何となく放水に関する言葉かなと思ったのですが、実際のところの意味を是非!
返信する
朝のラッシュ (まっち)
2023-08-20 21:00:36
この山本第二調整池とひとつ前に投稿した山本調整池はJR東日本の発電施設です。
実は山本調整池の投稿内で詳しく説明してあるのですが、ここは鉄道向けの発電施設ですから朝夕のラッシュ時は運行本数が多くなりますから、当然発電量も増えます。
一方昼間は本数も減少し併せて発電量も減ります。
夜間になり終電が過ぎると発電所も停止します。
つまり電力会社の発電所に比べれば一日内での出力調整の幅が非常に大きいのです。
『朝のラッシュに備えて』というのは、朝の通勤ラッシュの時間帯に向けてたくさんの発電をするために水位を上げてそれに備えているという意味になります。
返信する

コメントを投稿