ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

岩尾内ダム

2021-08-03 10:39:39 | 北海道
2021年7月18日 岩尾内ダム 
 
岩尾内ダムは北海道士別市朝日町岩尾内の一級河川天塩川本流にある多目的重力式コンクリートダムです。
天塩川は流路延長256.2キロと日本第4位の大河川ですが、河川整備が遅れる一方、農地開拓や流域の人口増加を受け、抜本的な河川開発が求められていました。
当初、当地では農林省による灌漑・発電目的のロックフィルダム建設が計画されていましたが、数次の洪水被害によりを新たに建設省(現国交省)を事業主体とした多目的ダム建設が採択されました。
ダムの型式は重力式コンクリートダムに変更され1965年(昭和40年)に着工、1970年(昭和45年)に竣工したのが岩尾内ダムです。
岩尾内ダムは国交省北海道開発局建設部が直轄管理する特定多目的ダムで、天塩川の洪水調節(最大毎秒800立米の洪水カット)、天塩川流域農地約1万5000ヘクタールへの灌漑用水の供給、士別市への上水及び工水の供給、北海道企業局岩尾内発電所での最大1万3000キロワットのダム式水力発電を目的としています。
しかし岩尾内ダム完成後も当初想定を超える洪水被害や渇水が続いたことから、2018年(平成30年)に最大支流名寄川水系にサンルダムが竣工、翌2019年(平成31年)より運用が開始され天塩川水系の治水能力は大きく向上しました。

ダム下流から遠望
堤高58メートル、堤頂長448メートルと北海道らしい横長ダムです。
洪水吐は右岸よりにあります。
 
左岸ダム下から
手前は北海道企業局岩尾内発電所の放流口。 
 
右岸ダム下から
クレストにラジアルゲート2門装備。
 
天端から
右手はクレストゲートからの減勢工
左手の大きな建屋は岩尾内発電所、手前の小さな建物は放流バルブ室。
 
天端は徒歩のみ開放。
赤い取水塔が目につきます。
 
ダム湖は岩尾内湖
湛水面積510ヘクタールは日本28位、総貯水容量1億770万立米は同45位。
キャンプや釣りなど年間2万人以上が利用します。
 
ダム湖を跨ぐ道道66号線岩尾内大橋。
橋の向こう側の茶色の建物が管理事務所。
 
道道からの上流面。
 
岩尾内大橋を入れて
トラス橋も格好よくフォトジェニックなダムです。
 
取水塔とラジアルゲートを遠望。
 
(追記)
岩尾内ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0081 岩尾内ダム(1671)
北海道士別市朝日町岩尾内
天塩川水系天塩川
FAWIP
58メートル
448メートル
107700千㎥/96300千㎥
国交省北海道開発局
1970年
◎治水協定が締結されたダム


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