ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

小森ダム

2023-05-29 18:22:16 | 三重県
2023年4月23日 小森ダム 

小森ダムは左岸が三重県熊野市紀和町小森、右岸が和歌山県東牟婁郡北山村下尾井の一級河川新宮川水系北山川にある電源開発(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
戦後の電力不足の中、日本有数の多雨地帯を水源とし包蔵電力豊富な新宮川水系では半官半民の電源開発(株)が発電事業を担うことになります。
北山川流域では1962年(昭和37年)の坂本ダムを皮切りに1964年(昭和39年)に池原ダム、そして翌1965年(昭和40年)に竣工したのが七色ダムと小森ダムです。
小森ダムは北上川の一連の発電ダム最下流に位置し小森発電所で最大3万キロワットのダム水路式発電を行います。

小森ダム下流は狭隘な渓谷が続くうえに道路沿いは木が茂り、ダム全体を下流から正対できるポイントはないとされていました。
今回はダム友さん情報を参考に、ダム直下の河原に降下しダムを真正面から愛でることができました。

こちらは国道169号線沿いの従来から知られている展望ポイントから
ダム便覧掲載写真ではかつてはゲート5門ほどが見えたようですが、今は木が茂り3門が精いっぱい。


小森トンネル手前から釣り師がつけたと思われるトレースがあります。
木の枝や岩にしがみつきながら無事降下完了。


ローラーゲート7門で北山川を締め切ります。
右岸(向かって左手)で塵芥放流ゲートを利用した河川維持放流が行われています。
発電所は左岸(向かって右手)にありますが、ダムの堤高34メートルに対し有効落差49メートルということで発電所は地下にあります。
また放流水は約2キロのトンネル放流路で下流に放流されます。


ゲートはすべて2段式ローラーゲート
左右両岸には分厚い叩きが設けられています。


こちらは塵芥放流ゲートを利用した河川維持放流。
もちろん河川法の改正で今はダムが捕捉した塵芥の放流は禁止です。


ダム直下の副ダム。


実は小森ダムには上流にも展望ポイントがあるのですが、難関の断崖降下に成功して浮かれてしまい、上流からの見学をすっ飛ばしてしまいました。

(追記)
小森ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1313 小森ダム(1981)
左岸 三重県熊野市紀和町小森
右岸 和歌山県東牟婁郡北山村下尾井
新宮川水系北山川
34メートル
154メートル
9700千㎥/4700千㎥
電源開発(株)
1965年
◎治水協定が締結されたダム 


2 コメント

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怖いけど美しい (tibineko)
2023-05-30 01:16:53
木の枝や岩にしがみつきながら無事降下完了・・・
想像したくないのに、情景が浮かんできて、足の裏がムズムズ。

とはいえ今日の「小森ダム」の七門のゲートは
殊の外綺麗で、水の色も魅惑的。
素晴らしい景色を有難うございました!!
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tibinekoさま (まっち)
2023-05-30 08:26:54
このダムは北山川最下流にあります。
最下流のダム=魚道がないと魚はそれ以上遡上できない。
ということでダムの直下は釣り師にとっては絶好の釣り場になるようです。
ここのようにゲートがずらっと並ぶダムは昭和30年くらいまで日本の発電ダムの典型的なデザインでした。
今は土木技術の発展もありこういうタイプのダムは全く作られていません。
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